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リアルタイム分析最新事例とそのビジネス効果

【講演資料】リアルタイム分析最新事例とそのビジネス効果

リアルタイム分析最新事例とそのビジネス効果
― データの鮮度と量がカギ。リアルタイム分析を支えるIT基盤とは ―
日本IBM 髙田充康氏

従来のデータ分析にかかっていた時間をリアルタイムに近づけることで、売上増やコスト削減など大きな効果を創出することができる。たとえば、クレジットカード会社は不正防止により、20億円の効果を生み出した。分析時間を99.8%削減してクロスセル、アップセルを強化した小売業もある。リアルタイム分析を実現するためのカギは、基幹システムと分析システムの融合である。

分析のPDCAサイクルで予測精度をさらに高める

日本アイ・ビー・エム株式会社 ソリューション事業部 ビッグデータ・テクノロジー・センター 部長 髙田充康氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソリューション事業部
ビッグデータ・テクノロジー・センター 部長
髙田充康氏

 ビッグデータというと、SNSやIoT(Internet of Things)で生み出される非構造化データに注目が集まりがちだ。しかし実際には、分析対象として日々のビジネスの記録ともいうべきトランザクション・データが用いられることが多い。

「基幹システムの扱う取引データがトランザクション・データです。分析して予測モデルをつくり、もう一度基幹システムに戻して分析する。こうしたPDCAサイクルを回して予測精度を高めようということです」と語るのは日本IBMの髙田充康氏である。

 たとえば、金融取引における課題として不正取引の検知と防止がある。課題を解決するためには、過去の膨大なデータから不正パターンを特定し、該当する取引の要求があったときに、取引に応じるべきか否かを判断するといった手法が考えられる。

 あるいは、ECなどの分野の一般的なレコメンデーション。消費者のアップセルやクロスセルにつなげるための仕組みだ。これを実現するためには、過去の履歴などをもとに予測モデルをつくり、それをアルゴリズム化して基幹システムに埋め込む必要がある。

 こうしたリアルタイム分析は進化を続けてきたが、その予測制度については課題も多い。たとえば金融取引では、クレジットカードの不正利用が世界中で後を絶たない。リアルタイム分析に取り組むクレジットカード会社は増えつつあるが、不正利用を大きく減らすためにはその精度を一層高める必要がある。では、どうすれば精度を高めることができるのだろうか。

「カギを握るのはデータの鮮度と量です。できるだけリアルタイム、またはそれに近いデータを大量に集めて分析する必要があります(図1)。その際、新鮮かつ大量のデータを分析するITインフラは重要な要素です」と髙田氏は言う。

(図1)精度の高いリアルタイム・アナリティクスをビジネスに活かす

精度の高いリアルタイム・アナリティクスをビジネスに活かす

不正防止「20億円の効果」、分析時間「99.8%削減」

 ITインフラの刷新によってリアルタイム分析の精度を高める。その先進事例として髙田氏は、IBMがサポートした2つの企業を挙げる。

 まず、英国のクレジットカード会社A社である。クレジットカードやデビットカードの不正は英国では深刻な問題だ。A社は従来、基幹システムの取引データを夜間にまとめて分析システムに移した上で、分析チームが不正パターンの特定などを行い、予測モデルをつくっていた(図2左)。

「従来手法ではデータの移行作業などが発生するため、どうしても時間がかかります。最新の不正の手口が見つかった場合、それを検知する予測モデルが基幹システムに反映されるまでに2日以上を要していました。これでは、その間に同じ手口の不正が繰り返される可能性があります」(髙田氏)

 そこで、A社はITインフラの組み替えを実行した。基幹システムから分析システムを切り離し、IBM PureData System for Analyticsをベースとしたアクセラレーターと呼ばれるデータ分析に特化した機器を導入(図2右)。基幹システムとアクセラレーターとの間で5分おきにデータを同期させた。

