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若手エンジニアも新製品開発に積極投入、印刷技術と新技術の融合で未来価値を創造

景気やトレンドに左右されない、新たな製品の開発に着手

1929年に創業した日本写真印刷(以下、NISSHA)。同社は「印刷」技術をコアとしながらも、「だれもやらないことをやろう」という差別化戦略のもと、これまで多様な製品・サービスを世に送り出し、新たな価値を提供し続けている。

現在、同社が展開する事業領域は大きく4つ。1つ目が、紙の印刷やインターネットを活用したサービスを提供する「情報コミュニケーション事業」、2つ目が、携帯電話やパソコンなどをはじめとしたプラスチックや金属など様々な素材に機能・意匠を転写する「産業資材事業」、3つ目が、タブレット端末やスマートフォンなどに利用されているタッチパネルなどの生産・開発を行う「ディバイス事業」、4つ目が、アルコールチェッカーなどへの搭載に加え、燃料電池車や医療向けなど幅広い展開が期待される「ガスセンサー事業」だ。

なかでも、ディバイス事業は、同社の売上の約6割を占める事業へ成長している。一方、主なターゲットであるタブレット端末や、スマートフォンなどのIT機器は、景気の波やトレンドの変遷による影響を受けやすいという課題がある。そこで、同社は確実な事業の成長を目指し、景気やトレンドに左右されない新領域の製品開発に着手している。

独自技術と新技術を組み合わせ、これまでにない新たな価値を創出

写真1 市場をリードするNISSHAのタッチパネル
軽さ、薄さ、見やすさ、動作の正確さなど、タッチパネルに求められる品質を独自の技術で実現する
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写真2 色素増感太陽電池「EneLEAF(エネリーフ)」
植物がクロロフィル(光合成色素)で光合成を行っているのと同じ、色素を利用して発電するメカニズムを採用する
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写真3 ワイヤレススイッチ
タッチパネル、色素増感太陽電池「EneLEAF(エネリーフ)」、小電力無線の3つの技術を組み合わせて、最終製品として提供する
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新領域の1つが「無線センサーネットワーク」である。具体的には、同社の主力製品であるタッチパネル(写真1)と、独自開発を進めてきた色素増感太陽電池「EneLEAF(エネリーフ)」(写真2)に、小電力無線を組み合わせた「ワイヤレススイッチ」(写真3)の開発を進めているのだ。「このワイヤレススイッチは、EneLEAFで発電したエネルギーだけを使って、対象とする機器の電源ON/OFFをはじめとする制御を無線を通じて行うことができます。将来的には、様々なセンサーからの情報を集約するシステムや、インターネット通信を利用した製品開発への展開も考えています」と同事業部 新製品開発部の柴田 淳一氏は説明する。

これら製品で同社が狙うのが、「モノのインターネット(Internet of Things)」といわれるIoT市場だ。いまや身の回りにある家電やクルマ、工場の機器、ビルや道路のような建造物など、あらゆるモノにセンサーが設置され、インターネットへつながろうとしている。「当社が開発している無線センサー製品を使うことによって、電源の確保や複雑な配線にかかる手間や費用を心配することなく、自由な設計が可能になります」と柴田氏は話す。

さらに、同社は同製品のコア技術を転用し、水素ガスを検知するワイヤレスセンサーの開発にも取り組む。これにより、保守作業が困難な場所でも高いレベルで安全性を確保することができるという。

専門分野にとらわれずチャンスを与え、若手エンジニアの成長を促す

若手エンジニアも、これらNISSHAの将来を占うプロジェクトにおいて重要な役割を果たしている。福田 健悟氏は、前述の無線センサーネットワーク開発プロジェクトに初期段階から携わる入社5年目のエンジニアだ。

現在は、電気系のエンジニアとして、無線センサー製品の評価を担当する福田氏だが、大学時代の専攻は情報系。入社直後もソフトウエア開発を専門にしていた。

「当初は電気に関する知識はほとんどありませんでしたが、チャレンジの機会だと捉え、先輩エンジニアたちの助けを借りながら一から勉強しました。そのおかげで、現在はソフトと電気という複合的な視点で製品を捉えられるようになりました。いまは、さらに一歩踏み込み、『製品の用途に対して、筐体の強度が足りない』などセンサーを組み込むケースのデザインや構造設計に関する話し合いに参加することもあります」と福田氏は話す。

入社1年目で同製品の開発に携わるのが大場 芙美氏だ。

「大学時代は、情報系を専攻していました。化学系や電気系、情報系など、多様なバックグラウンドを持つエンジニアと一緒に働ける点に他社にはない魅力を感じ、NISSHAへの入社を決めました。現在は、EneLEAFで発電した電力を『いかに効率的に利用し、製品を安定動作させるか』が、私に課せられたミッション。プログラムの構成やロジックに改善点がないか、常に試行錯誤を行うほか、電気回路の勉強にも取り組み、要求に応じた動作ができるよう課題を一つひとつクリアしていくことが仕事の達成感につながっています」(大場氏)

教育支援や評価制度により、世界で活躍できるエンジニアを育成

このような若手のエンジニアの活躍の背景には、同社の様々なサポート体制に加え、エンジニアたちが積極的にスキルや知識の向上を目指す社風がある。

例えば、エンジニアの能力向上を支援するため、通信教育や研修セミナーなどの受講を支援。また、エンジニアのモチベーションを向上するために、優れた技術開発に取り組んだエンジニアを評価する「技術表彰制度」を整備して、新しいチャレンジを後押ししている。エンジニアたちも、週1~2回自主的に勉強会を開催し、自らスキルアップを図っている。

さらに、海外売上高が7割以上を占める同社は、英語や中国語といった語学の習得も支援。世界24カ所に展開している海外拠点に若手エンジニアを積極的に派遣し、国内だけでなく海外でも通用する人材の育成を目指している。

「当社は、情熱(Passion)を持ってチャレンジする人にチャンスをどんどん与える会社です。チャンスを掴む人は、常に新しい技術や情報にアンテナを張り、日々チャンスに備えているもの。そうしたプロアクティブな姿勢を持った仲間が当社の成長を支えています」と柴田氏は話す。エンジニアたちの飽くなき挑戦が、NISSHAの成長と新たな価値提供の源泉となっている。

会社情報
【資本金】 56億8,479万円(2014年3月末現在)
【社員数】 837人(連結3,383人/2014年3月末現在)
【設立】 1929年10月
【事業内容】 <産業資材事業>自動車(内装)・スマートフォン・家電製品へ意匠や機能を付与するIMDを中心とした事業
<ディバイス事業>タブレット端末・スマートフォン・携帯ゲーム機で使用されるタッチパネルの開発・製造
<情報コミュニケーション事業>印刷メディアとコミュニケーション戦略全般をサポートするサービスの提供
<ガスセンサー事業>アルコールチェッカーや空気清浄機、燃料電池車など様々な用途にガスセンサー製品を展開
採用情報
【採用職種】 技術系:技術開発・製品開発、技術・生産技術、R&D、品質管理・品質保証、生産管理・購買など事務系:営業(海外・国内)、管理部門、生産管理・購買など
【採用実績大学】 全国国公立私立大学
【採用実績学科】 技術系:電気・電子、機械、ソフトウエア、化学、材料、バイオ、物理など事務系:全学部全学科
【勤務地】 京都、東京、大阪、石川、兵庫、滋賀、三重
【2015年入社予定数】 技術系:14人 事務系:7人
【初任給】 修士了:月給 226,000円(2013年度初任給実績)
大学卒:月給 207,000円(2013年度初任給実績)
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