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経営課題解決シンポジウム Review 富士通

富士通

未来のワークスタイルを思い描き
スマートデバイスの活用で変革を進めよ

 タブレットに代表されるスマートデバイスは、ワークスタイル変革の実現に欠かせない。スマートデバイスの導入を円滑に進めるには、未来のワークスタイルを定義し、そこから逆算して施策を決めるとよいだろう。ここでは、オフィス、営業、現場の3つのシーンに分類して、スマートデバイスがどのように活用されているかの最新事例を紹介する。

オフィス、営業、現場それぞれで活用されるスマートデバイス

西山 聡一 氏
富士通株式会社
総合商品戦略本部
総合商品ビジネス推進統括部 
シニアマネージャー
西山 聡一

「近年さかんになっているワークスタイル変革は、ビジネスを取り巻く環境の変化によるところが多分にあります」

 富士通の西山聡一氏は、このような分析からセッションを始めた。環境の変化とは、例えば、ワークライフバランスの充実をねらった働き方の多様化や、業務の効率化と高度化に対する飽くなき期待などだ。さらに、使いやすいICT製品/ICTサービスが揃ってきたことにより、変革を実現する手段も整った。広帯域で定額制のモバイルネットワークや、タブレットやスマートフォンなどのスマートデバイスがそれである。

 そうしたICT製品の中でもワークスタイル変革の実現に特に効果的なのが、タブレットである。「法人ユーザーを対象に『タブレットを業務でどのように使いたいか』をアンケート調査したところ、企業の意向は『オフィスワーク』『営業ワーク』『現場ワーク』の大きく3つの分類にまとめられることが分かりました」と、西山氏。タブレット活用がオフィスや営業、現場などでのワークスタイル変革の実現に役立つとの見方を示した。

スマートデバイス活用、3つの検討領域
オフィスワーク、営業ワーク、現場ワークの効率化によってワークスタイルを変革
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 オフィスワークでのタブレット活用に含まれるのは、電子メール、グループウェア、スケジュール管理、文書閲覧などの使い方。ねらいは、あらゆるビジネスパーソンが日常的に行っている業務の効率化だ。

 また、営業ワークでは、営業支援(SFA)システムへの営業日報の入力、受発注と在庫の管理、顧客情報管理(CRM)、販売支援などにタブレットを活用する。CRMとSFAでの使い方は営業プロセスを可視化するのに役立つし、商品やサービスの説明に電子カタログを使うようにすれば持ち歩くのも容易だ。

 一方、現場ワークでの具体的な使い方は業種・業務によってさまざまだ。富士通が行った調査でランキング上位にあがってきたのは、生産管理、物流・配送、保守・工事など。いずれにも共通するものとしては、ナレッジやマニュアルを現場で調べたり現場の状況を撮影して報告したりといった使用法が挙げられる。

「弊社は、7,000社以上のお客さまとの商談を基に、ワークスタイル変革をねらうタブレットの業務活用シーンを『メディア改革』『スピーディな現場支援』『業務システム連携』『データ活用』に分類しています」と、西山氏。すでに公開されている導入事例の中から特徴的なものをセミナー会場のスクリーンに示していった。

ワークスタイル変革はすでに始まっている

 オフィスワークにおけるワークスタイル変革として、ある地方自治体の事例が紹介された。この自治体がタブレットの導入を考えた背景には、会議資料を準備するための手間と時間を削減したいという思いがあったと言う。そこで、会議の際に紙資料を使わないようにするペーパーレス化を決断。資料ファイルはファイルサーバーに置き、会議に出席する人はそれをタブレットで参照する方式に切り替えた。

 すべての会議をペーパーレス化するために、幹部を含む全職員に670台あまりの富士通製タブレットを配布。クレードルも併せて導入し、一般職員はタブレットを事務用PCとしても使っているという。

 会議のペーパーレス化以外にも、さまざまな業務の効率化に活用されている。その一つが、窓口を訪れる市民に制度や手続きを説明する際のドキュメントビューアーとしての利用法だ。テレビ会議端末として、離れた場所にある別庁舎との打ち合わせや外国人来庁者向けの通訳サービスにも活躍しているとのことである。

