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「減らす」社長が考える「失敗しないICTの使い方」

【コラム】
社長が考える「失敗しないICTの使い方」
手間・時間・費用が増える理由と減らす方法

経営資源の三要素として「ヒト・モノ・カネ」が挙げられます。これらを使い切ることも、温存することも許されません。三要素を増やし、使い、蓄えるためには、いくつかの基本動作があります。本サイトのテーマである「利益を出す三箇条」、すなわち「売る・減らす・守る」です。今回は「減らす」ポイントに着目します。

著者紹介
津川 雅良(つがわ・まさよし)
北海道佐々木商会 代表取締役社長

1977年山田照明入社。1981年北海道佐々木商会入社、店舗配属。1984年メルコムビジネス出向、プログラマに従事。1985年2月7日三菱電機システム設計(オフコンコース)認定取得、1991年までSE(システムエンジニア)に従事。1992年北海道佐々木商会に戻り、現在に至る。業界団体の全日本電設資材卸業協同組合連合会(全日電材連)でEDI(電子データ交換)プロジェクトを担当。日経ビジネスオンラインに『目指せ「社長不要の会社」 会社つなぎ奮戦記』を連載。

 売り上げが増えても、手間・時間・費用が増えては意味がありません。これら三点を減らすことは企業の重要な課題です。ところが、昔から言われているにもかかわらず一向に減りません。

 課題の解決には、原因を明らかにして対策を立てることが必要です。手間・時間・費用が増える原因と減らす対策の一例を示します。

手間が増える理由=業務の手順が統一されておらず、つど別の方法で対応している
手間を減らす方法=業務を標準化して、皆が同じ方法で誰でも対応できるようにする

 業務の標準化が効率改善に役立ち、企業と企業で働く人々の負担を軽減する最善策です。例えば、机や引き出しの使い方が統一されていれば書類探しは簡単ですが、整理整頓が苦手な人や机の上を片付けない人がいると、社内は例外だらけになります。

 例外がお客様の要望から生じたり、上司先輩の都合によるときは厄介です。解決に向けて標準化に取り組む必要があります。

時間が増える理由=仕事の取り組み方が場当たりで、待ち時間や打ち合わせが多い
時間を減らす方法=流れやスケジュールを明確にして、皆が共有する

 仕事に夢中になると時間を忘れがちです。完成度を求めるあまり約束の時間に間に合わず、注文を断られる場合すらあります。

 どのような仕事にも締め切りがあり、必ず守らなければなりません。時間の有効利用には計画と予定を立てる習慣と、柔軟に変更できる臨機応変さが必要です。

費用が増える理由=効果を考えない、あるいは前例に従うだけで目的を考えない
費用を減らす方法=効果を予測しながら目標を立て、実績を確認しながら修正する

 スーパーマーケットの特売チラシを見ても、タクシーに乗って店に行くようでは、費用は減りません。効果も出ません。

 得には損が付き物です。得と損を比べて得が多いことを確認してから物事を進めるには費用対効果が見える仕組みが必要です。

時をさかのぼり、始めから改革する

 以上をまとめると、業務を標準化して手間を減らし、お互いの情報を共有して時間を減らし、効果を最大にして費用を減らす、ということになります。そのための手段がICT(情報通信技術)と言えます。

 ただし、成長を目指して始め、現状維持に終わるのが人の常です。「このお客様は例外です」「昔からこうしています」と現状維持を主張する、実質的な反対勢力を生じさせない工夫が求められます。

 「このままでいいのです」という意見が出た時には、さかのぼって最初の頃まで戻り、このようにした理由を確認します。本当の理由と人々の状況説明とを、見分け、聞き分ける目と耳が必要です。私は社内で、理由と状況について次のように説明しています。

理由と状況の違いを区別する

 理由が正しいなら、そうする目的と効果が明示できるはずです。明示というのは数字が示せるということです。言い換えると、数字が示されないと実行は約束されません。

 「昔からこうしている」は状況です。理由が不明なら不採用となります。つまり、「こうしている」を止めてもらいます。

理由と状況の辞書化

 「昔から…」ということの「理由」として上げられる「状況」をいろいろ聞いていると、大体同じであることが分かります。厳しく言うなら、言い訳です。

 そこで理由と状況を整理し、辞書としてまとめておきます。「昔から…」と言ってきた社員には「辞書を引いたか」と伝えることで、説明の繰り返しを防げます。

賞味期限の明示

 あるときは正しい理由があっても、いろいろなことが変化し、その理由が成り立たないときが来る場合があります。「理由」が正しくなくなり、単なる「状況」になってしまう時期を予測しておけば、それを事前に社員に伝え、その活動の陳腐化を避けられます。

 さかのぼって最初の頃まで戻るやり方はいろいろなことに使えます。費用を減らす方法として、「効果を予測しながら目標を立てる」と説明しました。目標を立てる際にも、さかのぼります。

 経費なら勘定元帳をすべて読み、減らせる項目を見つけ、その項目について「止める」と社内に宣言します。項目の合計を求めれば、「何円削減」という目標になります。あとは一定期間ごとに削減額の実績を確認していきます。さかのぼらず、「経費を何%削減」という目標にしてしまうと、実績を常に確認しなければならず、新たに見張るための費用が生じてしまいます。

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