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レガシー脱却の選択肢と次の一手を判断する手法

【講演資料】レガシー脱却の選択肢と次の一手を判断する手法

レガシー脱却の選択肢と次の一手を判断する手法
― 「レガシーからの脱却」への道。難所を乗り越えるためのポイントとは? ―
日本IBM 宮本昌門氏

ビッグデータ活用を視野に、基幹システムの刷新を検討する企業が増えている。しかし、長年使った既存システムからの移行、いわゆるレガシーマイグレーションの途上にはさまざまなハードルが待ち構えている。IT基盤とマイグレーション手法を適切に選定することが何よりも重要だ。そのためには、現行の基幹アプリケーションの「見える化」が有効。IBMは見える化をはじめ、レガシーマイグレーションをトータルでサポートしている。

ビッグデータ活用を視野にレガシーマイグレーションを検討

日本アイ・ビー・エム株式会社 ハイエンド・システム事業部 事業開発部長 宮本昌門氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
ハイエンド・システム事業部
事業開発部長
宮本昌門氏

 最近、多くの企業において「レガシーからの脱却」を目指す機運が高まっている。日本IBMの宮本昌門氏は「レガシーマイグレーションに関する問い合わせが増えています」とし、その背景には3つの要素があると指摘する。

「まず、プログラムやインフラのレガシー化により、プログラムの保守性や開発生産性が大きく低下しています。次に、属人化したシステムです。ベテラン技術者の退職により、システムのブラックボックス化が進行しています。そして、ITコストの削減が困難なこと。とりわけ、国産メインフレームでは技術革新があまり進んでいないことから、ユーザー企業にとっては価格性能比が上がらないという課題があります」

 加えて、ビッグデータを十分に活用するためのIT環境整備として、レガシーマイグレーションへの関心が高まっている面もある。

「ビジネス課題の解決に向けてビッグデータ活用のシナリオを検討し、パイロットプロジェクト、さらには本格展開に向けたプロジェクトを進めたいと考えた時に、現状のITインフラでは対応できないので、レガシーマイグレーションは避けて通れないと考える企業が増えています」と宮本氏は語る。

 宮本氏によるレガシーの定義は「長年利用してきたプログラムの中に生じた、開発生産性向上を妨げるようないろいろな要因」というもの。こうした特性を持つレガシーが、ビッグデータ活用、特にリアルタイム分析を難しくしている面がある。

 レガシーマイグレーションにはいくつかの手法がある。分類のしかたはさまざまだが、宮本氏はこれを3つに分けて説明する(図1)。

「リライトはアプリケーションのロジックを継承したまま、異なる言語で書き換えること。最近、基幹系のCOBOLからJavaへの書き換えがよく行われているようですが、これには疑問があります。開発生産性の向上が期待できないからです。本来は手段であるはずのJava化が、目的になっているのではないか。そんなケースも見られます」

 次に、リビルド。既存の基幹アプリケーションを廃棄して、全面的に再構築するという手法だ。理想に近いものが出来上がるはずだが、ネックになるのが時間とコストだ。

 3つ目のリホストは基幹アプリケーションをそのまま、新しいプラットフォームに載せ替えるというやり方。現行アプリケーションを継承できるメリットはあるものの、そこに内在するレガシーの要素まで継承されてしまうのがデメリットだ。

(図1)レガシーマイグレーションの手法と特長

レガシーマイグレーションの手法と特長

「Java化=レガシー脱却」ではない、オープン化は目的ではなく手段

 3つの手法の選択とは別に、現行の基幹システムをメインフレームで運用している企業にとってはプラットフォーム選定も大きなテーマだ。つまり、新しい基盤をメインフレームとするか、それともオープン化するかを決定しなければならない。

「オープン化を否定するつもりはありませんが、メインフレームからオープンへの移行にはリスクが伴うことを十分理解する必要はあります。1つは、コード体系が変わることによるリスクです。もう1つは、1台のメインフレームから多数のサーバーに移行することによるリスクです。たとえて言えば、100人乗りのバスに乗っていた乗客を5人乗りのタクシー20台に分乗させるようなもの。その影響を吟味する必要があります」と宮本氏は言う。

