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「守る」 社長が考える「失敗しないICTの使い方」全社一丸となって不正に立ち向かう姿勢をとる

【コラム】
社長が考える「失敗しないICTの使い方」
全社一丸となって不正に立ち向かう姿勢をとる

経営資源の三要素として「ヒト・モノ・カネ」が挙げられます。これらを増やし、使い、蓄えるためには、いくつかの基本動作があります。すなわち「売る・減らす・守る」です。今回は「守る」ポイントに着目します。

著者紹介
津川 雅良(つがわ・まさよし)
北海道佐々木商会 代表取締役社長

1977年山田照明入社。1981年北海道佐々木商会入社、店舗配属。1984年メルコムビジネス出向、プログラマに従事。1985年2月7日三菱電機システム設計(オフコンコース)認定取得、1991年までSE(システムエンジニア)に従事。1992年北海道佐々木商会に戻り、現在に至る。業界団体の全日本電設資材卸業協同組合連合会(全日電材連)でEDI(電子データ交換)プロジェクトを担当。日経ビジネスオンラインに『目指せ「社長不要の会社」 会社つなぎ奮戦記』を連載。

 コンピュータウイルスの危険性は各所から伝えられています。お恥ずかしい話ですが、当社は2001年に痛い目に遭いました。その年に社内のパソコンをインターネットに接続した際、ウイルス対策ソフトの導入が遅れ、対策ソフトをインストールする前日、コンピュータウイルスに感染してしまったのです。

 入り込んだウイルスは亜種だったようで、当時の対策ソフトでは駆除しきれず、元システムエンジニアの私が手作業でウイルスを駆除するはめになりました。これに懲り、それ以来ウイルス対策には気を付けており、問題は起きていません。

 しかし、企業にとって必要なのは、外部からやってくるコンピュターウイルスへの備えだけではありません。社内についても守りが欠かせません。

 例えば、退職者が機密情報を持ち出したという事例が時折、報じられています。情報の電子化で持ち出しが簡単になったためと言われます。会社の資産すべてが電子化されているとは限りませんが、かなりの資産がそうなっています。

 情報の電子化が進めば進むほど、守りについても電子化しなければなりません。重要な情報を閲覧できる人を制限するソフトなどがあります。

 ただし、当社の創業者に以前聞いたところ、情報の持ち出しという事件は昔からあったそうです。当時は手書きの台帳や帳面で情報を管理しており、情報を持ち出そうとすると手で書き写すしかなかったわけですが、それでも現場を押さえるのは大変だったと聞きました。

 私が入社した頃から状況が変わりました。コピー機が導入され、情報を持ち出しやすくなったのです。1995年にある事件が起きました。経費削減のために、社内の備品の利用状況について数字を分析してみたところ、コピー用紙の消費が急増していることに気付きました。

 ここで言うコピー機はいわゆる乾式のもので当時は高級品でした。このため外部に提出する資料を用意するためだけに使うことにして、社屋の最上階に置き、ほぼ決まった数人だけが操作していました。

 コピー機のカウンターから集計した結果を当時の社長に渡したところ、社長は最上階で勤務していた何人かと話し合いをしていました。翌日、1人が退社しました。

 一件落着かと思いきや、コピー用紙の減り方にあまり変わりがありません。紙類の倉庫からコピー用紙を持ち出した人を見かけたので確かめると「子供の落書き用に持ち帰っていた」とのことでした。

「これくらいはよい」を認めてはならない

 社員なら「これくらいのことは理解しているだろう」と社長は思うものですが、社員によっては「これくらいのことはよいだろう」と思うものです。コピー用紙の一件でそれを思い知らされました。

 「これくらいのことはよいだろう」は改めてもらわないといけません。一事が万事であり、次第に備品と私物の区別をしなくなるものです。

 また、得意先から「不正の疑いがあるので協力してほしい」と要請され、何年も前の資料から該当する情報を集め、現場にある機器の数量と取り引きデータを比べたこともありました。この時は得意先のなかに犯人がおりました。

 コピー機が登場しようがしまいが、パソコンが登場しようがしまいが、中小企業だろうが、大企業だろうが、不正行為に手を染めてしまう人が出る可能性はあります。現場や取引先に根拠のない善意を期待していると後々、数倍の手間が発生しかねません。

 会社の財産や情報を守るには、全社一丸となって「守る」重要性を理解し、不正に立ち向かう姿勢が不可欠です。そして、「きちんとするのが当たり前」で済ませていることが本当に守られているか、確認する仕組みや仕掛けが必要になります。「これくらいのことは理解しているだろう」としてはなりません。

 求められるのは行動規範、行動指針です。何をどのように守るか、意思と行動を明確にして、曖昧にならないようにすることです。物事のとらえ方、考え方に踏み込んで対策を講じるのです。これは「守る」だけではなく、「売る」「減らす」についても同じです。行動規範が利益の三箇条すべてを実現します。

 物事のとらえ方、考え方ではなく、実際の行動について細かく対策をしようとすると、いわゆる「べからず集」を作ることになります。ところが詳細な「べからず集」は人の動きを止めてしまいます。べからず集に書かれていない事象は不正ではないと認識する人も出てきます。そもそも、すべての「べからず」を表現するのも不可能です。

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