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モバイル活用支援フォーラム 2015 Spring Review|“モバイルシフト”で企業の成長は加速

三井物産

国内の全拠点に一斉導入の無線LANインフラ
モバイルの利用拡大に対応しEMM基盤へ

荒川 伸彦 氏
三井物産株式会社
IT推進部
情報通信基盤室 室長
荒川 伸彦

「ノートパソコンを除き、当社で利用中のモバイル端末は約6200台です。Blackberryが多いですが、iPhoneやiPadの利用者は増えています」。三井物産の荒川伸彦氏はこう話す。

モバイル端末の利用を支えるのは、2012年4月に国内全拠点に一斉導入した無線LANインフラ。三井物産は2011年秋から社内パソコンの大半をノートパソコンに切り替えるプロジェクトを開始した。無線LANはそれに連動したものだ。マネージドサービスを利用し、無線LANアクセスポイントは自社に設置するが、機器は保有しない。保守・メンテナンス費を含めて月額課金で利用する契約形態にした。2014年8月からこの無線LANインフラの海外展開を始め、今年6月末に完了する予定だ。

セキュリティと高機能化に対応 すぐに乗り換えられる体制を敷く

モバイル端末の利用の増加に対応し、三井物産はEMM(Enterprise Mobility Management)基盤の導入を始める。

背景には、モバイル端末が年を追うごとに高機能化していることに加え、サイバー攻撃の脅威が高まっていることがある。加えてメール送受信だけでなく、社内のワークフローもモバイル端末で対応したいという要求が増えているうえ、今後も機能と安全性を高めたモバイル端末の登場が予想され、すぐに乗り換えられる体制を敷いておく必要がある。

「働き方に最適な端末を使えるように選択肢の拡大とセキュリティ確保のバランスが大切です。複数の端末に対応し、追加更新はもちろん、全ての端末機種に同じセキュリティポリシーとルールを実装、認証を標準化し、グローバルでの管理統制のレベルを上げていきます」。荒川氏はこう抱負を語り講演を終えた。

コトラボ

多様性を生かす職場に人材は引き寄せられる
モバイルと意見交換できる公共空間は必須

椛田 泰行 氏
株式会社コトラボ
CEO 1/2
椛田 泰行

「“働く”という字は、“人”と“動く”に分解できます。かつて働くために人を集めてましたが、今は可能性や機会を求めて人の動きが活発になり、動きながら働く必要性が生じています」。こう指摘するのはコトラボの椛田泰行氏だ。

コトラボは、公園などのベンチ、遊具、駅前広場のシェルターなどを製造・販売するコトブキの社内ベンチャーの役割を果たす関連会社。コトブキは1916年設立の老舗企業で、顧客の多くは地方自治体などの行政機関。公共事業の縮小によって厳しい状態が続いた。2012年末の新社長就任を機に次の100年を迎えるため様々な改革に着手、その一環として椛田氏に白羽の矢が立った。椛田氏は、以前、中古車販売会社でクルマの査定や販売にiPadを活用した実績を持つ。

社内コミュニケーション改革に注力 気楽に集まれるスペースなども設置

コトブキに転職した椛田氏が最も注力したのが社内コミュニケーション改革。ヤマー(Yammer)による社内SNSの導入はその代表。モバイル端末から使われることが多い。社内に気楽に集まれるスペースなどの設置も功を奏し、オフィスは活気づいてきた。

「多様性や個性を生かす職場環境でなければ、優秀な人材は集まらなくなりつつあります。個人が能力を発揮でき、それでいて協調性を保てる職場が大切です。そのためには、モバイル環境は必須ですし、社員が気軽に集まり意見交換できる社内公共空間も必要です」(椛田氏)。コトラボは、現在地周辺の公園を地図上に表示するモバイル機器用のアプリケーション、「PARKFUL」を公開している。意見交換できる空間は社内に限らない。Working in the Park。椛田氏は公園でもその役割を果たせると考える。そうなればコトブキの業績にも貢献する。

大成建設

業務の主軸にクラウド、モバイルで威力発揮
建設業で汎用的に使えるiOS用アプリを開発

田辺 要平 氏
大成建設株式会社
建築本部建築部企画室課長
(業務改革推進担当)
田辺 要平

「建設会社では社外の工事現場で業務に携わる社員が多くいます。クラウド環境を整備し、業務に必須なデータをそろえれば、スマートデバイスを使いたいというニーズが高まるのは自然だと思います」。大成建設の田辺要平氏はこう話す。

大成建設はIT活用による業務改善・業務改革で大きな実績を上げている。自社開発の電子調達システム「G-Net」の運用を1998年から始め、早い時期からインターネットによる業務改革で成功体験をしている。2003年からは、三菱商事が運営する建設業向けクラウドサービス「建設サイト・シリーズ」を全面採用し、進行中の各プロジェクトにおける膨大な情報管理を開始。例えば、建設業にとって重要な図面データの場合、毎月60万枚相当が同サービスを介してセキュアにやり取りされている。

リアルタイムで情報更新を スマートデバイスに白羽の矢

以前はパソコンによる閲覧のみで、工事現場のフィールドでは紙に印刷した図面を持参していた。図面が更新されても気がつかず、行き違いが生じる恐れもあった。それらを解決するため、2008年からiOS対応アプリケーション「Field Pad」の企画開発に着手し、今では社内外の同社工事関係者がiPadやiPhoneで利用できるように一般販売している。

Field Padでは、利用者に関係する図面情報が更新された際にプッシュ通知を受け取ることができ、いつでもどこでも内容を確認できる。また図面上にピンを刺し、工事現場で撮影したビデオや写真を載せられるほか、コメントの挿入も可能。撮影した画像やコメントはクラウド環境を利用してすぐにその場で書類化でき、大幅な時間短縮も実現している。

「建設業で汎用的に使える電子文房具を目指しています」と田辺氏は話す。