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カーボン・ニュートラル認証を取得 環境課題を技術開発で広範囲に解決

―環境に対する取り組みの今後の指針となる、中期CSR計画「サステナブル バリュー プラン 2016」を公表されました。ポイントを教えてください。

 2014年1月に創立80周年を迎えたのを機に、新たなコーポレートスローガン「Value from Innovation」を制定しました。これは、革新的な技術、製品、サービスを生み出し続け、明日のビジネスや生活の可能性を広げるチカラになるというお客様への約束であると共に、社内外の知恵や技術を広く集め、イノベーションを起こしていくという宣言でもあります。

 これを踏まえて、中期CSR計画「サステナブル バリュー プラン 2016」を5月に公表しました。本計画では、これまでの活動に「当社の製品・サービスを通じて、社会課題の解決を積極的に目指す」視点を加えています。富士フイルムグループ(富士フイルム、富士ゼロックスなど世界に273社)内での環境負荷削減に向けた取り組みの枠を超え、より広範囲に世の中の環境課題の解決に貢献しようとするものです。

 中でも、深刻化する地球温暖化の解決を重要視し、「事業活動によって生じるCO2排出量の削減」と、「製品・サービスによって世の中のCO2の排出量の削減に貢献する」という両面で活動を推進したいと考えています。

富士フイルムグループのCSRの考え方

カーボン・ニュートラル認証を取得

―CO2排出量を削減する様々な取り組みを行っていますね。

 2010年に、製造からユーザー先での使用や廃棄・リサイクルに至るまでの「製品ライフサイクル全体におけるCO2排出量を、20年度までに05年度比30%削減する」という長期目標を掲げ、継続的に削減に取り組んでいます。例えば、CO2削減と動燃費削減の両立を狙った「エネルギー戦略推進委員会」を立ち上げ、国内工場だけでなく、オフィスや海外主要工場も含めた富士フイルムグループ全体のプロジェクト活動として、省エネによるCO2削減の取り組みを加速させています。

 また製造段階に加え、複合機の省電力化など製品の使用段階での環境負荷を低減する技術開発の推進や、原材料や製品のリサイクル、物流の効率化など、ライフサイクル全ての段階でCO2削減に向けた取り組みを行っています。その結果、2013年度は05年度に比べ、グループ全体の生産量が増加したにも関わらず、CO2排出量は31万トン(05年度の約6%に相当)の削減を達成しました。

―環境省が推進する「カーボン・ニュートラル認証」も取得されました。

 カーボン・ニュートラルは、事業活動などで排出してしまった温室効果ガスの総排出量を、自らの削減努力と、別の場所で行った削減・吸収の取り組みによって“全て”をオフセット(埋め合わせ)し、相殺することです。部分的に相殺するカーボン・オフセットよりもハードルが高い取り組みです。

 本社ビルなど主要オフィスにおける、電力やガスなどのエネルギー使用、紙使用、社員の出張・通勤、廃棄物処理など、事業活動に伴うCO2排出量を、富士フイルムグループが支援している途上国のCO2削減プロジェクトから得られたCO2削減分で相殺し、カーボン・ニュートラル化を達成しています。

 これまでも自助努力でCO2削減の取り組みを進めてきましたが、さらにカーボン・ニュートラルという新しい取り組みを行い発信することで、改めて社内の意識向上を図る狙いもあります。

富士フイルムグループのカーボン・ニュートラル認証モデル事業の取り組み

CO2削減に寄与する新素材を開発

―グループ内の枠を超え、CO2削減の要となる製品の例をお教えください。

 写真フィルムで培った製膜技術などを用いて開発した、太陽電池の耐久性を従来品よりも2~3倍ほど高める「太陽電池用バックシート」や、採掘直後の天然ガスに含まれるCO2を高効率かつ低エネルギー・低コストに除去できる「ガス分離膜モジュール」は、CO2排出量の少ない自然エネルギーの普及を後押しすると期待されています。

 また、大容量データの保存を実現した「新世代磁性体バリウムフェライト(BaFe)」は30年以上の長期保存ができる磁気テープで、常時稼働が必要であり、寿命が数年とされるHDD(ハード・ディスク・ドライブ)に代わって重要情報をバックアップすることで、大幅な省電力とCO2削減が可能となります。

 富士ゼロックスでは、クラウドサービスやモバイルソリューションを組み合わせ、時間や場所の制約なく業務ができるモバイルワークを支援。業務の効率化とともにCO2削減を実現します。

 サステナブル バリュープラン 2016では、社会やお客様先でのCO2排出に関して、製品・サービスを通じて「2020年度までに05年度比2000万トンのCO2削減に貢献する」目標を設定しました。

 地球温暖化対策は、もはや待ったなしの世界共通の課題です。この課題解決に貢献することは、当社の事業成長の機会にもなります。経営戦略でも重点を置き、グループ全体で持てる技術や製品、サービスを結集し、環境課題に貢献する製品開発を推進していきます。

※詳しくは環境省のWebサイトで紹介しています。http://www.jcs.go.jp/cn/companylist_window2.html

富士フイルムホールディングス株式会社