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経営課題解決シンポジウム BCP 事業継続のための危機管理対策 Review PFU

日常業務に紙文書の電子化を組み込み BCPと業務効率化の両立を実現

沖野 重幸 氏

PFU
マーケティンググループ
シニア・エヴァンジェリスト
沖野 重幸

 企業が扱う情報のうち電子化されているものは全体の2割程度、大部分は紙文書として扱っている――。しかし、一般的に事業継続計画(BCP)の対応策としては、基幹業務システムのデータベースや、電子メールなどの電子データのバックアップだけで済ませているケースが多く、事業の継続性が危ぶまれる。

 BCPの対策で、企業の持つ文書の保全が対象外になっていないだろうか。PFUのマーケティンググループ シニア・エヴァンジェリストの沖野重幸氏は、「突然大きな災害に遭って紙文書がなくなった場合、すぐに企業活動を再開できるかどうか考えてみてください。業務に大きな支障を来たして再開できないのであれば、BCPのための紙文書対策は必須です」と説明する。

 郵便やファクシミリで送られてくる発注書をはじめ、顧客から受け取る契約書、そのほかの領収書や納品書などは、いまだに紙文書の場合が多い。企業の業務は紙が手渡しされながら動いているといっていい。

 業務処理が終わり書庫に入ったデータも、不要になったわけではない。いざとなれば証拠として有効だったり、現在の業務を進めるため、以前の経緯を知るために必要だったりという事態に備えている。

紙文書の電子化は「発生」の段階で

 紙文書を保管・保存する段階でコピーをとりバックアップしている企業もあるが、それでは「遅すぎる」と沖野氏は指摘する。保管・保存段階になってからコピーをとってもBCPの観点からの対策にならないためだ。

従来は「保管」段階で紙文書をコピーしていたケースが多かったが、文書の「発生」時に電子化する。さらに基幹業務システムに連携させ、電子データを業務「処理」に活用し、BCP対策にもつなげる
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 企業における紙文書の業務フローは、以下の通りになる。顧客から書類を受け取るなどの、文書の「発生」から始まり、次に業務上で「処理」をし、一般的に基幹業務システムにデータを入力して確認するまでは、業務は紙文書で動いている。

 その後、業務処理された書類はファイリングされ、内容と所在が分かるように「保管」される。さらに使用頻度が下がると、紙のファイルはオフィスから離れた倉庫に「保存」される。

 保管・保存の段階の書類はほとんど使われることがない。業務を遂行する上で重要なのは、受領から処理の段階の紙データなのだ。

 BCPの対策のためには、文書の発生時にすぐに内容を電子化してバックアップを作成する必要がある。それをさらに一歩進めて、その電子化したデータを基幹業務システムと結び付け、システムから必要なデータを呼び出せる仕組みにすれば、業務効率は一気に上がる。

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文書の電子化が示す業務継続の強靭さ

 紙文書の発生時に電子データ化する有効性を示す例として、米国の大手保険グループ「マーシュ・アンド・マクレナン」の被災が挙げられる。同社は、ニューヨークの世界貿易センタービルに本社を置いていた。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件に遭遇したが翌日から業務を再開、失った文書データは当日分のみだった。

 同社は1995年から、文書を受領すると同時に電子化して業務に使用するシステムを構築していた。残った人員が翌日から別のビルで業務を開始し、事業を継続した。

 このケースは、米国企業で一般的な「メール室」の仕組みと関連している。米国企業ではテロ対策も含め、手紙などの配達物はメール室で一括して受け取り、開封後に電子化を行っている。業務では、電子化したデータを使うことが一般的であり、紙に頼ることは少ない。

 一方、わが国でも東日本大震災が起こり、事業継続は大きな問題になった。富士通は仙台の事務センター業務が停止したうえに、震災の影響で滞った取引先からの証憑が年度末決算に合わせ同月末に集中するという事態に陥った。

 同社は仙台の事務センター業務を関西に移管して翌日から業務を再開。東京に集中する年度末の処理業務を全国の事務センターに振り分けて処理量を平準化する仕組みを用いて、決算を無事に処理できた。

 同社はすでに、営業証憑(しょうひょう)の電子化を実現していたため、こうした臨機応変の素早い対応ができた。このシステムは、事業継続のみを目的に導入したわけではない。主な目的は営業部門と業務管理を分け、だれの目から見ても明らかな統制システムにすることで改ざんなどが起こりえない信頼性の高い仕組みにし、業務を集中することで効率を上げることだった。

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基幹業務システムと連携し効率化を

 こうした事例を踏まえPFUの沖野氏は、「BCP対策の特別なシステムを用意するのではなく、紙文書の電子化と基幹業務システムの連携により効率的な日常業務ができるような仕組みにすれば、BCP対策も自ずと実現できるのです」と説明する。「それを実現できるのが、PFUの『紙文書最適化ソリューション』です」と、続けた。

文書を電子化したデータを自動的に仕分けし、文字認識によりインデックスを付与することにより、基幹業務システムに連携することができる
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 これまで紙の文書をコピーしバックアップしていたのであれば、そのタイミングを保管段階ではなく受領段階に前倒し、さらに基幹業務システムと連携させ業務に活用できるようにする。それには(1)電子化、(2)仕分け、(3)文字認識、(4)基幹業務に連携、という4つのステップがある。『紙文書最適化ソリューション』はそれぞれの段階を支援する仕組みになっている。

 最初のステップである電子化においては、最適なスキャナの選択がポイントになる。集中して大量の文書を電子化するなら据え置き型の大型スキャナ、分散してそれぞれの部署の机の上でスキャンするならデスクトップ型の小型スキャナなど、多様なスキャナがある。用途に適してかつスムーズにスキャンできる機種を注意深く選ぶべきだろう。

 文書の仕分けは自動で可能だ。日本の文書は罫線が多く、文書の種類によって罫線のフォーマットも異なるため、その違いを利用して仕分けることができる。文書のフォーマットが同じで内容が異なる文書の場合には、特定の場所にある文字や番号、色を読み取ることで仕分けることができる。

 仕分けされた文書は、どこに何の情報があるのかが分かる。数字や日本語などの文字認識や、QRコード・バーコードなどを読み取ることで紙文書の内容から、インデックスを付与することができる。結果として、紙をファイリングして管理するより電子化するほうが、効率的である。

 ここまで来ると、基幹業務システムにデータの関連付けをできるようになる。基幹業務と紙文書のデータを連携させると、例えば、基幹業務システム上で表示された案件名や文書名、管理番号をクリックすることで、関連する紙文書の電子化イメージが表示されるといった仕組みを構築でき更なる効率化を実現できる。この場合、基幹業務システムにはあまり手を加えずに、連携を実現することが重要だ。基幹業務システムの改修は、リスクも作業量もコストも大きくなるためだ。

 災害時の事業継続を実現するには、紙文書を電子化したデータが重要な役割を果たす。そのためには紙文書のデータと基幹業務システムを連携させ、業務の効率化を実現できる手段として、日常業務のフローに負荷をかけずに組み込むことがポイントだ。これにより業務の効率化とBCPを同時に実現できるようになる。

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