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経営課題解決シンポジウム Review データ爆発時代における クラウドとデータバックアップ

金谷 敏尊 氏

情報システムの強靭性を高めるには、データ保護やバックアップ、リカバリの対策を行い、システム稼働の継続とトラブル時の早期復旧を実現することが大きなポイントとなる。そのためには、クラウドのリスクを知った上で、データ管理方針を明確化する。仮想化/クラウド技術を使いこなす智恵が必要だ。

 「事業継続への具体的な計画を立案する時に、クラウド・コンピューティングは大きな役割を果たします」と、IT戦略のコンサルティングを行うアイ・ティ・アールのプリシパル・アナリスト 金谷敏尊は強調する。

 さまざまな天災や人災が事業の継続を脅かす。米国での同時多発テロ事件や、東日本大震災、今後の発生が予測される東海・南海地震などで事業継続のリスクが現実のものと認識され、対策を講じる企業が増えてきた。

 金谷氏は、コストを抑え、情報システムを分散させて運用する環境を構築しやすいクラウドも併せて活用した方が得策だと言う。

急速に伸びるクラウド

 2000年にコンピューティグ資源を束ねて一つのプールとして使い、サービスを供給していくクラウドの基盤を構成する「仮想化技術」が生まれた。こうしたサービスをネットワークを通じて供給するクラウドは現在、IT投資の柱となっている。

 金谷氏は電気利用の普及と、クラウド利用の普及する段階を比べて説明した。「100年前に、現在の発電所方式の電力供給システムが技術開発されてから、約30年で普及率が70%に達しました。同じように考えると、クラウドサービスも2030年には同等の普及を遂げるかもしれません」。

 だが、最初からすべての情報システムを一足飛びにクラウドに移行するのはハードルが高いため、段階的に移行していく企業が多い。その結果、クラウドの部分的な利用によって、色々なシステムが混在するハイブリッドな環境でクラウドを使用しているケースが増えている。したがって、クラウドを導入する際はハイブリッド環境での統合のしやすさを考慮しなければならない。

事業継続に3つのポイント

 クラウド技術を視野に入れて、障害/災害の復旧対策を考える場合、(1)「データ保護」、(2)「バックアップ/リカバリ」、(3)「事業継続(システムの稼働継続)」という三つの観点がある。

 まず、システム障害や災害があってもデータが消えない、変わらずありのままで保つことが(1)「データ保護」だ。現在、クラウド利用に際してデータを保護するサービスも行われている。だが、クラウド事業者に任せきりにせず、データ消失に伴うさまざまな損失(コストや法的なリスクなど)を総合的に評価して、どのようなリスク回避策を講じるのか自身で判断すべきである。

 万が一データが消えたときのために、自主的に(2)「バックアップ/リカバリ」の体制を築いておくことで復旧できる。しかし、データは爆発的に増えていく傾向にあり、放置しているとストレージに要するコストが跳ね上がり、バックアップの時間が不足する。データそのものの必要性や重要度などを見直し、管理や保存の方針を策定してデータの不用な蓄積を避け、方針に則ったシステムを設計する必要がある。

 さらに、(3)「事業継続(システムの稼働継続)」を実現する上では、遠距離に非常時用のシステムを置くことで、災害等があってもシステムが稼動し続ける体制作りが重要だ。あるいはシステムがダウンし業務が止まっても、できるだけ短時間で復旧させる機能の実装も必要だ。

 非常時用のシステムを置いて事業継続性を確保するには、一般的に莫大なコストがかかってしまう。クラウド技術を併せて利用すれば、コンピューティング資源を必要に応じて柔軟に利用出来るようになるので、旧来方式と比べて50%前後のコストダウンにつながると金谷氏は試算する。そのため、「クラウド/仮想化技術」と「バックアップ関連ソリューション」は親和性が高く、同時に検討すべきだとしている。

「データ爆発時代におけるクラウドとデータバックアップの新手法編」関連資料

今回の経営課題解決シンポジウム「データ爆発時代におけるクラウドとデータバックアップの新手法編」 のご協賛各社の関連資料がダウンロードできます。 貴社の(1)「データ保護」、(2)「バックアップ/リカバリ」、(3)「事業継続(システムの稼働継続)」のご検討にお役立てください。