 メインフレームで行われていたバッチ処理のJava化を例にとると、しばしば起こるのがCPUリソースの消費に関するトラブルだ。JavaはCPU能力を多く使うという特性を持っているのだが、プログラミングのルールが不徹底で問題を大きくしてしまうケースが多い。こうしたトラブルは、プロジェクト期間の延長や予算オーバーにつながる。「Java化に際しては、最初のルール決めとルールを維持する取り組みが重要」と宮本氏は考えている。

「レガシーマイグレーションについては、いくつかの誤解があるようです。たとえば、『Java化=レガシーからの脱却』という見方がありますが、これは間違いです。レガシーを抱えたままJava化すれば、さらにメンテナンスが難しくなることもあります。『オープン化=コスト削減』もよく聞く話ですが、本当にそうでしょうか。オープン化すれば全面更改の回数は増えます。5年、10年という時間軸で見れば、オープン化がコスト削減につながらないケースも多いのです」とした上で、宮本氏はオープン化を成功させるためのポイントについて次のように語る。

「まず、Java化などオープン系サーバーへの移行を目的としないこと。プロジェクトに多くの変更要素を詰め込みすぎないようにする注意も必要です。また、アプリケーション開発とインフラ部門の密接な連携が欠かせません」

基幹アプリケーションを見える化し、最適なプラットフォームと手法を選択

 基幹システムのプラットフォームとしてメインフレームを選ぶか、それともオープン化に踏み切るか。適切な意思決定を行うためには、既存ITの状況やビジネス環境など複合的な要素を検討する必要がある。

 また、レガシーマイグレーションの手法として宮本氏は「リホスト+モダナイゼーション」を提案するケースが多いという(図2)。

「モダナイゼーションの定義は、先に定義したレガシーを取り除くこと。既存の基幹アプリケーションからレガシーを解消して引き続き利用できれば、基幹系に蓄積された知見を継続的に活用することもできます」(宮本氏)

 過去のレガシーを維持したまま新しいプラットフォームに載せ替えるリホストではなく、モダナイゼーションを経てプラットフォームを更新するというアプローチだ(図3)。そのためには、まず現行アプリケーションの見える化が必要になる。

「IBMでは見える化から効率化を経て先進化(たとえばビッグデータ活用など)に至るまで、レガシーマイグレーションをサポートするトータルなソリューションを提供しています。その入り口が見える化です。たとえば、どこから着手すべきかを判断するために、ビジネスの重要度とITの充足度という軸で現状を見える化します。ビジネスの重要度が高いにもかかわらず、ITの充足度が低い領域は早急な見直しが必要になるでしょう」(宮本氏)

 このほか、プログラムの品質を評価するための見える化ツールなどをIBMは多数用意している。ソースコードの構造やプログラム同士の依存関係などをビジュアライズし、課題の特定や現状把握に役立てている。

 現行アプリケーションの見える化は、プラットフォームの選定やマイグレーションの手法などを検討する上で欠かせないプロセスである。また、見える化は将来の再レガシー化を防ぐ上でも重要と宮本氏は言う。

「レガシーマイグレーションを成功させたとしても、数年後に再びレガシー化する可能性があります。それを防ぐためには、見える化による定期的なチェックが有効。いわば、人間ドックのようなものです」

 ビッグデータ活用の時代、基幹システムの見直しは切実なテーマだ。この課題を乗り越えたとしても、基幹システムを健全に維持するという課題が消えてなくなることはない。

(図2)これまでの選択肢とモダナイゼーション

これまでの選択肢とモダナイゼーション

(図3)IBMのレガシーマイグレーション提案アプローチ

IBMのレガシーマイグレーション提案アプローチ
【講演資料】レガシー脱却の選択肢と次の一手を判断する手法

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