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ビジネスイノベーションフォーラム 【新規ビジネス創出のためのビッグデータ活用】レビュー

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2014年3月13日、東京・大手町で「新規ビジネス創出のためのビッグデータ活用」セミナーが開催された。多くの日本企業にとっての課題となっている、新規事業や新市場創造の必要性。その課題解決の突破口として期待されている「ビッグデータ活用」はどこまで広がっているのか。本セミナーでは、新たなビジネスを生み出してイノベーションを起こすためのビッグデータ活用のヒントのほか、いくつかの先進事例などが紹介された。

東京大学 稲田修一氏 全体最適を考えることが発展やイノベーションにつながる

東京大学
先端科学技術センター
特任教授
稲田 修一 氏

基調講演に登壇した東京大学の稲田修一氏は、ビッグデータ活用によるビジネス創造には、「イノベーションの起点を変えること」「データ、情報、知識の性質をよく理解すること」「データ活用による価値創出法を考えること」「イノベーション人材を大切にすること」が重要だと解説した。

「イノベーションは『技術革新』と訳されますが、これは間違っています。技術は重要ではありますが、イノベーションの起点の一つ。技術起点中心の考え方を改め、制度、デザイン、インタフェース、ビジネスモデルなど、様々な切り口を起点に考えたほうがイノベーションにつながります。オランダ農業の例に示すように、データ活用もイノベーションの起点の一つです」(稲田氏)

データや情報、知識の性質を理解することもビジネス創造には重要である。データ集積には規模の経済性が働く。ユーザーが集積データの有用性を認識すると集積が加速し、新たな価値の創出につながる。したがって、データ活用によるビジネス創造においては、大量のデータを集積し、早期に有用な情報や知識の抽出に成功することがカギとなる。

ビッグデータ活用による価値創出についても、いくつか考慮する事項がある。例えば、M2Mでは顧客ごとにシステムをカスタマイズする必要性が高いが、これを効率化するにはエコシステム的な考え方で開発支援環境を構築し、ユーザーの持つ開発力を活用して「カスタマイズの効率化」を図る手があるだろう。

また、データ分析の結果を意思決定の迅速化につなげるには、判断の容易化のための「共通評価尺度を提示」することが有効であろうし、膨大なデータから「情報・知識の抽出を効率化」するには機械学習を活用することも重要である。

「ビッグデータ活用で価値を創出する戦略や手法としては、様々なオプションがあり得ますが、最も重要なのは自らのビジネスに最も適した戦略や手法を自分の頭で考えること」と稲田氏は話す。

発見型イノベーションは8~9割が失敗する

現在は価値軸が明確で共有されている価値を実現する“改良型イノベーション”から、既存の価値軸にはない新しい価値を発見する“発見型イノベーション”へのシフトが起きている最中だと稲田氏は分析する。「発見型に向いた右脳的(感性的)思考主導で左脳的(論理的)思考が補佐する人材を大事にし、活躍の場を与える必要があります」と稲田氏は語る。

稲田氏は最後に、次のように話した。「発見型イノベーションの8~9割は失敗しますが、これを失敗と見なさず『ナイストライ』と考えることが重要です。ビッグデータの時代には、失敗してもデータ分析によりその理由が推測できるので、失敗は成功へのステップとなります。逆に、何もトライしないと変化が起こらず、マーケットの変化に追随できない可能性が高まります。したがって、ビッグデータ時代の『成功』の反対語は失敗ではない、『何もしないこと』なのです」。

データ分析により社会やマーケットの変化を常に把握し、社会やマーケットが求める商品やサービスを提供し、同時にビジネスプロセスや組織を最適化していく。データ活用によって常に全体最適を考えること―それがビッグデータ時代の発展やイノベーションにつながる。

日本マイクロソフト 平野和順氏 ビッグデータはリアルタイム分析に進化する

日本マイクロソフト株式会社
デベロッパープラットフォーム統括本部
業務執行役員
平野 和順 氏

「クラウドコンピューティングとビッグデータという文脈の中で、何が起きているのかについて話したいと思います」と日本マイクロソフトの平野和順氏は、ITを取り巻くトレンドについて解説した。

SNSが普及し、全世界のデータの90%が直近の2年で生成されるほどのデータ爆発が起きている。また、その一方では1人が複数のデバイスを所持し、これらのコンシューマーのIT体験がビジネスにも取り込まれている。このような背景もあり、クラウドコンピューティングは2016年には2011年の5倍に増加することが予想されている。

さらにはデバイスも爆発的に増加し、2020年には50億台が利用され、ネットワークにつながるセンサーデバイスは50兆個を超えることが予想されている。「インターネットとデバイスは意識せずに消費されている電気や水道のようなインフラになります」と平野氏は説明する。そして「これらの大量なデータをどうさばくかがビッグデータに求められる重要なニーズです」と指摘する。このように同時発生する大量なデータを分析・活用するには、クラウドとストレージのパワーが不可欠で、「データをどう解析するか、デバイスにどのようなデータを配信するか」が重要になるという。

ビッグデータを分析・活用する三つのポイント

平野氏は、ビッグデータを分析・活用する三つのポイントを説明。それは、「ソーシャルとのデータのマッチング」「過去のデータだけではなく、リアルタイムのデータを過去のデータと重ねることで新たなことが見えてくる」「高度な計算能力で解析するソフトウエアやビジュアライゼーションするツールが重要になる」ことだという。

この先、ビッグデータにはさらなる先進性が求められ、人による検知が難しい予測を分析する機能や、実世界のデータとサイバー空間の世界を相互に結び付けるシステム「サイバーフィジカルシステム」などが実現するだろう。「そのために、Hadoopのようなバッチレイヤーとリアルタイムのデータを融合させるリアルタイムビッグデータが必要です」(平野氏)。

ビッグデータにはさらなる先進性が求められる

そして平野氏は、Microsoft Azureを活用したビッグデータ事例として明治大学と共同で行ったICT養液土耕栽培システム「ZeRo.agri」を紹介。「これまで農家の人たちが手間をかけて作業していたことが、クラウドによって自動化できるようになりました」(平野氏)。 

また、GPS情報を活用して最も近いタクシーを呼べるサービスについて説明し、複数のタクシー会社が共同で作成・運用しているスマートフォンアプリがMicrosoft Azure上で稼動していることも紹介した。

ビデオリサーチインタラクティブは、10万人以上のスマートフォンユーザーから収集したアプリ利用データを基に、時間帯/日別でのアプリ利用動向や、利用アプリ間の関連性、個別アプリのライフサイクルを予測/分析するサービスをはじめる。そうしたデータは、Microsoft Azureに蓄積されるという。

ビッグデータを活用する基盤として、Microsoft Azureは様々なところで使われている。

お問い合わせ

日本マイクロソフト

日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター
URL ■http://www.microsoft.com/japan/
TEL ■0120-41-6755(受付時間 平日9:00 ~17:30)

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