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Cloud Days 2015|IoT Japan 2015|新しいビジネスモデルをつくりIoTからIoCへと歩みを進める

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セールスフォース・ドットコム

新しいビジネスモデルをつくり
IoTからIoCへと歩みを進める

様々なモノがインターネットにつながる時代、先進企業はこうした環境を生かして新しいサービスを生み出している。重要なポイントは、いかに価値あるサービスを創造しビジネスモデルを構築するか。持続的な事業を構築するために欠かせない観点だ。セールスフォース・ドットコムは世界中の企業と協業し、IoC(Internet of Customers)を活用した新しいビジネスモデルづくりに取り組んでいる。

モノがネットにつながる時代
膨大なデータをクラウドが支える

株式会社
セールスフォース・ドットコム
取締役社長 兼 COO
川原 均 氏

今や、あらゆるモノがインターネットにつながることは当たり前になった。身近なところではスマホやクルマ、産業機械などがネットに接続し、様々なサービスが生まれている。まさに、IoT(Internet of Things)時代の到来である。2020年には、750億のモノがネットにつながるとの予測もある。膨大なセンサーデータの受け皿になるのがクラウドだ。

こうした時代を見据えて、セールスフォース・ドットコムは自らのビジネスを進化させてきた。セールスフォース・ドットコムの川原均氏は次のように説明する。

「私たちは、顧客という軸でサービスを拡張させてきました。営業向けのシステムから始まり、代理店やコンタクトセンター、さらにソーシャルネットワークにも守備範囲を広げました。そして、近年はIoTエリアへの取り組みを強化しています」

Salesforceにつながる製品は既に50を超えている。川原氏が言及した例の一つが、米ニュー・イングランド・バイオラボである。同社は研究所などの冷蔵庫にセンサーを取り付け、中に保存されている試験材料の数などを計測している。こうしたデータは材料の供給計画づくりなどに活用されていると言う。

また、カルフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医療センターは、Salesforceのプラットフォーム上で患者の医療情報を管理・共有している。同医療センターのデータ活用の歩みは、セールスフォース・ドットコムのそれと重なると川原氏は語る。

「最初は医師や看護師などが患者の情報などを入力していました。次に、患者にも入力してもらうようになり、最近は医療機器をはじめとする“Things”からのデータを収集するようになった。これらを解析して得られた知見は、医療サービスの高品質化や効率化に生かされています」

フィリップスのチャレンジ
IoCを活用して新規ビジネスを開始

バイオラボやUCSFの事例で注目すべきは、患者や顧客への価値につながるサービスが提供されていることだ。

「モノをネットワークにつなぐのは簡単です。問題はその先。つまり、いかに価値を実現し、持続的なサービスとして展開するか。そこでは、ビジネスの知恵が問われます。IoTからIoC(Internet of Customers)へ。センサーやデバイスなどに注目が集まりがちですが、もっと広い視野から、ビジネスモデルづくりを考える必要があります」と川原氏は強調する。

例えば、自動車から収集されるテレマティスクデータを基に、ドライバーの運転の“クセ”を分析、損害保険の料金を個人向けに最適化しようという動きがある。また、電気やガスなどのユーテリティー分野では、センサー経由で使用状況を逐一把握した上で、契約者に対してマスカスタマイズされたサービスを提供できるようになるかもしれない。

今、世界中の先進企業がIoCに着目して、ビジネスモデルを進化させようとしている。その代表例の一つが、ヘルスケアや照明などに関連する事業を世界で展開するフィリップスである。

「2年ほど前、フィリップスのCIO兼CTOだったイェルーン・タス氏は、現在はヘルスケア関連事業(Informatics Solutions and Services, Philips Healthcare)のCEOを務めています。フィリップス全体のIT活用を指揮してきた人物がビジネス側に移り、様々なチャレンジを仕掛けているのです」と川原氏。その取り組みの多くで、セールスフォース・ドットコムは協業しているという。

フィリップスにおけるチャレンジの一つが、米国やカナダ、シンガポールで立ち上げた在宅医療分野の新規ビジネスである。

「増加する医療ニーズに対して、医師や看護師などのリソースは限られています。このような社会課題を解決するために、同社は新しいサービスを始めました。例えば、手術を終えて自宅に戻った患者の医療データを、様々なセンサーを通じてコンタクトセンターに集約する。オペレーターはデータの動きを見ながら、緊急時には医療機関に連絡するなどの対応を行います。これにより、医療費の大幅な削減が可能になるといいます」(川原氏)。

なお、シンガポールにおいては、社会的な効果を評価した政府がサービスの対価を支払っているという。

IoCを活用したビジネスモデルには
試行錯誤を伴う実践が重要

川原氏が紹介するもう一つの先進企業は、日本のサトーである。同社は小売店など様々な施設の業務で使われるプリンターを提供している。

「プリンターが故障した場合、保守員が到着するまでには一定の時間がかかります。これまではいかに素早く駆けつけるか、丁寧なメンテナンスを行うかがサービスの重要なポイントでした。しかし、本当にそれがベストなサービスに向かう道なのか。同社は発想を転換し、顧客にセルフメンテナンスしてもらえる環境づくり『バーチャルカスタマエンジニア』というコンセプトを考えました」

サトーはプリンターにセンサーを取り付け、Salesforce上にデータを集めた。このデータを分析することで、プリンターの状態が可視化される。「何らかの対処が必要」となれば、コールセンターから顧客に連絡が入る。あるいは、顧客の持つスマホ上でメンテナンスをガイドすることもできるという。

「セルフメンテナンスをサポートする仕組みにより、顧客は保守員が駆けつけるまで待たずにすみます。同時に、サトーグループは保守コストを削減できる。両方にとってメリットのあるビジネスモデルです」

以上で紹介した事例だけでなく、セールスフォース・ドットコムは様々な企業とともに新ビジネス、新サービスのイノベーションに取り組んでいる。こうした経験を踏まえて、川原氏は次のように語る。

「IoCを活用したサービスのマネタイゼーションを目指す上で、トライアル&エラーは避けられません。素早く実践し、素早く修正しながらサービスの価値を高めていく。そうしたアプローチこそが、IoCを競争優位につなげるための道筋です」

国内外の先進企業は既に、試行錯誤を重ねながらIoCへの挑戦を続けている。ただ、IoCのフロンティアは広大だ。未踏の地で新しいビジネスモデルを開花させるチャンスは、多くの企業に開かれている。

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