日経ビジネスONLINE Special 週刊日経ビジネスオンライン SPECIAL日経ビジネスオンライン

グローバル製造業の経営戦略 研究開発投資続け、技術革新に強み ソリューション提供企業に進化へ

台湾を本拠に、世界に114の営業拠点を持ち、7500人のエンジニアを含め7万人を超える社員を抱えるデルタ電子。スイッチング電源やDCブラシレスファンでは世界トップレベルのシェアを持つグローバル製造業だ。2004年のCEO(最高経営責任者)就任から2013年までに、時価総額を6倍以上に高成長させたヤンシー・ハイ会長に、デルタ電子の強みと今後の経営戦略を聞いた。

売上高の5~6%を研究開発に

――主な事業領域と御社の強みを、改めて教えてください。

ヤンシー・ハイ 氏

 「パワーエレクトロニクス」「エネルギーマネジメント」「スマートグリーンライフ」――。大きくこの3分野に注力しています。これらは全て、社会の問題を解決する、世界に役立つ事業といえます。

 特に、電力需要の拡大と相対的な供給不足は、今後も続くであろう大問題です。省エネソリューションは当社の得意分野。2010~13年までの4年間、お客さまは当社製品を利用することで119億キロワットを省電力化できました(CO2換算で640万トン削減)。

 デルタ電子としてグローバルで注力している戦略は「イノベーション(技術革新)」です。連結売上高の5~6%を研究開発費として毎年投資しており、2008年の「金融津波」(米国サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機)のときでも減らしませんでした。

 イノベーションへの積極投資は今後も続けます。この点が競合他社との最大の違いであり、強みだと思っています。

 当社の特色は、①意思決定のスピードが速い、②生産ラインの効率化にすぐれる、③世界56カ所にR&D(研究開発)センターを構える――などです。

 意思決定がスピーディーなのは企業文化として浸透しています。アフターサービスでは、お客さまへの対応は翌日にすぐ行うなど、顧客第一主義で取り組んでいます。製品のライフサイクルが短くなっている昨今、この強みはより大きな意味を持ってくるはずです。

 中国を中心に多くの生産拠点を置く新興国で人件費が高騰していますが、当社の工場(生産ライン)は自動化が進んでいます。例えば、以前は100人の人員が必要だった工場で、効率化が最も進んだラインは25人と、1/4の人員で製造できるようになっています。

デルタ電子の主要事業
[画像のクリックで拡大表示]

顧客の近くにR&Dセンターを設置

――世界56カ所にR&Dセンターを構えています。

 当社は世界中で、数多くのメーカーやサービスプロバイダーなどとビジネスをしています。お客さまと市場の近くにR&Dセンターを置くことで、お客さまとのコミュニケーションが活発になり、迅速に対応できるからです。現地の優秀なエンジニアも採用しやすくなります。

 「事業規模に比べてR&D拠点が多すぎる」という指摘があるかもしれません。しかし、多くのお客さまとお付き合いしている以上、過剰とは思っていません。今後、各R&D拠点が持つ調査・研究機能を当社の中央研究所(台湾)に集約しつつ、各拠点の開発機能をより拡充し、より付加価値の高い製品・サービスに結びつけていきます。

 当社は今、冒頭で触れた3つの事業領域を基本とする「コンポーネンツ(部品の製造・組み立て)企業」から、より付加価値の高い「ソリューション提供企業」への変革期にあります。

 そのためには、お客さまのニーズが分からなければ何も進みません。その基盤となるのは、当然、技術力です。

 例えば、新興国の携帯基地局のソリューションでは、周囲に送電網も何もない土地に携帯基地局を設置しなければなりません。そこで有効なのが、当社のハイブリッド技術です。太陽光発電で昼間に発電し、夜は蓄電された電力を使います。発電施設の開発・設置コストと比べれば、格段に低コストで設置でき、非常にニーズが高い。

 これからも、当社の幅広い既存技術を応用しながら、低コストで素早くソリューションを提供していきます。

長く続く「信頼」を、求め続ける

――ソリューション提供企業に移行するにあたっての課題は。

 ソリューション提供企業にとって、高品質な製品や高い技術力は当たり前です。それに加えて、企業の品格=信頼が問われます。一朝一夕に実現できないことは重々分かっています。成果を積み重ね、お客さまに認めていただけるよう努力を続けていきます。長期戦は覚悟しています。

 企業の持続的成長に欠かせない要素として、売上高や利益の成長のほかに、3つあると考えています。

 人材=ヒューマンキャピタル、ガバナンス(企業統治)、そしてCSR(社会的責任)。これらを重視しつつ、きちんと利益を積み上げていくことが大事です。特に人材は、2008年の世界金融危機の際に1人もリストラしなかったことで、直後の景気回復期に急速な成長を遂げることができました。

 1989年に日本に参入しましたが、日本企業にはとても感謝しています。要求仕様は大変厳しいものでしたが、それに対応していくことで当社の技術力と品質を大きく底上げできました。

 2014年7月に東京・品川にテクニカルセンターを開設しました。

 今後とも、日本企業の皆さまと協力しながら研究開発への投資と技術&プロセス改革を進め、約22%のROE(株主資本利益率)を25%に拡大させる計画です。

デルタ電子 DELTA ELECTRONICS, INC.
デルタ電子 DELTA ELECTRONICS, INC.
〒105-0012 東京都港区芝大門二丁目1番14号
デルタ電子株式会社 マーケティング課
TEL.03-5733-1188 FAX.03-5733-1288
E-mail:jppress@dej.co.jp  URL:http://www.dej.co.jp/