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教育現場のICT活用 地域と学校をつなぐ迫力の大判プリンター

ICT利用に積極的な東京・世田谷区立東玉川小学校。その背景には、地域とのつながりを深め、子どもの創造力やコミュニケーション力を伸ばしたいとの教育方針がある。その後押しをするICTツールが、A0サイズのカラー印刷/スキャンができる日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)の大判プリンターだ。教育現場でどのように活用しているのか、先生方に話を聞いた。

学校活動をオープンにする取り組み

世田谷区立東玉川小学校
校長
新村 出

東玉川小学校は、2009年にICT活用教育センター校として、2012年以降は世田谷区教育ビジョン推進研究開発校の一つとして、ICTを活用した授業改善に取り組んできた。2013年からはタブレットを利用した授業の実証研究にも参画し、現在は91台のタブレットを導入している。米国の大手IT企業もその先進的な取り組み状況を視察に訪れたほどだ。

教育現場のICT活用というと、授業での活用方法が注目されがちだ。実は、学校にはもう一つ大きな役割がある。「現在、学校の運営においては、学校のPRということが重要になっています。地域と一緒に子どもたちを育てていくという方針の下、学校のことを地域に伝え、地域からもご意見をいただいて学校を運営しているのです」と、同校の新村出校長は語る。

ICT活用モデル校としての教育界への発表、地域へのPR、児童への校内告知――。教員が児童と接する時間を減らさずに、いかに情報発信を効果的かつ効率的に行うか、大きな課題だったという。

教育関係者向け研究会の発表では、教員が準備に半年近くをかけることも珍しくない。特に手間がかかるのが、模造紙に写真や図表などを切り貼りし、掲示物を制作する作業だ。「大変では済まないほど」(新村校長)の負荷だった。

地域との関係づくりに一役買う

そうした中、A0サイズのカラー出力・スキャンができるHP製の大判プリンター「HP Designjet T2500 eMFP」を利用してみたところ、教員の反応は上々だった。2014年春のことだ。

大判プリンターはこんなふうに使った。文章や画像のデータは、パソコンの文章作成ソフトでレイアウトして整える。それを、まずはA4サイズで印刷して中身を確認。USBメモリーなどを介してデータを大判プリンターに読み込ませてプリントする。「写真や図表などを手作業で切り貼りしたり、調整のために貼り直したりする手間が省けました。何より、とてもきれいに仕上がるので驚きました」と、主任教諭の荒川信行先生は述べる。今や大判プリンターなしの作業は想像できないほどだという。

さらに、地域との関係づくりにも大判プリンターは一役買った。「地域の行事をまとめてポスターにしたら、地域のみなさんが持っていって全部なくなってしまいました。ポスターならご高齢の方々にも渡せるわけです。地域とのいいコミュニケーションになっています」と新村校長は笑顔を見せる。そのポスターは、商店街の文具店や畳専門店、地銀支店、区民センターなどで掲示中だ。ほかにも、係担当の先生と児童たちが運動会のポスターを作った例もある。

大判プリンターで出力した掲示物が校内の至るところで見られる
大判プリンターで出力した掲示物が校内の至るところで見られる
左:登下校の見守りに感謝する地域向け掲示
右上:校内案内図(写真中央)
右下:ランチルームでの旬の野菜イラスト

教育はデジタルとアナログの融合体に

もちろん大判プリンターは授業でも活用されている。

世田谷区の小中学校は独自に日本語の力を高める授業を展開している。例えば「教科日本語」という副読本では、小学校低学年から論語を学ぶ。こうした副読本をスキャンして大判プリンターでカラー出力すれば、難しい漢字だけでなく情景も大きく表示でき、児童の理解が進む。

「教室の児童全員が同じものを見ることが大事なのです。児童が意見を交換する過程で、ほかの児童がどこを見ているのか、という視点の多様さに気づくきっかけになるためです」と荒川先生は述べる。これは、配布物をうつむいて見るだけではなかなか難しい。

また、児童が手描きしたイラストを大判プリンターでスキャンし、A0サイズにカラーで拡大して黒板や廊下の掲示版に貼り出すこともできる。6色インクでのカラー出力は、細かいクレヨンの筆致も、そのままの印象で見せられる。実際、児童からは「(ポスターにしても)本物みたい」という声が上がった。「やはりA0カラーは迫力があります。児童が思った通りに、元のイラストが大きくなっているようです」と新村校長もその鮮やかさを語る。大きく印刷されて廊下などに掲示されると児童も励みになるという。

「ICTツールは使いこなし方次第で授業が変わると感じています。効果的に使うために、教員も勉強しないといけません」と新村校長は述べる。同校では教員同士がツールを使いこなすための情報共有のために「ICT利活用シート」と呼ぶレポート集を用いている。ICTの略は「I Can use this Technology」。教員の中には、ICTが苦手な人もいる。名称を工夫することで、少しでも苦手意識を取り払ってもらおうという意図だ。「一人ひとりの発想力には限界があります。しかし、互いに共有することで幅が広がるのです」と新村校長は情報共有の大切さを語る。

無駄な会議はせず、ICT利活用シートで情報共有

教員の工夫で思いもよらなかった活用方法も出てきた。児童の作品展の際、ある教員が海底の写真を大判プリンターで印刷し、机の下にぐるっと360度巻いたという。机の上が海面で、机の下が海底に見えるという趣向だ。それを見た地域の保育園の園長が感心し、作品展が終わった後に出力紙を譲り受け、保育園の劇の背景に使った。大判プリンターが地域の縁を取り持った一例だ。

ICTをどのように活用して、地域とともに、より良い学びを提供するか。教育現場ではまだまだ手探りの状況だ。「これからの教育現場はデジタルとアナログの融合体になっていくでしょう。あくまで児童に向き合って、地に足が着いたICT活用をしていきたいですね」と新村校長。東玉川小学校の創意溢れる取り組みはこれからも続く。

遠藤修 副校長(写真右)と荒川信行 主任教諭。
タッチパネルの操作で簡単に大判出力ができる「HP Designjet T2500 eMFP
東玉川小学校プロフィール
住所 東京都世田谷区奥沢1-1-1
創立 1951年
児童数 368人(2014年4月7日現在)
お問い合わせ
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/designjet/
TEL:03-5628-1414

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