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経営課題解決シンポジウム 製造業編 Review ユニリタ

ユニリタ

IT経営に4つのステージ
組織の壁を乗り越えろ

企業のIT経営のステージには大きく4つの段階がある。日本企業がステージを上げて発展してゆくには「人、プロセス(方法論)、製品(道具)」という3つの側面から見直しを図る必要がある。これらを包含するBPM(ビジネスプロセスマネジメント)のソリューションを活用すれば、「組織の壁」を超越する経営で、高利益、高売上高を実現できる。

増田 栄治 氏
株式会社ユニリタ
取締役 専務執行役員
増田 栄治

 「当社はデータ活用企業とシステム運用企業が統合して生まれた会社であり、データ活用とシステム運用というITのライフサイクルをカバーしています」とユニリタ取締役専務執行役員の増田栄治氏。

 ユーザー会活動が活発で、30くらいのグループが、それぞれのテーマ別に集まって研究や意見交換を行っている。また、システムトラブルでしかられることはあっても、ほめられることは少ない――そんなシステム管理者のために、7月最終金曜日は「システム管理者感謝の日」と定められている。日本ではユニリタが積極的に活動しており、会員数14000人を有するシステム管理者のネットワーク「システム管理者の会」も運営している。

 同社はBPMのソリューションを提供することで、製造業をはじめとした企業の業務プロセス革新、IT経営のステージアップを支援している。

 製造業における主要な改革テーマには、新興国市場の拡大への対応、M&A、設計・生産・販売の現地化・多様化、グローバル調達、ビジネス変化へのIT基盤対応、コンプライアンス、新技術、環境を含めたサステイナビリティーなど。こうした課題への対応は、すべてITとつながっている。

 IT経営には4つのステージがある。ステージ1はITを導入したばかり、あるいはITを活用できず不良資産化しているという段階。ステージ2がITを部門内部で最適化している段階。ステージ3が企業全体でITを最適化している段階。ステージ4は企業横断的なIT最適化の段階である。ステージ2と3の間には「部門の壁」、3と4の間には「企業の壁」という、大きな障壁がある。

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 ステージ1は米国企業では2%程度しか残っていないが、日本企業ではまだ12%ほど存在する。ステージ2に至っては米国企業38%に対し、日本企業は53%と高い比率だ。つまり米国では半数以上の企業が「部門の壁」を乗り越えステージ3以上に到達しているのに対し、2/3の日本企業はまだ越えられていない。

ITの4つのステージにより
売上高や利益率に大きな違い

 IT経営のステージと従業員ひとりあたりの売上高には、正の相関関係があることが知られている。経済産業省が発表したIT経営のロードマップによると、ステージ4では36%の企業で1億円以上になる。また、ステージ1の企業の営業利益率は平均で1%未満なのに対し、ステージ4の企業は平均19.8%と、きわめて高い。

 ステージ3や4の企業になるには、ITにおいて部門の壁、企業の壁をどう越えるかが課題だ。

 IT投資額はいくらが妥当なのかという問題もある。「日本を代表する企業90社あまりにヒアリングを行った結果、製造業では売上高に対してIT投資は1.68%という数字」(増田氏)が出ているという。

 IT投資には新規開発の費用と既存システム運用費がある。このうち運用費が通常は8割を占めると言われているが、各企業ともアウトソーシングなどで圧縮に努めており、新規開発投資の比率が2011年は24%、2012年が30%、2013年で34%と、年々増加している。

 「日本企業はトップのリーダーシップが海外の企業に比べて弱い傾向にあります。日産にゴーン社長が登場してその経営改革に我々は目を見張ったわけですが、海外では普通なのです」(増田氏)

 日本企業では「あうんの呼吸」による意思疎通が容易になされる。経営から大まかな指示が来ると、現場が実際にいろいろ決定し実行していく。海外ではこうしたやり方は通用せず、明確な指示書や手順書がないと仕事が動かない。これは日本企業の強みでもあるが、一方で現場ごとの個別最適に偏りやすい弊害もある。

 これにより人事、経理、物流、製造など、現場ごとの個別のシステムが乱立する。共通システムを入れてもそれぞれの現場のやり方にあわせてカスタマイズしており、標準化による部署の壁を越えた横連携は困難だ。

企業活動を可視化するITツールで
組織の壁を超越する経営を

 「こうした問題を解決するには人(People)、プロセス(Process)、製品(Product)という3つのPがカギになります」(増田氏)

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 組織の壁を越えたシステムを構築するには、まず企業全体を把握している人材、ビジネスアナリストを育て、その人を中心にしてシステム作りをしていく必要がある。トヨタの自動車開発において、技術、製造、販売、調達、原価など自社リソースの全体像を心得た主査を中心にプロジェクトを進めるのと同じである。

 次に、企業全体を俯瞰する図面、企業の設計情報のリポジトリを作る。戦略、組織、ルール、プロセス、データ、システム、インフラなどを、階層別に概略から詳細まで展開していく。現在の企業の活動プロセスを可視化するのだ。これができていれば、ERP(統合基幹業務システム)をブラックボックスのまま導入したりカスタマイズをERPベンダーに丸投げして「使えないシステムに多額の費用を支払う」ような失敗を防ぐことができる。

 「ユニリタはこうした企業の設計情報をリポジトリ化するためのARISという製品を用意しています。企業の設計情報は継続的に管理していくことが重要なので、リポジトリ機能をもったものを使うべきでしょう」と、増田氏は主張する。

 ITの世界では、ユーザーから業務要件が出て、それに基づき要件定義書が作られる。これを設計し、詳細設計に落とし込み、開発、単体テスト、結合テスト、総合テストを行って、システムとして完成させる。日本ではこのプロセスの中で開発やテストを外部のSI会社に依頼することが多い。ところがリポジトリがないと、依頼側・請負側の間に理解の齟齬が発生する。完成したシステムを、自分たちの要件と突き合わせることもきわめて困難になる。

 これはシステムの開発時に留まらない。システムのライフサイクル全体を考えると、その差はさらに大きくなる。システムを長期にわたり運用するには、そのときの環境や時代に合わせプログラム変更をしなければならない。このときリポジトリ情報が大いに役立つ。リポジトリがないとまた現状調査から始めなければならず、膨大な時間、手間、コストが余計にかかることになる。

 日本企業は、部門ごとのシステム化というステージ2までの段階に留まっているところが非常に多い。行き詰まり感のある企業体質を革新し、収益を向上するには、部門の壁、さらには会社の壁を越えて、IT経営のステップを上げることが必要だ。

 IT部門の中でも、技術の人間はどのような技術が生まれ使われているかに関心があり、プロジェクト管理者は開発の品質や納期の問題点に関心があり、財務の人間はどこにカネがかかっているのかに関心がある。つまり役割に応じて視点が異なる。IT経営のステップを上げるには、こうした役割間で分断された情報を共有し、合理的な優先順位をつけて投資計画を立てるということも必要になる。ユニリタはこうしたITポートフォリオ管理の用途にALFABETというツールも用意している。

 「普通の製品は新品のときに最高の価値があり、時を経るにしたがって価値を減じていきます。しかし、システムは時代に応じた追加・変更を行うことにより価値を増していくことができるのです。ですから、価値を増やしていきやすい仕組みを意識しながら、企業システムを構築していくべきだと思います」(増田氏)

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