 これにより、分析システムへの大量のデータ移動がなくなった。また、予測分析にかかる時間も大幅に短縮された結果、新たに発見された手口への防御対策を素早く基幹システムに反映することが可能になった。「これにより、A社は約20億円のビジネス効果を見込んでいます」と髙田氏は説明する。

 次に、ガソリンスタンドとネットで店舗を展開する小売業B社の例である。同社にとっての課題は、リアルタイム分析の精度向上によるアップセル、クロスセルの強化。B社はPOSレジで優良顧客に最適の商品をレコメンドしたいと考えていた。

「A社と同様、B社もアクセラレーターを導入してITインフラに組み込みました。その結果、従来は分析に1週間かかっていた時間を99.8%短縮。顧客情報や購買履歴などのビッグデータをもとに導出したスコアリングをもとに2秒で最適なリコメンデーションを提示できるようになりました」と髙田氏。これならPOSレジで顧客を待たせることもない。

 一般に、データ分析にかかる時間の8割は、対象データの変換や加工などの準備段階にとられると言われる。B社においても、こうした地道な作業に相当の時間がかかっていた。しかし、アクセラレーターの導入によってこうした状況は劇的に変わった。

 たとえば、準備段階におけるデータ変換のスピードは最大240倍に高速化することができたという。こうした1つ1つのプロセスの高速化で分析時間を99.8%短縮したことにより、予測モデルの頻繁な改善が可能となり、「2秒で最適なリコメンデーション提示」を可能にしたのである。

(図2)最新の不正手口を阻止し、約20億円の効果

最新の不正手口を阻止し、約20億円の効果

基幹系と分析系の融合で考慮すべきデータの一意性、セキュリティー、堅牢性

「これまでは基幹システムと分析システムを別々に管理するのがITの常識でした。しかし、A社の例で見たように、これらのシステム間でデータを移動させるには相当の時間がかかります。リアルタイム分析のニーズの高まりを背景に、最近では2つのシステムを融合する企業が増えています。この動きは今後、さらに加速すると思います」と髙田氏は言う。

 A社とB社が採用したアクセラレーターは、基幹システムとの間でほぼリアルタイムのデータ同期を行い、ほとんど一体化した形で動いている。これが、リアリタイム性の大幅な向上をもたらした。

 このようなITインフラの進化により、図3に示した「取引の発生に伴う基幹データの入力→高速データソースとのデータ同期→データ変換→モデル入力データの作成→予測分析→アルゴリズム化→基幹システムへの反映」というPDCAサイクルの高速化が実現する。

「ビジネス価値を創出する上で、予測分析の精度向上は大きなテーマ。ただし、実際にPDCAサイクルを回すためには、新しくできた規制やビジネスプロセスへの対応も欠かせません。こうしたビジネスルールと予測分析を組み合わせることで、意思決定の質をさらに高めることができます」(髙田氏)

 基幹系と分析系の融合を目指す場合、検討すべき3つの原則があると髙田氏は言う。 「データの一意性とセキュリティー、堅牢性です。従来型の分析基盤ではデータのコピーが不可欠であり、それがデータの鮮度や信頼性の低下を招いていました。しかし、今ではデータを発生源の近くに蓄積することで、分析のスピードや信頼性を高めることが可能です。このことは、データの一意性という意味で大きな進展です。また、データのコピーを最小限にできるので、セキュリティーも高まります。ビジネスにおけるリアルタイム分析の重要性が高まれば、基幹業務を安定して支えるためにより堅牢なシステムが求められるでしょう」

 基幹系と分析系の融合は、リアルタイム分析の高度化だけでなく、セキュリティーやガバナンスの向上にもつながる。このITの新常識を踏まえ、多くの企業がチャレンジを始めている。

(図3)基幹業務と分析業務の一体化でビジネスに貢献

基幹業務と分析業務の一体化でビジネスに貢献
【講演資料】リアルタイム分析最新事例とそのビジネス効果

基幹業務からデータ移動を抑えて分析のスピードと精度を高めることでより高いビジネス成果を上げている先進事例をご紹介します。

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