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【オムロン】オートメーションの進化が加速、発展する「人」と「機械」の関係

オムロンは、「Factory 2014 Future Technologies」における四つの講演でオートメーションの進化がもたらす製造業の将来像を明らかにするとともに、その実現に向けた先進的なソリューションおよびその事例を紹介。それらを通じて未来に向けた「人」と「機械」の新たな関係の構築に取り組む姿勢を明確に打ち出した。

松本 英俊氏
オムロン
オートメーションシステム統轄事業部 コントロール事業部
第一事業推進部 部長

今回のFactory2014 Future Technologiesでオムロンは、プログラムの1トラックを使って四つの講演を行った。最初の講演では、同社が描く製造業の将来像と、その背景にある同社の理念に言及。そのうえで、社会の発展のために、これからオートメーションの技術が担うべき役割を語った。さらに、これに続く三つの講演で、製造業の新たな将来像をにらんだ生産革新を実現するためのソリューションとして同社の先進的な取り組みを紹介した。

「製造業の未来に向けた生産革新ソリューション」と題した最初の講演を担当したオムロンの松本英俊氏は、日本におけるオートメーションのパイオニアとして長く製造業の発展に貢献してきた同社の企業哲学について語った。「機械にできることは機械にまかせ、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである」。この企業哲学が、同社が手掛けるあらゆる製品やサービスの基軸になっているという。つまり、オートメーションは、「人」と「機械」の関係を進化させるものだというのが同社の考えだ。

オートメーションが課題を解決

こうした姿勢を同社が、いま明確に打ち出した背景には、取り巻く環境の変化にともなって製造業において複数の大きな課題が浮上してきたことがある。例えば、市場やビジネスのグローバル化だ。「いまや一つの国や地域の中でサプライチェーンを完結させることはできなくなりました。複雑化するサプライチェーンを効率よく管理できなければ生産性を高めることはできません」(松本氏)。急速に高度化する技術への対応も迫られている。「個々のシステムが高機能化しているうえに、より高いレベルで、安全やエコロジー、環境負荷低減といった問題に対応する必要もあります」(松本氏)。IoT(Internet of Things)をはじめとするICT(情報通信技術)の進化にも追随しなければならない。

製造業における基本的な課題でもある「低価格化」も新たな局面を迎えているという。「新興国の人件費も高騰しつつあります。人件費が安価な国や地域に生産拠点を移す従来の手法がそろそろ立ちゆかなくなります。ただし、よりよい製品を、より安価で提供することは製造業において永遠の課題。今後は、違うアプローチによる低価格化の取り組みが必要になるでしょう」(松本氏)。さらに、「人」と「機械」の調和を図ることも、今後の大きな課題になるという。「『人』が『機械』に合わせる時代が長く続きましたが、ロボットなど高度な機能を備えた『機械』が人々のくらしに広がるようになると、『機械』が『人』に合わせて動くようにする必要が出てくるでしょう」(松本氏)。こうしたさまざまな課題を解決するカギとなる技術が「オートメーション」だと松本氏は語った。

「人」と「機械」の未来に言及

この考えを前提に松本氏は、オムロンが考える未来のものづくりの現場について言及した。「オムロンが描く将来ビジョンの基本になっているのは、創業者である立石一真氏が1970年に国際未来学会で発表した未来予測理論『SINIC(Seed-Innovation to Need-Impetus Cyclic Evolution)理論』です」(松本氏)。「SINIC理論」によると、科学と技術と社会の間には円環論的な関係があり、それらが相互に影響を与えながら、社会の発展を促す。同理論の中で、社会が発展する局面が具体的に表現されており、現在は「最適化社会」の局面にある。

「最適化社会」では、「人」と「機械」の関係が一段と進化する。つまり、人間の知性や感性を「機械」がサポートしたり、「人」から引き出したりする技術が発展する。このために人間の知能や感覚の一部が「機械」に組み込まれ、「機械」が「人」に合わせて動くようになるという。こうした「人」と「機械」の進んだ関係をいち早く形にしたのが、2014年10月に開催されたITおよびエレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN 2014」に同社が出展した「ラリー継続卓球ロボット」だ(図1)。

図1 「人」と「機械」の新たな関係をうかがわせる「ラリー継続卓球ロボット」
「CEATEC JAPAN 2014 」(2014年10月7日~11日、幕張メッセ)にオムロンが出展。

このロボットは、パラレルリンク機構を使ってラケットを動かし、人が打ったボールを自動的に打ち返す。このとき人が返してくるボールの動きを見極めて、相手が打ちやすいところに返球し、ラリーが続くようにラケットの動きを制御する。つまり、人と機械が互いの能力を認識して、「ラリーを続ける」という一つの目的を達成している。このように、「人」と「機械」が能力を補完し合いながら調和し、ものを作るという目的を成し遂げる。これこそ、まさにオートメーションの進化の先にオムロンが見据えているものづくりの将来像だ。

以降では、こうした同社のビジョンの実現に向けた具体的なソリューションを解説した講演の内容を紹介する。