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すでに540超の日本企業が進出、「5+2」戦略とイノベーション支援で成長を持続

すでに540超の日本企業が進出、「5+2」戦略とイノベーション支援で成長を持続
浦荣皋氏
中国共産党蘇州市委員会常務委員
蘇州高新区書記

上海から新幹線で約30分、車で約1時間半。蘇州国家高新技術産業開発区(略称:蘇州高新区。高新技術は「ハイテク」の意)には、日本企業だけで540社超が進出する。恵まれた立地条件だけでなく、企業・研究機関への積極的なサポート体制、暮らしやすい社会インフラの充実、企業が求める優秀な人材の確保など、高新区の企業誘致努力が結実した結果である。高新区の成長率は年9%。これは国の平均を大きく上回る数字である。成長を続ける高新区の新たな取り組みについて、中国共産党蘇州市委員会常務委員/蘇州高新区書記の浦荣皋氏に話を聞いた。

Q 蘇州高新区の概要を教えてください。

A 蘇州高新区(蘇州ハイテク産業開発区)は中国初の国家級ハイテク産業開発区の一つとして、1992年11月に国務院の認定を受けました。2002年9月、蘇州市では新たな区画調整が行われ、蘇州高新区の行政区域の面積も258平方キロへと拡大しました。現在の総人口は73.31万人です(そのうち区の戸籍人口は35.85万人)。

開発が始まってから、蘇州高新区は新世代の人材の誘致、新産業の推進と新都市の発展に力を入れてきました。「科学技術革新型経済」をテーマに、技術で区をリードし、経済のグローバル化を推進し、新型産業や新型都市を構築し、持続可能な発展戦略を貫いてきました。その考えに基づいて、高新区は急成長を遂げることができたのです。

Q 実際の成長率はどの程度なのでしょうか。

A 2014年、区の総生産は950億3000万元で8.8%増を実現しました。公共財政の予算収入は100億2000万元で9.1%の増加です。一定規模以上(注:年間売上高2000万人民元以上)の工業総生産は2601億2000万元で3%の増加。社会全体の固定資産投資額は526億1000元に達し、14.2%増を達成しました。対外貿易輸出入の総額は376億9000万ドルで4.1%の増加、外資実際利用額は7億ドルです。このように、ほぼすべての経済指標が蘇州市の平均レベルを上回っています。

Q 高新区の成長を支える業種を教えてください。

A 蘇州高新区は先端的な製造業とサービス業を成長の両輪と考えています。製造業のなかでも新興の産業が勢いよく発展していて、一定規模以上の工業総生産に占める割合は54.8%に達しています。

サービス業も急速に発展しており、七大サービス業集約区(獅山商務貿易中心区、金融保険サービス集約区、西部生態レジャー観光リゾート区、文化クリエイティブ産業集約区、知的財産権サービス集約区、現代物流と国際貿易集約区、人的資源産業集約区)の建設や、竜湖時代天街、イオンモール、イケアなどの重要プロジェクトの推進が加速しています。サービス業の増加値がGDPに占める割合は、毎年2ポイントずつ増加し、2014年には30%に達しました。

高新区が実施しているのは、「5+2」と呼ぶ産業の発展体系です。「5」は①次世代電子情報、②医療器械、③新エネルギー、④軌道交通、⑤地理情報と文化・科学技術の5大戦略的新興産業を指します。一方の「2」は、①電子情報と②装備製造業の従来からの2つの柱産業です。

このうち、次世代電子情報の産業規模はすでに千億元レベルに達しています。エネルギー分野でも、カナディアン・ソーラー(阿特斯光電)、保利協鑫を代表とする太陽光発電の産業チェーンが形を成しつつあります。中科院蘇州生物医学工程技術研究所を中心とする医療機器産業も将来有望で、江蘇省の戦略的新興産業発展における医療機器の産業基地となっていくでしょう。

上場する企業も増えています。蘇州Goodark(蘇州固鍀)、カナディアン・ソーラー、勝利プレシジョンは深圳とアメリカで上場を果たしました。区内の上場企業は延べ11社に達し、12社は「新三板」という米国のナスダックに似た市場での上場に成功したのです。

Q 高新区がモデル開発区になったと聞きました。

A その通りです。高新区は循環型経済とエコ産業の分野で注目を集めており、中国初の循環型経済標準化モデル区、そして認定を受けた中国初のエコ産業モデル区の一つとなりました。

区は、中国内外の投資家に広く門戸を開きつつあります。2015年3月までに、区が誘致した外資系企業は累計2268社に達し(そのうちの三十数社は世界トップ500)、累計登録資金は235億1600万ドルです。日系企業は500社以上になり、蘇州高新区は長江デルタ地域で大きな影響力を持つ「日系企業の高台」となりました。

Q イノベーション(革新)にも力を注いでいますね。

A 高新区は、革新駆動戦略と人材誘致戦略を大々的に実施し、国家級のイノベーションパークの建設に力を入れ、蘇州の科学技術イノベーションのベースキャンプになりました。イノベーションの場も多様化しつつあります。蘇州サイエンスシティ、蘇州イノベーションパーク、蘇州留学人員産業パーク、江蘇省新薬開発センター、蘇州ハイテクソフトパーク、国家環境保全産業パークなどのハイレベルな科学技術育成基地と産業化基地が相次いで建設されました。高新区には、省レベル以上の技術企業インキュベータが12施設もあり、そのうち国家レベルの施設は5つです。蘇州市の中で最強と言えるでしょう。

Q 今後の計画を教えてください。

A 安定的な発展を実現するために、高新区は「5+2」産業に重点を置き、産業チェーン・専門分野・特色のある分野における企業誘致を推進し、産業の集積化を加速させます。次世代電子情報、医療器械、新エネルギー、軌道交通、地理情報と文化・科学技術の五大産業グループを中心に、新興産業分野におけるプロジェクト建設、産業チェーンの整備とリーダー企業の育成に力を入れます。これによって戦略的新興産業のスケールメリットを形成させ、年間の新興産業の総生産が一定規模以上の工業総生産に占める割合が55%に達するよう努力する考えです。そして、七大サービス業集約区の建設を加速化し、サイエンスシティ・総合保税区・イノベーションパークという3つの電子商取引集約区の建設を確実に実現することで、新産業・新業態・新モデルの成長を推し進めます。

日本企業の方々は、ぜひ蘇州高新区に視察に来てください。現地を視察し、高新区の良さを実感すれば、高新区を事業発展の拠点に選んでいただけると思います。私だけでなく、高新区の多くの居住者が皆様と共に過ごせることを心よりお待ちしています。