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ServiceNow Japan

間接業務のメールは非効率のもと
サービスマネジメントで生産性アップ

藤本 寛 氏
ServiceNow Japan
社長
藤本 寛

 人事、経理、総務、IT部門など、社内向けに業務サービスを提供している“間接部門”は、提供を受ける側との間でもっと効率アップを図れるのではないだろうか――どの企業も業務効率化に取り組んでいるとはいえ、これまで見過ごされていた分野が、社内向け間接業務である。

 「本来あるべき生産性が、無駄に“垂れ流し”されている事態が起きている」と語るのは、ServiceNow Japan社長の藤本 寛氏である。ServiceNowは米国に本拠を置く企業向けクラウド事業者。特に、情報システム部門をはじめとした間接業務のマネジメントや効率化に貢献するサービスで多くの企業の支持を得ている。

メールベースのやり取りが、
生産性の低下を生む

 藤本氏の言う「生産性の垂れ流し」とは、従業員間の不必要なやり取り、あるいはコミュニケーションの不具合がもたらす無駄のことだ。藤本氏はこんな例を示す。

 「業務用のスマホを支給してほしいAさんが、IT部門のサービス担当者Sさんに連絡するとしましょう。このようなやり取りを、メールベースで行っている企業は多いと思います。『スマホが欲しい』とメールを送ったAさんに対して、Sさんは『ここにある添付ファイルに必要事項を記入してほしい』と返信。Aさんは添付ファイルをダウンロードし、記入した上でSさんに送ります。ところが、以後のプロセスがこのままスムーズに流れるとは限りません」

 日々多くの人からのリクエストを処理し大忙しのSさんは、Aさんからのメールへの返信を忘れてしまう可能性が高い。SさんがAさんの返信メールを失念しているので、数日後にAさんは「どうなったの?」とメールで尋ねる。そこで、SさんはAさんからのファイルを確認したところ、記入漏れを発見。Aさんは「早く言ってよ」とつぶやきながら再記入して、メールを再送する。

 というようなやり取りを繰り返しているうちに、お互いにイライラが募ってくる。この間、無駄なメールが何度も行き来し、価値を生まない時間だけが過ぎていく。これが「生産性の垂れ流し」の典型例だ(図1)。「営業担当者であれば、その本来業務は顧客に向き合うこと。しかし、顧客とはまったく関係のない社内のやり取りに多くの時間を費やしているのが実情です。このような非効率をもたらす大きな要因の一つとして、メールベースのコミュニケーションがあります」と藤本氏。メールをいかに減らすかが、生産性向上の最大ポイントという。

図1 膨大な量のメールのやり取りが生産性を阻害していないか?

 業務プロセスにはルールがあり、そこには構造化された業務フローがある。構造化されているので「どこで何が起きているのか」を把握できるはず。しかし、「メールはあくまでもコミュニケーションのためのツールであり、業務プロセスをサポートするツールではありません」と藤本氏は言う。

 これらの点でメールはまったく異なる。メールは「後入れ、先出し」になりやすく、優先順位をつけにくい。また、タスク間の関連性を明示するのも難しい。このように考えると、そもそもスマホの購入のような業務プロセスを、メールベースで行うというところに無理がある。同じようなやり取りは、社内の至る所で行われているのではないだろうか。

サービスマネジメントを導入し、
ビジネス効果を実現した事例を紹介

 こうした課題に対するソリューションを、ServiceNowはクラウドサービスとして提供している。その中核となるコンセプトは「エンタープライズサービスマネジメント」。間接部門が提供するサービスの構成要素を構造化・整理し、できるだけ自動化して提供しようという考え方である。こうした考え方に基づき、同社はサービスマネジメントが実装されたSaaS(Software as a Service)、アプリケーション開発環境としてのPaaS(Platform as a Service)を提供している。これらServiceNowのプラットフォームで構築されるので、企業にとって単一の記録システムで管理できる(図2)。

図2 エンタープライズサービスモデルの概要
[画像のクリックで拡大表示]

 ServiceNowの顧客企業数はグローバル企業を中心に全世界で2700社を超えている。その中から、藤本氏が紹介したのは3社。まず、バッグなどで有名な高級ブランド企業、米Coach(コーチ)である。

 「Coachの人事や経理などでは、大量のメールやスプレッドシートが飛び交っていました。人事部門には従業員から住所変更など様々な通知や申請がメールで届き、担当者は手作業でシステムに入力。また、経理部門は各店舗から新規の顧客や取引先などの情報を毎月受け取り、既存データとの重複などをチェックした上で入力していました」と藤本氏は説明する。

 メールベースの業務に課題を感じたCoachは、ServiceNowのサービスマネジメントを導入。業務プロセスの合理化やメールの削減に取り組んだ。その結果、問い合わせや訂正などの連絡が大幅に削減され、他部門とのコミュニケーションが劇的に改善されたという。

 次に紹介されたのは、米大手保険サービスのYork Risk Services Group。同社は以前からグループ内の間接業務を1つに集中させたシェアードサービスを利用していたが、それでも年間2000万ページにおよぶ文書管理はメールベースだった。その管理工数は膨大だ。この状況を変革するために、ServiceNowのサービスマネジメントの手法を導入した。従来に比べて質と効率が大幅に向上。業務プロセスが構造化されたことで、監査の効率も高まり、監査コスト削減にもつながったという。

 「同社は多数のグループ企業向けにシェアードサービスを提供しています。企業ごとに個別プロセスを用意するのは非効率ということで、共通プロセスと個別プロセスの2階建て構造を採用。その副次的な効果は、M&A後の統合にも表れました。現在では、買収した企業の業務プロセスを統合することでシナジーを生みやすくなっています」(藤本氏)

デマンド管理とサービスカタログによる変革

 三つ目の例は、アメリカ合衆国の郵便事業を担当する公社USPS(United States Postal Service)である。同社が採用したのは、ServiceNowのアプリケーション開発環境(PaaS)である。これにより、開発期間は大幅に短縮され、開発コストも削減された。また、新規開発の要求を一元的に管理して優先順位づけすることにより、「何が大事か」が分かりやすくなった。以前のIT部門では「言われた開発をやる」というマインドが強かったのだが、今では「開発すべきものを開発する」という文化が育ちつつあるという。

 USPSの事例で核になったのは、ITサービスマネジメントの中の「デマンド管理」という考え方である。ユーザーからIT部門に寄せられる要求は多く、すべてに対処するわけにはいかない。とかく「声の大きな人」の求めに応じるという状態に陥りがちだ。デマンド管理を導入することで、ビジネス効果など企業にとっての重要度を客観的に評価できるようになり、それが優先順位づけになり、アプリケーション開発効率の向上と全体で20億円近いコスト削減につながった。

 ServiceNowには「サービスカタログ」というものもある。間接部門が提供できるサービスをメニュー化し、それぞれのコストや納期を明示。企業間取引と同じような仕組みを、企業内に適用することで業務プロセスは透明化される。前述したスマホをめぐるむなしいやり取りは、こうした仕組みがあればなくなるはずだ。

 ServiceNowは、 サービスオートメーションプラットフォームの上にITサービスマネジメントで実証済みの各種のアプリケーションを載せることで、体系的なクラウドサービスを提供している。同社はこのような仕組みを進化させながら、企業のサービスマネジメント変革を強力にサポートしている。

お問い合わせ先
ServiceNow Japan株式会社