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4兆円を超える中国医療機器市場、参入の好機は蘇州にあり

4兆円を超える中国医療機器市場、参入の好機は蘇州にあり
周 咏梅氏
蘇州科技城 副主任

日本貿易振興機構(JETRO)によると、中国の医療機器市場は2013年が2120億元(日本円で約4兆円)。年を追うごとに順調に成長している。この巨大市場に参入しやすくするためのインフラを整えているのが蘇州・高新区だ。区内に医療機器の検査機関を設立し、製品開発から販売開始までの期間を大幅に短縮した。蘇州は、古くから医療機器に強い土地柄で、医療に強い人材も豊富に揃っている。医療機器振興の責任者である周氏に話を聞いた。

Q 蘇州・高新区に医療機器を検査する施設がオープンしたと聞きました。

A 「江蘇省医療器械検験所 蘇州支局」と呼ぶ施設が2015年3月に本格的に稼働し始めました(図1)。ここは2類*1に分類される医療機器を検査するための施設です。中国国内で製造した2類の医療機器を、この検験所に持ち込めば、耐久テストや電磁波試験、無響音室でのテストなどを経て、検査レポートを作成することができます。

Q 検査所は開発区内の企業にどのようなメリットをもたらすのですか。

A 最大のメリットは、医療機器の審査をスピーディーに行えるようになることです。この検査所がなかったときは、南京市にある検査所に依頼するしかなく、申請してから機器を販売できるようになるまでに平均で180日が必要でした。この時間を90-100日に短縮できます。

Q メリットはほかにもありますか。

A もちろんです。それは、新製品を開発している医療機器メーカーに対して、研究段階からさまざまなアドバイスができることです(図2)。大企業か中小企業かなど、企業の規模には関係ありません。困っていたり、悩んでいたりする企業に対して、どこをどう改善すればいいのか、どうすれば審査を通過できるのか、などを早い段階からアドバイスすることで、企業は良い製品をスピーディーに開発でき、結果、他社よりも早く販売を開始することができるようになります。

Q 医療機器メーカーに対し、中国に進出するなら蘇州・高新区とアピールできますね。

A 蘇州はもともと医療機器に強い土地柄です。国家クラスの開発区として、医療機器のイノベーションを起こす役割を担ってきました。こうした背景もあり、現在、中国で事業を展開している医療機器メーカーの約1/6が江蘇省に本拠を構えています。医療に強い優秀な人材もたくさんいます。医療機器関連のサプライチェーンも整っています。中国市場をターゲットに医療機器の事業を検討しているなら、蘇州・高新区は最適と言えるでしょう。

Q 医療分野には、規模の小さいベンチャー企業もたくさんあります。

A 蘇州・高新区は、江蘇省から「医療機器イノベーションセンター」と呼ぶベンチャー向けの施設を作る許可を得ています。こういうセンターを作ることで、イノベーションの集積が進み、ベンチャー企業の育成が加速します。入居した企業は、このセンターが提供するサービスを享受できます。一つは、資金の調達や出資者の紹介。二つめが、申請手続きに対するアドバイス。三つめは、中国市場での販売のアドバイス。最後が、製造する工場の紹介です。中国市場に進出するのに、いきなり何十億円もの大規模な資金を投下するのではなく、こういったイノベーションセンターを上手に使って、中国企業と技術提携したり、販売委託したり、合弁会社の設立を検討したり、する方法も採ることができます。

*1 中国では、医療機器はリスクの度合いを基準に三種類に分類している。1類はリスクの低い医療機器。2類はある程度のリスクを有し、厳格な管理によって安全性を保証する必要がある医療機器。3類は比較的高度なリスクを有し、特別な措置による厳格な管理が必要な機器を指す。