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情報セキュリティは経営リスク 技術力と豊富なノウハウでお客様の価値を高めていきたい

「お客様の価値を高めるプロ集団でありたい」。こう語るのは、NRIセキュアテクノロジーズの増谷洋社長だ。野村総合研究所グループの情報セキュリティ専門企業である同社は、今年で会社設立から15年。セキュリティ情勢の変遷に対応し、好業績を続ける増谷社長に経営戦略を聞いた。

競争力の源泉は人材 人への投資を惜しまない

――会社設立から今年で15年です。創業の経緯を聞かせてください。

元々は、私を含めた4人の社員でNRI(野村総合研究所)の社内ベンチャー第1号として事業を立ち上げました。1995年のことです。ちょうど、インターネットが普及の兆しを見せていた時代です。

NRIでネットワークに関する仕事をしていた仲間と「何か面白いことをしたいね」と話していたことが発端です。そのメンバーはインターネット技術に対して、すでに相当の経験を蓄積していました。そこで、「これからの時代に社会から強い要請があって、かつ自分たちの価値をお客様にダイレクトに伝えられるような仕事は何か」と考えた時に浮かび上がってきたのが、情報セキュリティだったのです。

当時は技術者である自分たちで、営業や契約書作りなど全てをやらなければならない。NRIという大きな組織の中にいたわけですが、私たちの仕事は、まさにベンチャー企業そのものでした。

その後、お陰様で事業が軌道に乗り、5年後の2000年に会社として独立するに至りました。会社設立からこれまで、多くのお客様にサービスを提供する機会に恵まれ、たくさんのご支持をいただいています。社員数は約300人。国内で最大級のセキュリティ専業ベンダーにまで成長することができました。

情報システムを守るのは人だ

――多くの競合企業が存在しますが、貴社の強みは?

端的に言うと、人です。最新のツールがあればセキュリティ被害を防げると思われがちですが、現実にはそうではありません。近年は、お客様のIT環境が複雑化するともに、サイバー攻撃の手口が巧妙化しているので、どんなに高度なツールを導入しても万全というわけにはいきません。

さらに、IoT(モノのインターネット)の進展によって、既存のコンピューター機器以外のモノがインターネットにつながってきているので、未知の状況にも対応する能力が求められるようになりました。お客様のIT環境ごと、そしてその局面ごとに何が起こっているのかを判断する能力が問われます。

NRIセキュアにはこの20年間に育んできた様々な蓄積があります。お客様に提供するサービスや製品を自社で開発してきた技術力。業界のリーディングカンパニーであるお客様のもとで鍛えられた豊富な人材。そして、特定ベンダーに依存しない立場で身に付けた市場の多くの製品に対する知識とノウハウ。これらの蓄積が私たちの強みです。

セキュリティ監視センター(SOC)。日米に設置している。セキュリティアナリストが24時間365日体制で、顧客の情報システムをリモートで監視し、セキュリティ上の問題や兆候の分析、対応を行う
セキュリティ監視センター(SOC)。日米に設置している。セキュリティアナリストが24時間365日体制で、顧客の情報システムをリモートで監視し、セキュリティ上の問題や兆候の分析、対応を行う

誇れるのは、他社には類を見ないような人材育成体制を築いていること。セキュリティ業界では世界的に著名な「GIAC」という高度情報セキュリティ資格がありますが、これを運営する米SANS Instituteとは国内で独占契約を結んでいます。研修サービスとして外販もしていますが、社内の研修制度として資格取得のプログラムに活用し、すでに約100人が資格を取得しています。この取得者数は、日本企業としては有数の規模です。

情報セキュリティ業界では現在、人材が競争優位性の源泉となってきているといっても過言ではありません。私は常々、社内外で「情報システムを守るのはツールやシステムではない。人なんだ」と言っています。

我々の社会的な意義が高まる

――国内ではセキュリティ人材が不足していると言われていますが、どのような資質が求められますか。

セキュリティ被害の大半がコンピューター・ウイルスによるものだった時代には、テクノロジーに通じていることが大切でした。しかし、最近ではマネジメントを理解することが重要な課題になってきています。

というのは、セキュリティ被害は従来、システム障害などと同様にITリスクだと捉えられていたのですが、最近は多くの経営者が経営リスクの一部だと認識し始めているからです。こうした風潮の契機となったのが、特定企業の機密情報を狙って盗み出す「標的型攻撃」が蔓延してきたことです。

実際、私たちがお客様と接する際、一昔前であればIT部門の方々とお話ししてきたのですが、最近は役員会などへの参加を求められ、説明させていただく機会が増えてきました。テクノロジーとマネジメントの両方を理解することは簡単なことではありませんが、裏を返せば、私たちの仕事の社会的な意義が高まったことを意味します。

これからのセキュリティ対策は教科書通りに提案するだけでなく、どうすればお客様のビジネスの価値を高められるのかといった想像力を働かせることが大切です。自ら考えて動くという、創業当初のようなベンチャースピリットが求められます。

NRIセキュアの社員には、自分たちならではの価値の出し方を常に考えていってほしい。業界大手で豊富なノウハウを持つ当社だからこそできることがあるはずです。お客様のビジネスの価値を高める、さらには社会全体に貢献できるようなプロフェッショナル集団であり続けたいと考えています。

NRIセキュアテクノロジーズ
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