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“住”関連ビジネスの新たな挑戦 売上2兆、最終利益1千億、ROE10%へ

 積水ハウスの売り上げと営業利益は、2010年度以降、右肩上がりに増え続けている。2014年度(2015年1月期)には、連続して「過去最高」の更新も達成する見通しだ。売上高は、前年度実績5.8%増の1兆9100億円、営業利益は9.9%増の1450億円を見込む。代表取締役社長兼COOの阿部俊則氏は、「予想以上に賃貸住宅の受注案件が多く、戸建てでも着実な受注を獲得できました」と、好調さを説明する。

 さらに、中期経営計画では2017年1月期の売上高2兆200億円、営業利益1660億円、最終利益は1030億円と大台を目指す。住宅にこだわり快進撃を続ける秘訣とは――。

 積水ハウスの強みは、中高級・高付加価値の戸建て・賃貸住宅を提供し、高い顧客満足を得ることで、品質や信頼といったブランドと優良顧客層を確立していることだ。さらにそこから、リフォームや改築、高齢者向け住宅、宅地開発などの新たな提案に結びつける展開を強化している。

請負型で築いたブランド力を前面に

 これら中高級・高付加価値の商品提供による顧客満足度の高さは、引き渡し後1年で実施するCS(顧客満足)調査の結果に表れる。阿部社長は「調査結果によれば、『非常に満足』が41%、『満足』『まあ満足』まで含めれば95%に達します。今後とも、CSを高めることが究極の目的です」と強調する。

 いま中高級路線をけん引するのは、3・4階建ての商品である。技術革新によって、設計の自由度が高まり、敷地を一段と有効に活用できるようになった。請負型住宅(2階建てと3・4階建て)の受注構成比を見ると、3・4階建ては、2013年度で前年度比7ポイント増の24%に達し、受注額は前年度比55%も伸びた。

 3・4階建ての商品では、多世帯住宅や賃貸併用住宅の販売が好調だ。一つの住宅に暮らす家族の形態が多様化していることや、2015年1月施行の改正制度を見越した相続税対策ニーズの高まりが、追い風となった。今後は、いっそうの受注拡大に向け、サービス付き高齢者向け住宅の建設工事を請け負うプラチナ事業の強化も図る。

 高付加価値住宅では、政府が推進するネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)が、けん引役だ。ZEHとは、省エネと創エネでエネルギーの消費量を削減し、計算上、差し引きゼロにするもの。積水ハウスは自社の「グリーンファースト ゼロ」の仕様で実現している。戸建て・賃貸住宅での採用率は14年度に60%まで達する見通しだ。

2014年度中期経営計画における収益計画
2014年度中期経営計画における収益計画

事業モデルの相乗効果で好循環

 「住」という事業ドメインで成長戦略を描く中、請負型ビジネスと並ぶ事業の柱として「ストック型ビジネス」と「開発型ビジネス」を位置付ける。請負型で良質な住宅を提供し、リフォームなどのストック型で資産価値の維持・向上を提案。さらに開発型で建設した宅地やマンションへの誘導も狙う。それらが互いに相乗効果を生む好循環を目指し、「住関連ビジネスの新たな挑戦」を掲げ、グループ会社が一丸となって臨む。

 ストック型ビジネスでは、建設を手掛けた有数の戸建て・賃貸住宅の顧客を中心に、リノベーション工事やリフォーム工事を展開する。カスタマーズセンターなどを通じた顧客との信頼関係も強みとなっている。ここ数年は、売り上げが前年度比10%前後増の勢いで伸びている。

好調な3・4階建て住宅
好調な3・4階建て住宅

 今後は、請負金額1000万円を超える大型リノベーション工事の受注にも力を入れる。子どもが独立した後のシニア夫婦や、中古戸建てを購入した子育て家族向けなど、暮らしぶりに合わせた新しい住まいを求める層に提案型の営業を強化していく。

 開発型ビジネスでは、分譲マンションや分譲住宅地の開発、都市再開発事業、海外での開発などの事業を展開。開発用地に住宅や街並みを整備し付加価値を高め、高い利益率を実現する。国内事業ではREIT(不動産投資信託)を設立して都市再開発の出口戦略を強化し、国際事業では、オーストラリア、米国、中国、シンガポールで、現地の優良デベロッパーなどと提携・協力関係を築き、成長投資を続けていく。

 阿部社長は、「リーマンショック後の構造改革を経て、筋肉質な収益基盤を確立し、前回の中期経営計画では事業拡大による利益成長を加速させました。その結果今回の高い収益性の計画が組めたのです」と成長戦略を語る。「2014年度の業績は2010年度比で売上で1.3倍、営業利益で2.5倍もの成長を果たすことになります」と続けた。

 昨年11月に発表した中期経営計画では、財務戦略として「総還元率」という新しい概念をいち早く取り入れ、60%の株主還元を公表。40%の高配当と自社株買いでROE(自己資本利益率) 10%の達成を宣言。日本ならではの住宅産業がいよいよグローバルで通用する高みに到達する。

積水ハウス株式会社

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