 また、営業事務プロセス改革を達成するためのツールとしてタブレットを導入した銀行もある。こちらは渉外行員(営業担当者)の業務効率を高めることに成功した。

 銀行の渉外職員の本務は、客先に出向いて顧客とのリレーションを強化することだ。そのためには顧客との面談時間を最大限に確保する必要があり、営業事務に費やす時間と手間を減らすことが長年の課題となっていた。

 そこで、約2,000名の渉外職員にタブレットを配付し、営業文書の電子化を進めるとともに、外出先でも書類を閲覧でき、オフィスに戻らなくても仕事ができるワークスタイルを採用した。

 また、不正アクセスや情報漏洩といったセキュリティ面の懸念については、富士通の手のひら静脈認証センサーを内蔵したタブレットを導入することで解消。スリープ状態から復帰したり仮想デスクトップ基盤(VDI)にログインしたりする際は、IDやパスワードを入力することなく、タブレットに手をかざすだけでユーザー認証が完了する。

 現場のワークスタイルをタブレットの活用により変革した事例もある。道路の維持・補修・管理にあたる土木事務所だ。道路を管理する土木事務所は、ひとたび災害が発生すると、危険個所がないかを確認するパトロールにすぐに出発。破損している個所を見つけたら状況を写真に撮り、事務所に戻ってから報告書にまとめるという仕事のしかたを続けてきた。

 しかし、パトロールが済んでオフィスに戻ってから整理の作業にとりかかったのでは報告書が出来上がるまでに時間がかかってしまうし、担当者の記憶が薄れてしまうことも十分に考えられる。

 そこで、この土木事務所は悪天候の屋外でも使える防水のWindows 8タブレットをパトロールの端末として新たに導入。撮影した写真にタッチペンでマーキングやコメントを書き加えて現場からすぐに送れる仕組みを整えた。導入効果として、同事務所は業務の効率化と住民向けサービスの向上を挙げている。

デザイン思考と目標志向で円滑に推進させよ

 このように、スマートデバイスはワークスタイル変革を成し遂げるのに欠かせない存在となっている。「しかし、企業・団体にスマートデバイスを実際に導入するにあたっては、経営層、情報システム部門、現場といった部門の人たちをうまく説得しなければなりません」と、西山氏は言う。経営層は「費用対効果」、情報システム部門は「検討にあたる人材の不足」、現場は「業務改善へのためらい」を“抵抗”の理由に挙げることが多いと指摘した。

 そうした障壁が生まれてしまうのは“未来の働き方”についてのビジョンがステークホルダー間で一致してないため、というのが西山氏の考え。その打開策として、ワークスタイルについての「将来ありたい姿」をデザイン思考の考え方に基づいて構想し、そこから逆算するかたちで今取り組むべき施策を決めるバックキャスティング(目標志向)型のプロセスを勧めた。

ワークスタイル変革を成功させるために
ワークスタイルのあるべき姿をまず定義し、そこから逆算して施策を決めていく
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 具体的には、まず、「ビジョン策定」でワークスタイルのあるべき姿を定義して、想定される課題を洗い出し。効果測定の方法も、この段階で決めておく。

 次に、労働規則を見直したり費用負担の原則を決めたりして労務関係のガバナンスを確立。併せて、タブレットを活用したワークスタイルにふさわしいセキュリティポリシーとセキュリティを維持する方法も決めておく。

 ここまでの準備が済むと、導入するICTインフラの実際の選定作業にとりかかることができる。検討すべき項目は、導入するスマートデバイスの機種と仕様、ネットワーク構成、関連のソリューションやサービスなど。スマートデバイスには盗難・紛失のリスクがあり、そのときの対応もあらかじめ決めておく必要があるだろう。

「『人を想うICT、働き方の明日へ』と題して、富士通は“Work Renaissance”というコンセプトを提唱しています」と、西山氏。ICT部門が中心となって経営企画・人事総務・現場などと共創し、ICTに十分な投資をすることによって、企業の成長を可能にする未来のワークスタイルを具現化してほしいと会場の聴衆に訴えた。

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