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営業は目標を「絶対達成」すべし それには爆発的な行動量が必須

【インタビュー】
アタックス・セールス・アソシエイツ 横山信弘氏
営業は目標を「絶対達成」すべし それには爆発的な行動量が必須

営業を強化し、売り上げを増やすことは企業活動の基本です。営業目標を「絶対達成」させるコンサルタントとして知られる横山信弘氏に、営業強化の原則と具体策、ICT利用の勘所を尋ねました。

横山 信弘 氏
アタックス・セールス・アソシエイツ
代表取締役社長

1969年名古屋市生まれ。アタックスの主席コンサルタントとして活躍中。営業目標予算の2倍の材料を仕込む「予材管理」が注目され、コンサルティングのみならず、セミナー講師としても人気を博す。年間100回以上実施するセミナーは常に満員で、5000名超の経営者/マネージャーを動員する。「読むだけで言い訳が無くなる」と評判のメールマガジン「草創花伝」は口コミで広がり続けている。日経ビジネスオンラインにて「横山信弘の絶対達成2分間バトル」を連載中。近著に『課長塾 必達課 横山信弘の5枚のシートで営業目標を絶対達成』がある。

営業目標必達は営業のリスクマネジメント

―営業強化に悩んでいる企業が少なくありません。営業のコンサルタントとしてどう見ていますか。

 営業強化がそれだけ重要ということです。企業にとって「売る」活動は基本中の基本です。新規の顧客を開拓し、繰り返し接触して商談にこぎつけ、注文をいただいた後も訪問を続けてファンになっていただく。こうした活動なくして企業の成長はありえません。

 世の中の変化があれこれ語られていますが、営業の仕事はなくなりません。営業の強い会社は確実に生き残っていきます。それどころか強い営業力があれば、競争が激しい新市場にあえて進出し、そこに昔からいる企業を打ち破っていくことさえ可能です。

―営業を強くするためには何から始めるべきでしょうか。

 営業の仕事は、営業目標を達成することです。当たり前ですが、営業担当者や管理職がこの認識を持つところから始まります。私は営業目標を「絶対達成」すべしと申し上げています。昨今、この点が曖昧になり、営業や管理職が「今期の目標は高い、8割こなせれば上等だ」などと、ぼやいている会社があります。このような雰囲気があるところで営業を強くなどできません。

 「絶対達成」というと「何が何でも売ってこい。注文をとるまで帰ってくるな!」といった、根性に基づくやり方と受け取る方がいますが、まったく違います。絶対達成とは、目標が未達になるリスクを事前に回避して、「最低でも目標ぐらいは達成しよう」ということです。すなわち営業のリスクマネジメントです。

 営業目標は経営の要請から決まるわけで、高いも低いもありません。目標がいくらであっても達成する、それが営業です。1週間で売ってこいと言われたなら別ですが、年度末までに達成すればよい訳です。そこから逆算して、どこで、どの商材を、どう売れば目標を達成できるのかを考えて実行し、何らかのリスクが発生したら対処していく。

 こうしたリスクマネジメントは誰でもやっています。絶対達成について説明する際、よく例として出すのですが、誰かと待ち合わせをしていたら、約束の時刻までに約束した場所に行こうとするはずです。何時に出れば間に合うか、考えて行動する。交通渋滞に巻き込まれても、約束を守る方法を考え、なんとかしようとする。それが絶対達成ということです。「待ち合わせの約束は8割守れば上等」とは誰も言わないでしょう。

「2ミニッツ営業」でお客様との信頼関係を築こう

―営業担当者や営業部門が絶対達成しようと決めたら、何をすればよいですか。

 営業の行動量を引き上げ、お客様を訪問する回数を大幅に増やすことです。理由をあれこれ言って事務所にとどまっている営業担当者は結構います。一人の訪問回数が1日数件ということはあり得ません。

 扱っている商材やその会社の営業スタイルによって違ってきますけれども、営業日が20日あるなら営業一人が月に200件以上訪問する。これが一つの目安です。私どものコンサルティングを受けて、一人が毎月400~500件を訪問するようになった会社もあります。

