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経営課題解決シンポジウム | 自社のロイヤルカスタマーの育成を探る~顧客創造の最前線 | セールスフォース・ドットコム

セールスフォース・ドットコム

多様な接点で顧客とつながる
クラウド型CRMでロイヤルカスタマーを創造する

カスタマー(顧客)とのより良い関係を築く目的で多くの企業が導入している、顧客関係管理(CRM)システム――。セールスフォース・ドットコムの道下和良氏は、国内企業におけるロイヤルカスタマー育成事例を紹介しつつ、同社のCRMサービスが実現するカスタマーエクスペリエンスの概要を説明した。

ロイヤルカスタマーを生み出すクラウド型CRM

道下 和良 氏
株式会社セールスフォース・ドットコム
執行役員
エリアバイスプレジデント
コマーシャル営業本部
道下 和良

 「カスタマージャーニー(顧客がどのように商品やサービスを認知し、関心を高め、購入や利用を継続するかを旅に例えた一連のプロセス)の流れのなかで、多様な接点でより良い顧客体験を提供することにより、新しいカタチで顧客とつながる『カスタマーカンパニー』を実現できます」

 セールスフォース・ドットコムの道下和良氏はこのように語り、同社のクラウド型顧客関係管理(CRM)サービスはロイヤルカスタマーの創造に大きな力を発揮するとアピールした。

 1999年に米国で創業したセールスフォース・ドットコムは、業務ソフトウェアをクラウドサービスとして提供する形態(SaaS)の草分けとして知られる。世界シェアトップのCRM(顧客関係管理)である「Salesforce」および、新しい形で顧客とつながることを可能にする「カスタマーサクセスプラットフォーム」を提供する同社。世界22か国でビジネスを展開し、顧客数は15万社にのぼるが、現在でも年率約30%で成長中である。

 CRMはロイヤルカスタマーの育成にどう役立つのか――。その前提として、なぜいま、経営課題としてロイヤルカスタマーの育成が求められているのかを2つのポイントから道下氏は説明した。

 第1のポイントは、「差別化要素としてのカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)」である。あらゆる業種・業界でコモディティ化が進むいま、従来の商品やサービス単品の価値だけで競合他社に打ち勝つことは難しい。しかし、CRMを活用して顧客を魅了するカスタマーエクスペリエンスを提供することができれば、競合他社に対する差別化要素となり、“普通の顧客”を売上貢献度の高いロイヤルカスタマーへと転換できる。

 第2のポイントには、「リスク管理」の観点を挙げた。ソーシャルメディアが消費者層に広く普及したいま、一人の顧客が受けた不快な体験がネットを通じて世界中に広まってしまうリスクが顕在化してきた。企業の存続すら危うくしかねないこのリスクを最小化するには、常に快適なカスタマーエクスペリエンスを提供することが最良の防御策。気持ちのよい体験をした顧客がソーシャルメディアなどで好意的なメッセージを発信してくれれば、良い噂の拡散によってロイヤルカスタマーやファンが増える可能性もある。

 「そうした適切なカスタマーエクスペリエンスは、顧客のライフサイクルやカスタマージャーニーの全体を通じて提供されなければなりません」と道下氏は語る。言いかえれば、企業にはカスタマージャーニーにおける、マーケティング、セールス、サービスのすべてにおいて最良のカスタマーエクスペリエンスを提供することが求められているというわけだ。

 その実現のためには人の感情にフォーカスしなくてはならない。より多くのロイヤルカスタマーを獲得し経営に寄与するには、顧客満足度のような“丸まった数値”だけを目指すのではなく、顧客に感動を与えて心をがっちりつかむ。その鍵は、多様な接点で顧客に寄り添うことができるCRMにあると道下氏は強調する。

*2013年のCRMソフトウェア世界市場におけるシェア1位 (Gartnerが2014年4月に発表したレポート「Market Share Analysis: Customer Relationship Management Software, Worldwide, 2013」より)

多様な接点を通じて優れた顧客体験を提供

 では、Salesforceはどのような仕組みでロイヤルカスタマー育成を容易にしているのか――。

 「ポイントは、多様な顧客接点を通じて「自分だけ」のカスタマーエクスペリエンスを提供できる当社独自のプラットフォームにあります」と道下氏は胸を張る。カスタマージャーニーの全過程であらゆるチャネル(媒体)から顧客理解を深め、カスタマーエクスペリエンスを提供するというのが重要なロイヤリティーマーケティングの考え方。Salesforceは「製品」「モバイル」「ソーシャル」「Web」「メール」「店舗」「コミュニティ」といった多様な顧客接点をカバーしリアルタイムにデータを一元化しているので、どのような場所、状況にある顧客にもデータに基づいたインサイトから最高のカスタマーエクスペリエンスを提供できる。

