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社会イノベーション/Smart City Week 2014 レビュー | 日立製作所

顧客との「協創」を推進し
社会イノベーション事業を世界で展開

日立製作所 代表執行役 執行役副社長
石塚達郎

世界は現在、エネルギー・環境や水・食料をはじめ、様々な課題に直面している。これからの社会には、こうした課題解決と経済成長の両立が必要だ。日立製作所は顧客との「協創」のもと、社会イノベーション事業に注力。共生自律分散のコンセプトやIT利活用の豊富な実績を生かして社会インフラの全体最適化を図り、豊かな社会を具現化する。

 科学技術の世紀から環境と生命の世紀へと、パラダイムシフトが起きています。経済成長と社会課題解決の両立にはイノベーションがカギを握ります。

 日立は「IT」×「社会インフラ」を掲げています。エネルギーや都市、交通、ヘルスケア、水・資源、物流、製造・建設、金融の分野を軸に、お客様との「協創」によって社会イノベーション事業で世界の課題を解決していきます。

社会インフラの全体最適化を図る

 従来の社会インフラやビジネスは個々に発展を遂げたため、個別最適が生み出す矛盾とシステムの複雑化がもたらす脆弱性を抱えるようになっています。今後は問題解決のため相互に連携協調する全体最適が欠かせません。

 連携協調の例が、JR東日本と当社が協創で開発した「東京圏輸送管理システム」です。首都圏の鉄道輸送は「生き物」と呼ばれ、現在も拡張と変更が動的に続いています。列車の数は膨大で、集中管理は困難です。

 そこで、当社が培った自律分散システムを生かし、各駅に分散したコンピューターが自律的に役割を果たしながら相互に連携協調する制御を実現しました。一方、運行情報は集中管理・ 配信します。これらの仕組みによる世界最大規模のリアルタイム制御によって、首都圏全域の安全・安心・確実な列車運行を24時間支えています。

 自律分散のコンセプトをさらに進化させると、異種システムの連携や資源の状況の見える化・融通などにより、すべての社会インフラの全体最適化が可能になります。それが私たちの社会イノベーション事業につながっていきます。将来的にはスマートシティ同士など、より大きな規模での社会インフラ連携も可能になるでしょう。

 連携と協調を行うには、社会インフラやビジネスのシステムをスマートでセキュアなネットワークでつなぐことが必要です。そして、各システムは人の行動や状況に応じて、バランスを保つように自らを制御することで全体を最適化します。

 これを共生自律分散システムと呼び、資源・エネルギーの最適な融通による有効活用、異種システム連携によるバリューチェーンなどのビジネス革新、自然災害やサイバー攻撃へ迅速に対応できるリスク管理・セキュリティ強化といった価値をもたらします。

エネルギー改革への取り組み

 エネルギーの安定供給が世界的な課題である現在、電力と熱(ガス)が同じ市場で新たなバリューチェーンを構成するようになりました。日立グループはバリューチェーンを支える基幹システム構築と新サービス創出によって、電気と熱の一体管理によるエネルギーシステムの構築を目指しています。

 基幹システム構築の代表的な事例が、「電力広域的運営推進機関」向け基幹システムです。日本中の地域電力会社をつなげるシステムで、日立は提案採用者に決定し、2016年4月の運用開始予定に向け取り組んでいます。

 当社はこれまでエネルギーの様々なトータルソリューションで、電力の安定供給に貢献してきました。その実績を生かし、日本の電力安定供給システムの中核となるこの事業を担います。

 ほかにも当社はIT制御を導入したエネルギーシステムを多数提供してきました。最近では、24時間遠隔監視サービスや故障監視アルゴリズムを備えたメガソーラー発電システム「大分ソーラーパワー」や、売電収入最大化制御アルゴリズムを採用した蓄電システム 「CrystEna」などを開発しています。

 新サービス創出の事例の1つは「柏の葉スマートシティ」です。当社は街単位での電力管理を実現するITプラットフォーム、エリア管理アプリケーション、蓄電・送電システムを提供しております。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の英国のグレーターマンチェスターでの実証事業にも参画しています。公共住宅の貯湯タンク、家屋そのものの蓄熱性能とヒートポンプ、電力需給の調整によって、エネルギーの低炭素化と適正価格維持の両立を目指す事業で、当社はアグリゲーション機能およびその仕組みを支えるITプラットフォームを構築・運用しています。

 東京では東京ガス、エネルギーアドバンスと共同で「田町駅東口北地区省CO2まちづくり」で、低炭素で防災に強い街づくりを進めています。当社は地域・建物における熱の利用効率を分析・最適化するITプラットフォームの構築を担います。

 日本には、きめ細かさや協調をはじめとする文化に裏打ちされた強みがあり、それを生かして世界と協創することが重要です。ビッグデータなどのIT に支えられ、日本が世界一のイノベーションハブとなるべく、日立は社会イノベーション事業を加速していきます。