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第2回モバイル活用支援フォーラム2015 REVIEW 総論

企業ではタブレットの利用率が過半数となり、スマートフォンの利用率もほぼ半数に到達しているといわれ、オフィスと同じ環境でいつでもどこでも仕事ができることが現実のものになった。それに伴って、従業員の働き方も大きく変えることが可能で、仕事の生産性を改善できる可能性もある。今後の企業経営を大きく変えるといわれるモバイルをどのように活用したらよいのか。既に効果を上げているユーザー企業をはじめ、モバイル活用支援のソリューションを開発したIT企業などの関係者がそれぞれの立場で語った。

  • 総論 モバイル活用で変わる企業経営 成功事例から学ぶ勝利の方程式
  • 安心感と利便性の両立こそがモバイルワークの実践ポイント

企業ではタブレットの利用率が過半数となり、スマートフォンの利用率もほぼ半数に到達しているといわれ、オフィスと同じ環境でいつでもどこでも仕事ができることが現実のものになった。それに伴って、従業員の働き方も大きく変えることが可能で、仕事の生産性を改善できる可能性もある。今後の企業経営を大きく変えるといわれるモバイルをどのように活用したらよいのか。既に効果を上げているユーザー企業をはじめ、モバイル活用支援のソリューションを開発したIT企業などの関係者がそれぞれの立場で語った。

コニカミノルタ/コニカミノルタビジネスソリューションズ

働き方の改革に力を入れ、モバイルに着目
本社オフィス移転に伴い知的生産性を一段と向上

茶谷 勉 氏

コニカミノルタ株式会社
IT業務改革部
ITアーキテクチャグループ リーダー
茶谷 勉

山田 基博 氏

コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社
管理本部
情報システム部 部長
山田 基博

コニカミノルタがモバイル活用に着目したのは2004年。コニカとミノルタの経営統合によるコミュニケーションシステムの刷新を契機に、オフィス外からでも仕事ができる仕組み「いつでもどこでもオフィス」の導入も開始した。「当時から国内外への出張者の業務遂行を支援することが課題でした」。コニカミノルタの茶谷勉氏はこう振り返る。その後、在宅勤務用システムやMDM(モバイル端末管理)などを導入し、2012年8月の本社オフィス移転に伴ってオルタナティブ・アドレス制(フリーアドレス制の一種)などを採用し、会議の効率化や生産性向上にも努めた。

営業部隊はモバイルPCで活躍
サービス部隊はiPadを装備

グループ会社のコニカミノルタビジネスソリューションズも2014年8月の新本社移転を機にモバイルを含む新しいワークスタイルへの取り組みを実践している。営業担当者とサービス担当者が社員の大半を占め、営業担当者はモバイルPCを持ち歩き、社内システムにアクセスし、行動管理や見積書・報告書の作成、承認、顧客へのプレゼンテーションなどを出先でも処理する。他方、サービス担当者は機動性を重視してiPhoneとiPadを使って業務をこなす。コールセンターが受け付けた顧客からの修理依頼の連絡のほか、顧客の修理完了確認サインもiPad上で可能。「働き方の変革の一環としてモバイルワークを実践しています」。コニカミノルタビジネスソリューションズの山田基博氏はこう言って講演を終えた。

大林組

情報システム部が現場に出向き社員の声を反映
5300台のiPadを全社で活用して業務を大幅改善

堀内 英行 氏

株式会社大林組
グローバルICT推進室
技術課長
堀内 英行

「モバイル端末が好きな社員は積極的にiPadを活⽤していますが、そうでない社員はなかなか使ってくれません。利活用を促進するため教育・サポートには力を入れています」。大林組の堀内英行氏はこう話す。

大林組は2012年8月、建設現場にいながら情報の確認や業務処理ができる環境を整えるため、施工管理を担当する国内外の技術職全員を対象に約3000台のiPadを導入した。その後、支給対象者を拡大し、現在は内勤者を含めて5300台のiPadを活用している。

iPadが浸透した背景には、社員の利用を促進するような様々な工夫がある。最大の特徴は、利用に関するアンケート調査だけでなく、各支店内にモデル現場を数現場選定し、情報部門の担当者が利用促進に向けたOJT教育を数日間行っていることだ。社員の要望を聞けるだけでなく、アプリケーションの使い方のアドバイスもできる。「使い方などについて話し合い、ノウハウを会得した社員が次の現場でそれを伝達していくという形で、利用者の輪が徐々に広がりました」(堀内氏)。

社員の要望で手軽なツールを開発
現場で使える防水ケースも製品化

社員の要望はできる限りシステムに反映する。一例を挙げれば、品質管理や配筋検査、立会検査などに使う自社開発の検査ツールの「GLYPHSHOT」は、外販するほど完成度は高いが、「もっと手軽に使える検査ツールも欲しい」という社員の要望から、協力会社に送付する写真付き是正指示書が簡単に作れる「是正指示システム」を開発した。

自社開発はアプリにとどまらない。防水ケースも他社と共同開発した。「既製品では社員の要望に対応できないと判断したら、自社開発か他社との共同開発で対応しています」(堀内氏)。

武蔵野

中小企業の「経営の神様」が目を付けたiPad
営業、コールセンターなどで八面六臂の活躍

須貝 佑介 氏

株式会社武蔵野
システム部
須貝 佑介

ダスキンの代理店を東京の多摩地区で展開する武蔵野は日本経営品質賞を2回受賞し、中小企業を対象とした経営コンサルティング事業にも取り組む。社長の小山昇氏は500社以上の経営指導をした「経営の神様」として知られる。

その武蔵野がiPadを導入したのは日本発売直後の2010年。iPadに興味を持った小山社長がいち早く使い始め、iPadに慣れるため社員にも配布した。「今ではパートとアルバイトを含めた約500人の全従業員に支給し、iPadがなければ業務に支障を来すほどです」と武蔵野の須貝佑介氏は話す。

小山社長の経営の神髄の一つ「環境整備点検」はその一例。職場で働く人の心をかよわせ、仕事をやりやすくする環境を整えるため力を合わせて整理、整頓、掃除を実施し、21項目についてチェックする。以前は紙のチェックシートを使っていたが、iPadとFileMakerによってペーパーレス化を図った。

点検の結果を集計して公開
リアルタイムで情報共有も実現

「結果は点数を集計してレポートを作成し、全従業員に公開しますが、その作業が簡単にでき、リアルタイムで情報共有が図れます。内蔵カメラで撮影した画像を添付でき作業効率が上がりました」(須貝氏)。

iPad活用はそれだけではない。ダスキン事業では基幹システムをWeb化し、iPadと連携させたため、営業担当者はオフィスに戻って精算業務をする必要がなくなった。またコールセンターでは、チラシをiPadで見られるようにしたため、問い合わせの電話に迅速に対応できるようになった。「ダスキン事業では1カ月当たり132時間、コールセンターでは14時間ほど節約できました。iPadは業務の効率化、人材育成には欠かせません」。須貝氏はこう話して講演を終えた。

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