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日経ビジネスオンライン Special|魅力は人材、交通、既存集積 物流を変える三陸沿岸道路も

魅力は人材、交通、既存集積 物流を変える三陸沿岸道路も

北東北最大級の産業都市、八戸。港湾、新幹線、高速道路などの交通インフラや電気・上下水などの産業インフラが整い、企業立地に対しては全国有数の優遇・支援制度も持つ。産業都市としての魅力は何か。小林眞市長に聞いた。
小林 眞 氏
青森県八戸市長
小林 眞

――市長就任以来、企業誘致はどのような実績を上げていますか。

小林就任以来9年で34件という実績です。最近の例では、住友大阪セメント、住友林業、JR東日本の3社が出資する新会社、八戸バイオマス発電をはじめ、物流業界では医療・化粧・日用品卸売りのパルタック、製造業では東北最大のLNG輸入基地を建設するJX日鉱日石エネルギーなどが挙げられます。集積が進むIT・テレマーケティング関連では、ヤフーやマネックス証券などが既に立地しています。特定の業種に絞った誘致ではなく、経済情勢の変化に対応して、多様な業種を誘致するように心掛けてきました。

100haの工業団地は残りわずか

――そこまでの企業集積が生まれたのは、なぜですか。

小林最大の理由は人材です。八戸学院大学、八戸工業大学、八戸工業高等専門学校など、高等教育機関が充実し優秀な人材を輩出しています。少子化を背景に地元志向が高まる中、優秀な人材を企業は確保しやすくなっています。しかも、素直で粘り強い気質ですから、定着率も高いと評判です。

交通利便性の高さに恵まれているという理由も挙げられます。八戸は、港湾、新幹線、高速道路などの交通インフラがすべてそろった結節点です。物流業界をはじめ、多様な業種から用地分譲の引き合いがあります。おかげさまで、100haの分譲規模を持つ八戸北インター工業団地で供給できる余地は、残りわずかになりました。これまでの流れを止めないように、新しい用地の確保に向けて新年度から適地調査に入る予定です。

――既存の産業集積が企業誘致の呼び水になることもありそうです。

小林そうですね。既存の機械加工業の集積を生かし、今は航空機産業の誘致に向けて活動を展開しています。伸びが見込まれる業種には積極的に働き掛けている、その一例です。航空機の分野は格安航空会社(LCC)の台頭をきっかけに成長が見込まれるうえ、整備業務もあるので産業の裾野が広い点が魅力です。

そこで、そうした企業と市内に立地する機械加工業のマッチングを進めています。市内の複数社が今、東京にある航空機関連の部品メーカーから業務を受注するに至っています。これらの動きを捉え、市では新年度から、航空機産業をはじめとする成長産業への新規立地および地元企業の新規参入を支援するための制度を設けたいと考えております。

三陸沿岸道路が全線開通

――企業立地や産業集積にプラスに働きそうな今後の強みとしては、どのような話題がありますか。

小林例えば、仙台との間約360kmを南北に貫く三陸沿岸道路の全線整備が挙げられます。これまで部分開通だったものが全線開通することによって、東北の物流が変わるとみています。物流関連のニーズに見合う大型物流拠点の立地可能性を追求していきます。

――新産業都市の指定から50年です。産業都市としての今後の抱負・展望をお聞かせください。

小林先人たちの夢と、様々な苦労を乗り越えてきた思いを受け継ぎ、今後の50年、100年を見据えた取り組みを展開していきます。とりわけ今年は、新産業都市指定50年という区切りから一歩踏み出す最初の年です。八戸の産業が元気を忘れず、新しい時代の創造を目指せるように、世界情勢や水素社会の実現などの将来を見据え、既存の産業集積を生かした新産業の創造や産業の振興に取り組んでまいります。