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経営課題解決シンポジウム Review IoTとビッグデータで拓く次世代製造業 NTTPCコミュニケーションズ

NTTPCコミュニケーションズ

自社製品をIoT化し、新事業創造へ
市場参入ベクトルで成功をつかむ

小原 英治 氏
株式会社NTTPCコミュニケーションズ
営業本部 副本部長
小原 英治
ベストの戦略は、自社製品をIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化して新しい事業分野に参入すること――。通信事業で約30年、IoTの世界でも約10年の実績を持つNTTPCコミュニケーションズは、製造業の経営者へこう勧める。「NTTPCのIoTで、つなぐ、ためる、創り出す」というメッセージと共に、通信事業者ならではのIoTソリューションを提供中だ。

製造業はIoT化で、新規事業への参入を目指せ

 あらゆる製品にセンサーと通信機能を組み込むIoTは、社会・暮らし・ビジネスに大きな変革をもたらすと期待されている。今年創業30周年を迎えるNTTPCコミュニケーションズの小原英治氏は、あるITベンダーの予測を引用するかたちで「2017年には500億個の製品がIoT化されてインターネットにつながるようになります」と語る。さらに2015年~2018年でIoT製品の市場規模は約二倍に拡大するとの見通しを示した。

 このようなIoT急成長を可能にした要因の一つに、同社のようなMVNO(仮想移動体通信事業者)の存在がある。「MVNOが提供する低価格のSIM(契約者識別モジュール)によってセンサー系ネットワークの整備が急速に進んでいます」と小原氏。様々な製品がIoT化されるのにともなって、モバイル回線の契約数も毎年300万件以上増えているという。

 ただし、IoTの歩みはまだまだ始まったばかり。IoT化の目的と進化を時系列に分類すると、接続→管理→分析→自動化→創造の五段階で系統立てられ、現状は、管理のレベルにあると小原氏は指摘する。つまり、IoT実現に際し経営者は、分析→自動化→創造と発展していく将来ビジョンを描く必要があるわけだ。

 そこで、製造業の経営者はどのような方針と目的意識でIoTに取り組んでいけばよいのだろうか。小原氏は、まず、製造業におけるIoT化の方向性を「製品開発ベクトル」(IoT対応した新製品開発)と「市場参入ベクトル」(IoT化した自社製品により新規サービスを創造、新しい業界への新規参入を実現)の二つに分類。そして、製造業の経営者へ市場参入ベクトルを勧める。製造業の経営者へ製品開発ベクトルよりも市場参入ベクトルを勧めると語る。同社が構築にかかわった事例を検討した結果、先の結論になるというのである。

IoT化した自社製品を使えば、別業種での新しいサービスを創り出せる

 具体的にNTTPCコミュニケーションズの手掛けた事例として水道メーター企業(大豊機工(本社:兵庫県豊岡市))を挙げた。同社は自社製品の水道メーターにIoT対応センサーを組み込むことで、双方向でデータや遠隔制御が可能なスマート水道メーターを開発。遠隔検針による検針や保守に要する人的コストを削減しただけでなく、新たにスマートメータを用いた「独居老人の見守りサービス」を展開し、介護ビジネスへの新規参入を果たすことができた。

 「見守りサービスには、(電気・ガスではなかなか難しい)人の活動を正確に把握できる水道メーターを使うのが適しています」と小原氏。具体的な方式は異なるものの、上記のような実証実験は他の自治体でも進められており、NTTPCコミュニケーションズが手掛けているという。

水道メーターにIoT対応センサーを組み込むことで、双方向でデータや遠隔制御が可能になる
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スマート化した水道メーターで、見守りサービスという介護ビジネスへの新規参入を実現
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 また、あるトイレ機器メーカーは、人の健康データを自動測定するためのIoT対応センサーを内蔵したスマート化した便器を開発。予防医療をビジョンとした検査サービスという新しいビジネス領域に食い込むための足掛かりにしているという。

