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活動範囲は日本から 広州、成都、長春に及ぶ

自潤軸承(蘇州)有限公司(OILES Suzhou Corp.)、活動範囲は日本から広州、成都、長春に及ぶ

Q 蘇州・高新区での業務内容を教えてください。

吉田 正洋氏
董事 総経理
自潤軸承(蘇州)有限公司

A 親会社である日本のオイレス工業は、無給油または給油の回数が少なくてすむ軸受け「オイルレスベアリング」のトップメーカーです。日本では、オイルレスベアリングのほかに、建物用や橋梁用の免震装置、高層ビルの窓の開閉などを制御する建築機器を製造・販売しています。蘇州・高新区は、このうち自動車向けのオイルレスベアリングの製造と営業を担当しています。2005年4月に設立し、現在では200人を超える従業員が働いています。

蘇州・高新区で製造しているのは、中国市場向けの製品です。中国全土に製品を出荷しています。当社は「地産地消」が基本的な考え方です。現在、中国市場の自動車販売台数は年間で二千数百万台。まだまだ伸びる市場です。
中国市場で、いろいろな国の自動車メーカーに向けて事業を展開しているので、2012年に発生した尖閣諸島問題のときも大きな影響を被らずに済みました。問題発生直後は、一時的に売上は減りましたが、すぐに回復。年間では、中国の自動車市場の伸び以上の伸張率を示しました。

Q 製造拠点として、どうして蘇州・高新区を選んだのでしょうか。

A 理由の一つに、地の利が良いことが挙げられます。当社の活動範囲は、北は長春、西は成都、南は広州、東は日本にまで及びます。蘇州・高新区は、この範囲のほぼ中間に位置します。飛行機を使えば、成都にも、東京にも3時間前後で行くことができます。空港にも近く、江蘇省・無錫市にある蘇南碩放国際空港(無錫空港)なら車で30分、上海虹橋国際空港なら1時間程度です。新幹線も整備されていて、上海まで30分もかかりません。もともと、蘇州・高新区に進出する以前に、台湾企業との合弁で上海にオイルレスベアリングの製造及び営業拠点を設けていました。自動車部品向けを移管する関係上、上海から近いことも、蘇州・高新区は有利だったと思います。

もう一つの理由は、蘇州・高新区の日本企業誘致担当者の熱意が強かったことですね。実は、中国進出を検討していた2000年初め、真っ先に蘇州・高新区を候補地としたわけではありません。蘇州・高新区が候補として挙がったのは、どちらかと言えば検討を始めて少し時間が経ってからのことです。実際に、蘇州・高新区を視察に訪れたときも、ほかの候補地の予定が立て込んでいて、到着は予定を大幅に遅れてのことでした。ところが、日本企業誘致担当者はずっと待っていて、嫌味の一つも言わずに親切かつ熱意をもって対応してくださった。当然、いろんな条件面で他の候補地と比較・検討したのですが、蘇州のこの「やさしさ」は選定に大きく寄与したように思います。当時の当社の役員や担当者の中には、蘇州・高新区の誘致担当者のファンだと公言する人が今でもたくさんいますから。

工場の外観

Q ベアリングの製造に必要な部品も蘇州近辺で調達できるのでしょうか。

A 当社の場合、オイルレスという特殊なベアリングを製造しています。なので、今は材料の多くを日本で製造し、それを輸入しています。蘇州では、それを加工し、最終の製品として仕上げています。ただ、今後も中国の自動車市場が継続して伸びることが予想されます。その伸びに合わせて、材料の一部を蘇州・高新区でも製造する計画を立てています。コストの問題、為替の問題などを考えると、最初から最後まで現地で製造した方が良いに決まっていますから。今のところ、材料から現地で生産している海外拠点は米国の工場だけです。蘇州・高新区の工場はこれに続きます。

Q 仕事を離れた生活面はいかがでしょうか。

A 私はいっさい自炊をしません。外食ばかりですが、全く困ることはありません。日本食はどんな種類のものでも食べられます。美味しいお刺身もあります。気候も日本に似ていますし、当たり前といえばそれまでですが、すべてが漢字で表記されているので、日本人としてはとても馴染みやすい街です。

多くの人に知って欲しいのは、中国には活気があるということです。生活か仕事かに関係はありません。住んでいるだけで、パワーをもらえます。日本に帰ると、先進国独特の閉塞感を感じることがありますが、こちらではそれを全く感じません。こちらに来て5年になりますが、今でも新しい発見の連続で、毎日わくわくしています。