 さらに、Salesforceは社内のあらゆる立場、役割のユーザーが適切な権限で利用できるという特長もある。「セールス(営業)、顧客サービス、マーケティング、コミュニティ、アナリティクス(分析)、独自アプリといった境界がなくなるCRMこそ近未来のCRMと考えています」と道下氏は語る。これらが渾然一体となった状態で顧客とつながることで、企業の都合に影響されない、垣根のない最高のカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになると強調した。

 このような形で顧客とつながる“カスタマーカンパニー”実現のために、セールスフォース・ドットコムは単なるCRMアプリケーションではなく、新しい形で顧客とつながるための新しい企業ビジョン「カスタマーサクセスプラットフォーム」を掲げている。クラウド上で動作するこのプラットフォームは、共有データ、共通ワークフロー、横断的なレポーティング、横断的なコラボレーション、単一のアイデンティティ(ユーザー認証)などのサービス群を様々なアプリケーションに提供する仕組み。一元的に管理されている顧客データをどの業務からも有機的に活用でき、様々なデバイスからアクセス可能な、クラウド、モバイル、ソーシャル、データサイエンス、IoT(Internet of Things)など最新のキーワードに対応したクラウドプラットフォームである。

The Customer Success Platform
クラウド上で動作する共通機能のサービス群をさまざまなアプリケーションから利用。一元的に管理されている顧客データをどの業務からも有機的に活用できる

“おもてなし”を高めて旅館経営を改善

 このような特長を持つSalesforceは、さまざまな規模と業種の企業でロイヤルカスタマーの育成に活用されている。セッションの後半では、旅館業での成功事例として、鶴巻温泉元湯陣屋の「ITを活用したおもてなしの向上」が取り上げられた。

 神奈川県秦野市の鶴巻温泉にある元湯陣屋の創業は、大正7年。20の客室とレストラン・宴会場・結婚式場など6会場を従業員70名(うち正社員30名)で運営している中規模の老舗旅館である。

 この元湯陣屋がITの積極活用に踏み切ったのは、2009年に起きた突然の世代交代がきっかけだった。先代の他界と女将の入院を機に自動車メーカーの技術者をしていた現社長が経営を引き継いだのは、リーマンショック後という最悪のタイミング。接客業の経験がない四代目にとって、顧客離れを食い止めて売上と利益を伸ばすことが最重要の経営課題だったという。

 そこで、四代目社長は「情報の見える化」「PDCAサイクルの高速化」「情報は持つだけでなく活用させる」「仕事を効率化しお客様との会話と接点を増やす」の4点を経営改善の基本方針として設定。そのためのITとして、Salesforceをベースとした旅館一元管理システム「陣屋コネクト」を開発することにした。

 完成した陣屋コネクトは、リピート客判定用のRFM分析を含む顧客情報管理、売上分析、予約情報管理、アンケート集計、旅館内の情報共有(電子メール・掲示板・スケジュール管理・掲示板)、経営管理などの機能をタブレットやPCに表示されたCRMの画面から自由自在に利用できる仕組み。顧客の来訪歴やプロファイルを「お客様カルテ」としてクラウドで一元的に管理し、スタッフ全員がその情報を先読みして積極的かつ細やかなおもてなしをできるようにした。

 その結果、顧客満足度の向上とともにリピート率もめざましく向上。陣屋コネクトの稼働開始から5年が経過した現在では、売上額(2.9億円から4.3億円へ45%増)やEBITDA(利払い・税引き・償却前利益、マイナス3,300万円→プラス8,500万円と逆転)などの経営指標も著しく好転している。

 「お客さまへのおもてなしを高めることによって経営を改善していく――。そのようなねらいから元湯陣屋さまが設定された4点こそ、ロイヤルカスタマー育成の原点になるポイントに他ならないと弊社は考えています」と道下氏。SalesforceはそのためのITツールとしてベストな存在であると語りセッションを締めくくった。

セールスフォース・ドットコムのクラウド型CRM「Salesforce」をベースとした旅館一元管理システム「陣屋コネクト」を活用
顧客情報管理、売上分析、予約情報管理、アンケート集計、旅館内の情報共有、経営管理などの機能をタブレットやPCに表示されたCRMの画面から自由自在に利用できる
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