 IoT化した製品を用い新規ビジネスを創造し新しい業界への参入を果たした事例は、他のICTベンダーからも数多く報告されている。自動車の世界では、車載式故障診断システム(OBD)から取り出したデータを車両の保守整備以外の用途でも活用する動きが盛ん。運送業での安全運転管理や損害保険業でのテレマティクス保険(運転者の“安全度”に応じて保険料を割引)などがその典型例だ。

 また、ビルエネルギー管理システム(BEMS)用の入力デバイスとして、建物そのものや空調機器に取り付けられたIoT対応センサーも、新規ビジネスを生み出すための種となる。実際、多くのゼネコン(総合建設業)が、ビル内のテナント毎の対応を含めビル管理の丸ごとのエネルギー管理を代行するサービスを展開している。

通信事業者ならではのセキュアかつ、きめ細やかな設計

 NTTPCのIoTは「つなぐ、ためる、創り出す」とのメッセージと共に、IoTによる新しいビジネスや社会を拓くため、企業のIoTビジネスに必要なコンポーネントを一括提供しており、センサーから近い順に、「簡単接続」「プラットフォーム」「データ分析」の三つのレイヤーで構成。

長年の実績に裏付けられた導入支援とサポートを提供するNTTPCコミュニケーションズの「NTTPCのIoT」
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 「簡単接続」では、各種センサーからのセンサーデータを集め、送る役割を担う。数個~数十個のセンサーからのデータを集約し、通信機器内蔵プローブ端末などを用いて、モバイル網(MVNO)からVPN回線へというIoT専用のセキュアネットワークでプラットフォームのレイヤーへとつながっていく。センサーへはIoT用の業界標準規格であるU-Bus AirやWi-SUNなど様々な通信プロトコル及びインターフェイスに対応しているので、多様な機器が接続可能だ。

 約30年にわたる通信事業で技術とノウハウを蓄積してきたNTTPCコミュニケーションズは、導入する企業・団体の環境に合わせて有線と無線を最適に組み合わせた「簡単接続」を設計・構築し、顧客に提供できる。設置の形態としては、工場内のワンフロアー、ビル内の複数のフロアー、複数の建物や屋外をカバーする“広域”のいずれにも対応可能。ネットワークの規模についても、クローズドな空間で少数の機器を管理する小さなものからスマートシティのような大規模構成までをカバーしている。

 中間にあるプラットフォームは、同社のクラウドサービスとして提供される。主な機能は、データ蓄積、データ形式変換、端末管理、双方向通信、認証、電子メール送信など。小原氏は「細かい設計内容となりますが、部門やテナントの単位で独立した運用をする必要がある場合は、管理者権限を小分けすることもできます」と説明する。

 最上位に位置するデータ分析レイヤーでは、このようにして集めたIoTデータを分析するためのBIツールなどを提供する。同社のBIツールを利用した分析例として小原氏が示したのは、「売上データと気象データから販売数量を予測」「商圏データと顧客データに基づくエリア別販売数量金額分析」「競合データと商圏データを基に店舗管理や出店計画」「売上データと気象データに基づく在庫管理」など。データ分析レイヤーからプラットフォームレイヤーにアクセスするためのAPIは、同社プラットフォームの検証環境にて公開されているので、企業側で開発した業務アプリケーションをそのまま利用することも可能だ。

 NTTPCコミュニケーションズの強みは、約30年にわたる通信事業で蓄積されてきた技術/ノウハウと、約10年前から取り組んでいるIoT領域での豊富な経験/知見を有していること。小原氏は「通信事業者ならではの英知が集約されたIoTソリューションであり、医療や金融など機微データをも扱えるセキュアな閉域網接続や、グローバルなメガサイトへのつなぎ込みについても自信をもって提供できます」とアピールする。

お問い合わせ

株式会社NTTPCコミュニケーションズ IoT推進チーム
TEL:0120-725-571
E-Mail:fieldcloud@nttpc.co.jp