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日経ビジネスオンライン Special|セイコーソリューションズ(トップインタビュー)

セイコーホールディングスは、システムソリューション事業の拡大を目指して、今年7月1日付で事業会社を再編。セイコーソリューションズ(SSOL)が、セイコーインスツル(SII)のシステムアプリケーション事業を吸収し、同時にSII子会社3社を吸収合併する。新生SSOLの代表取締役社長である山本隆章氏に、同社の経営方針やITサービス産業の将来について話を聞いた。

再編のシナジー効果を発揮し一歩先の技術を開発していきたい

――システムソリューション事業を統合した狙いはなんでしょう。

 これまでグループ内で、複数の企業がシステム関連事業を手がけ、それぞれがユニークなビジネスを展開してきました。これらを一体化すれば、大きなシナジーが発揮できると判断しました。

 各社が持つリソースを融合すれば、競合他社とは異なるソリューションが提供でき、大きな市場成長性が見込めます。セイコーホールディングスグループ内で、ウォッチ事業・電子デバイス事業に次ぐ第三の主柱事業として、システムソリューション事業を成長させる計画です。

三位一体で新たな価値を

――この事業領域には国内外に数多くの競合が存在しますが、SSOLの強みは?

 今回の再編により「ソフト」「ハード」「サービス」を三位一体でワンストップ提供するのはもちろんですが、競合企業にはない私たちが強みを持つ独自の商品を、担当する部門・社員が密に連携し提案することで、お客様に新たな価値を提供できると考えます。

 これまでにも、私たちが設計開発した端末(ハード)と決済センター(サービス)とを組み合わせ、無線によるタクシーのクレジットカード決済を、業界に先駆けてサービス展開しました。さらに、使い勝手のよいアプリケーション(応用ソフト)も統合し、お客様であるタクシー会社にとって新たな価値を提供できたと自負しています。

 また、私たちは約10年前から、ネットワーク上の時刻同期精度を1マイクロ秒のレベルで保証する「プレシジョン・タイム・プロトコル(PTP)」という高精度時刻同期技術を用いた製品開発に取り組んでいます。これまでは、ここまで高い精度が必要なアプリケーションはあまりなかったのですが、電子的なデータが爆発的に増えるビッグデータの時代、日々進化を続ける超高速ネットワーク時代には重要性が高まってきます。情報の正確性・真正性を担保するためには、それぞれのデータが発生した正確な時刻が必要になるからです。

 このように、お客様や社会が今の時点では気がついていないような、一歩先を行く技術やソリューションを提供していくことを目指しています。

――先進技術の追求を重視する経営方針なのですか。

 先進技術の研究開発に取り組むのはもちろんですが、先進性と同等に信頼性も重視しています。

 セイコーの創業者である服部金太郎が「世間より一歩先に進む必要がある。ただし、ただ一歩だけでよい。何歩も先に進み過ぎると、世間とあまり離れて予言者に近くなってしまう」という言葉を残しており、これがセイコーのDNAとなっています。新生SSOLでも、先に行き過ぎず、信頼性が担保されたソリューションを提供していく方針です。

時間と空間をつなぐ技術で、一歩先のトータルサービスを提供
時間と空間をつなぐ技術で、一歩先のトータルサービスを提供

情報で時間と空間をつなぐ

――具体的には、どのような領域のソリューションを手がけていくのですか。

 一言で表現すると「時間と空間を情報でつなぐソリューション」になります。

 「空間をつなぐ」というのはネットワークのことです。私たちは、古くからネットワークやモバイルに関連したデバイスとソリューションを手がけています。現在、多種多様なモノがネットワークにつながる「Internet of Things(IoT、モノのインターネット)」の時代が到来すると言われています。様々なデバイスの通信技術は得意とする分野なので、IoTの進展は私たちにとって追い風です。

 一方の「時間をつなぐ」というのは、時間を扱うソリューションに加えて、もう一つ別の意味合いがあります。それは「お客様の時をつなぐ」ということです。

 一般的にIT企業は、新しい技術を応用した先進的なソリューションをアピールしますが、全てのお客様がそれを有効活用できるわけではありません。お客様にはそれまで構築してきたIT環境があり、枯れた技術と新技術が混在することになります。「お客様の時をつなぐ」というのは、過去のIT環境と新しいIT環境を融合させるという意味です。

 例えば、業務用の端末では、時代によって標準的な通信手順が異なることがあります。いくら新技術に通じていても、古い通信手順を熟知していなければ、これらが混在した環境を構築することはできません。私たちは古くからネットワーク関連の機器やソリューションを手がけているため、多様なIT環境をつなぐことには長けています。

――ITはコモディティー化が進んで、新たな付加価値を創出するのが難しいと見る向きもありますが。

 ハードやソフトの価格が下がり、誰でも容易にITを導入できるようになりました。お客様が既存の業務を単純にIT化するだけでは、競合他社に対する優位性を築けなくなっています。しかし、お客様、さらには社会に潜在化している課題を見いだすことができれば、ITを活用して課題を解決することは可能です。それが、お客様の競争優位性につながるはずです。

 お客様から提案依頼書を持ちかけられる前に潜在的な課題を掘り起こし、その解決策を提案する――。これからのITサービス産業には、このような取り組みが必要になるのだと思いますし、私たちが目指す姿でもあります。

セイコーソリューションズ株式会社
セイコーソリューションズ株式会社
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