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人材が豊富でサプライチェーンが充実

佳能(苏州)有限公司(Canon (Suzhou) Inc.)、人材が豊富でサプライチェーンが充実

Q 蘇州・高新区での業務内容を教えてください。

簱持 秀也氏
キヤノン(蘇州) 董事長 総経理

A カラーとモノクロ複写機を製造しています。キヤノンでは、複写機を複数の拠点で製造しており、蘇州・高新区が担当しているのはカラーとモノクロともに主に中級機です。蘇州で製造して、世界各国に向けて輸出しています。2001年9月に設立し、2002年7月に生産を始めました。今では、従業員数は7000を超えています。

Q 製造拠点として、どうして蘇州・高新区を選んだのでしょうか。

A 理由は大きく三つあります。一つは、この地域の人材が優れていることです。複写機の生産は労働集約型と思われがちですが、決してそうではありません。製品は高機能かつ高性能です。細かな作業もとても多い。ある程度の技術的な知識を持った優秀な人材を集めないと、管理面や製造面で齟齬をきたすことがあります。誰でもいいというわけではないのですね。その点、蘇州・高新区の周辺には優秀な理科系の大学が数多くあります。この地域は、複写機の製造により適した人材の確保が他の地域よりもしやすいのです。  

二つめはサプライチェーンが整っていることです。この周辺には、複写機に必要な部品を供給してくれるメーカーがたくさんあります。当社の場合は現地調達部品を増やすのが前提なので、製造拠点を構築するのに、部品のサプライチェーンが整っているかどうかが、とても重要です。  

最後は、蘇州・高新区の対応の良さです。日本企業の誘致担当者が熱心かつ親切で、誘致当時からどんな細かなことに対してでも親身になって相談に乗ってくれていました。対応の良さは、今も変わりません。例えば、中国では税制が頻繫に変更されます。そのたびに、蘇州・高新区で説明会を開催してくれたり、こちらからの問い合わせに丁寧に答えてくれたりしています。

図1 社屋

Q 中国では離職率が高いと言われていますが。

A そんなことはありません。中国人は日本人よりもキャリアアップの意欲が旺盛なので、長く勤めてもらうための対策を常に打ち出していくという点では苦労しますが、当社の場合は福利厚生や社員教育制度に力を注いだ結果、離職率は低く抑えられていると思っています。

例えば、7年前から始めたキヤノン・バイリンガル・カレッジ(CBC)と呼ぶサークル活動も多くの社員が参加し、中国人か日本人かに関係なく和気あいあいとみんなが楽しんでいます。これは、日本語と中国語の両方を話せるようになることを目標とするサークルで、社員自身が先生になって語学を教えます。私自身も、このサークルで中国語を学んでいます。

サッカー、バトミントン、バスケット、卓球などのクラブ活動も盛んです。社員同士で休日も一緒に汗を流しています。

図2 社内の語学サークル

Q 生活面で不自由なことはありませんか。

A 気候は東京とほぼ同じで、四季もある。治安もいい。とても住みやすいですね。食べ物も、生活用品も手に入らないものはほぼありません。地下鉄、路面電車、バスなど、公共の乗り物が充実しているので、自家用車がなくても生活には全く困りません。無料で利用できる自転車も整備されているので、移動に関しては日本よりも便利だと思います。  

蘇州はフルーツが美味しいですね。桃、びわ、みかん、ヤマモモなどが有名です。緑茶の産地としても名が知られているほか、銀杏の産地としても名高いですね。