社会イノベーション/Smart City Week 2014 レビュー | 総合トップ

社会イノベーション/Smart City Week 2014 レビュー | 凸版印刷

市民と自治体、企業をつなぐ
次世代ヘルスケア・ソリューション

凸版印刷 代表取締役社長
金子眞吾

超高齢化社会を迎えつつある日本。国民医療費は2011年の時点で約38兆5000億円となり、そのうち9兆8000億円は生活習慣病関連が占めている。病気の予防や健康管理によりこの医療費は削減可能なため、次世代ヘルスケア事業への期待が高まっている。凸版印刷は既存事業で培った技術やノウハウを強みに、次世代ヘルスケア・ソリューションを提供することで社会的な課題の解決に貢献する。

 深刻化しつつある国民医療費増大を、病気の予防や健康管理によって削減しようという機運が高まっています。それはビジネスチャンスでもあります。政府も健康長寿を成長戦略に掲げており、次世代ヘルスケア市場は今後ますます広がるでしょう。

 凸版印刷グループは印刷をはじめ、情報コミュニケーションや生活環境、マテリアルなどの分野で事業を展開してきました。近年はマイナンバー制度を支えるICカード・ソリューションや大規模事務局向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、印刷テクノロジーなどの新事業を推進し、次世代ヘルスケア・ソリューションにも意欲的に取り組んでいます。

健康増進と地域活性化を図る

 国内では現在、いくつかの地域で官民一体となり、ヘルスケアの実証事業が行われています。その中で当社が参画する事業を3例紹介します。

 1件目は、奈良県葛城市の「総務省ICT街づくり推進事業」です。自治体と当社を含む民間企業9社が、医療費の増大など行政コストの削減、および新しい時代の住民サービスモデルの構築を目的に進めています。

 本事業では、専任コンシェルジュが専用タブレットを携えて市民を訪問し、NFCカードで管理する個人の健康情報や属性に応じて、健康レシピ提案や買い物支援などの健康・栄養管理サービスを提供。プレ事業を経て、公民館に設置した専用タブレットからも、同様のサービスの提供を推進しています。

 「市民おたがいさまサポートハウス」も設け、公民館や集会所にて市民同士が健康・栄養面で支援し合う体制も整備しました。2014年には隣接する香芝市に範囲を拡大し、今後は広島の地域カードと連携を図る予定です。

 当社は本事業の全体サービス企画立案とプラットフォーム企画制作・構築・運用を担当しています。既存事業で培ったネットワークを生かし、自治体や政府、市民、医療機関、流通などをつなぐ役目も担います。また、重要な個人情報を扱うので、クレジットカード発行などで蓄積したノウハウを生かし、安全性の高い運用も実現します。

 2件目は、神奈川県横浜市の「よこはまウォーキングポイント事業」です。参加登録した40歳以上の市民が配布された歩数計を持って歩き、店頭リーダーでポイントを貯めれば、抽選で商品券を得られる仕組みです。2014年11月にスタートし、4年間で30万人の参加を目指しています。

 この事業の特徴は、30万人もの市民が参加する大規模な自治体健康増進事業である点です。さらには地域商店街や事業者、福祉・保健施設やスポーツ施設など公共施設の協力のもと、地域活性化を図る点も特徴です。

 地域経済の活性化と参加者増加のための施策も随時実行します。例えば、「よこはまエンジョイウォーク2014」では、3つの商店街を巡ってスタンプを集めると、記念品がもらえます。

 当社は家電エコポイントなどの大規模BPO事業で培ったノウハウを生かし、市民が気持ちよく参加できる仕組みを整備します。多数の関係者の取りまとめや、市民と自治体をつなぐコミュニケーションの役割も果たします。

異なる地域の6市で基盤を共通化

 最後に紹介する事業は、「複数自治体連携型 大規模『健幸』ポイントプロジェクト実証」です。つくばウェルネスリサーチや筑波大学、みずほ情報総研と共に運営事業者となり、スマートウェルネスシティ総合特区の6市で事業を展開していきます。

 この事業では40歳以上の市民に「健幸ポイント」を付与します。ウォーキング参加や一定期間のプログラム継続、市の健診サービス参加や健診・体組成計データの改善、民間企業の健康サービス利用でポイントが加算され、商品券と交換したり、寄付に利用したりすることが可能です。

 この事業の非常にユニークなのは、浦安市、大田原市、岡山市、高石市、伊達市、見附市と規模も地域も異なる6市が連携し、健康やポイントなどのデータを管理するプラットフォームを共通化している点です。200種以上の多彩な健康プログラムがあり、開始・継続・成果の各段階で獲得できる魅力的なポイント制度も特徴です。当社はポイントに関する中央システムの開発・運用を担当しています。さらに各自治体への同レベルのサービス提供、地域ごとのきめ細やかな対応を両立させ、広範囲なエリアで統一した運用体制の整備も担います。

 凸版印刷は全国約5000人の営業網を強みに、各自治体の課題やニーズを抽出し、最適なヘルスケア・サービスを構築していきます。そして、これまで培ったパートナーを“つなぐ”機能を強みに、「ウェルネス・コミュニティ」の実現に努めます。