 こう説明すると「不可能」とか「労働強化しても売れない」とか、反論してくる営業担当者がいますが、私は「2ミニッツ営業」をしてほしいと答えています。お客様を訪問したら最小限のやり取りだけして2分間程度で引き上げる。残業して訪問回数を増やせと言っているのではありません。もちろん効率よく回る順序など工夫は必要です。

「ICTは営業の行動量を増やすことを支援するツールです」(横山氏)

 2ミニッツ営業は「単純接触効果」により、お客様との信頼関係を築くことを狙ったものです。信頼がないところで、いくら営業がセールストークを駆使しても売れませんし、かえって煙たがられます。

 特に新規のお客様を開拓する場合はそうです。お客様の候補に何度も何度も会いに行き、信頼関係を築いていくことです。種まき・水まきという言い方もしています。草花に霧状の水を優しくかけるように、お客様と短時間の接触を繰り返し続ける。こうして、多数のお客様と信頼関係を築いてこそ、目標未達のリスクを回避でき、「絶対達成」ができるわけです。

―営業部門の管理職はどう管理すればよいのですか。

 私どもは「予材管理」を提唱しています。予材とは「予め見えている営業の材料」です。具体的には、ほぼ受注できる見込みの案件、今手がけている商談、そして単純接触を繰り返しているお客様のところにあるポテンシャル、これらを足し合わせたものです。予材を営業目標の2倍の額まで積み上げて管理することを勧めています。

 予材の状況を把握しておくと「目標達成のために何をすべきか」が見えてきます。大事なのは新しい予材を積むための訪問をやっているかどうか。営業部門の管理職は、行動量が計画通りに増え、予材が積み上がり、いわば「資産」が形成されているかどうかに気を配ってほしい。そうすれば複利効果が効いてきて、最低でも目標を達成できるようになります。予材管理は未達リスクを下げる、再現性のある手法なのです。

 営業担当者はどうしても見込み案件や商談に時間を費やしてしまいがちです。それでは、未達リスクを分散できません。そこで管理職が営業担当者に対し、「新しいお客様に接触できていないぞ。どうすればいいか一緒に考えよう」と声をかけていく。「あの商談はどうなっている」「今月いくらになる」と問い質しているだけでは、営業はますます目先のことに追うようになり、未達のリスクが高まります。

ICTは必須、ただし行動支援に特化すべき

―外回りをする営業担当者を支援するためにICTが使えそうです。

 訪問回数を爆発的に増やすと、営業所に昼間立ち寄ったり、無駄な会議に出ることを止めるようになっていきます。提案書や見積もり書を営業所のスタッフが作って営業担当者を支援する仕組みなどが求められます。

 外に行きっぱなしになる営業担当者にとってICTをうまく使って、営業同士や上司、スタッフと連絡を密にしていくことは必要です。書類を取りに営業所に戻らなくても、メールで送ってもらい、社外で簡単に印刷できる時代です。ただし、あくまでもお客様を訪問することが営業の仕事です。ICTがそれを阻害するようでは本末転倒です。

 実は営業担当者はすでにICTをかなり取り入れています。スマートフォンは持っているでしょうし、ノートPCが支給されていることが多い。最近流行のタブレットも配られたりしています。いずれも便利なツールですが、便利過ぎて行動の妨げにもなります。勤務中にネットサーフィンなどをするのは論外として、喫茶店にこもって提案書や報告書を作り、それで仕事をしましたと言われても困ります。

 行動量を増やす、それを支援するという点に絞って、ICTを使うことを考えないといけません。例えば私はほとんど事務所におらず、部下も飛び回っています。そこでスマートフォンのメッセージングアプリを使って、仕事の状況報告や相談を頻繁にしています。ただし私の場合、スマートフォンで余計なことができない設定にあえてしています。

 タブレットについては、営業の訪問先を示した地図を表示し、訪問したらその結果を簡単にメモできるアプリ「絶対達成ナビ」を作り、いくつかのお客様で使っていただいています。管理や監視が狙いではありません。地図を見て「午前中にもう一件行こう」とゲーム感覚で行動してもらおうというものです。前日に翌日の訪問予定をダウンロードしたら、後はインターネットにつながなくてもいいくらいです。

 結局は「絶対達成」の姿勢の有無に戻ります。絶対達成のために行動量を増やそうと取り組み、そのことだけにICTを使いこなす。そうすればスマートフォンやタブレットで遊んでいる暇などなくなります。

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