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ものづくりの変革に応えて進化するCADツール「PTC Creo 3.0」がマルチCADとIoTに対応

ものづくりの現場で求められる変革に応えるために、CADソリューション「PTC® Creo® 3.0」などを提供する米PTCは、革新的な機能やコンセプトを打ち出しながらソリューションの進化に力を注いでいる。強化されたさまざまな機能のうち、複数のCADツールが導入されている環境でCADデータを円滑に扱う「Unite Technology」と、製品ライフサイクルをカバーするIoTソリューションを紹介する。

企画、構想設計、詳細設計、試作、評価、量産設計・・・一連のものづくりの各工程で活用が進んでいるのがCADやCAEなどのツール類だ。とくにCADツールは、構想設計、意匠設計、詳細設計、金型設計など、さまざまな工程で使われている。

そうしたCAD環境をより効率的に活用し生産性を高めたいと考えるユーザーやシステム管理者にお勧めなのが、米国のPTC社が提供する「PTC Creo 3.0」である。

2D CAD、3D CAD、パラメトリックモデリング、ダイレクトモデリング、ビューワーなど、企画、構想設計、詳細設計、生産準備をカバーするさまざまなCADアプリケーションで構成された設計環境スイート(アプリケーション・セット)だ(図1、図2)。

すでに多くの分野で採用されており、たとえばトヨタ自動車は、PTC社が2014年6月に米ボストンで開催したユーザーカンファレンス「PTC Live Global」の基調講演で、27種類あるすべてのエンジンの開発に「PTC Creo 3.0」を活用していることを明らかにしている。

ここでは数多くの機能の中から、マルチCAD環境をサポートする「Unite Technology」機能と、センシングテクノロジー(IoT)を活用した新しいコンセプトについて紹介しよう。

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図1.図2.さまざまなCADアプリケーションで構成された設計環境スイート「PTC Creo 3.0」

マルチCAD環境の設計効率を高める「Unite Technology」

さて、実際のものづくりの現場では、ひとつの製品に対して複数のCADツールが使われたり、製品ごとに異なるCADツールが使われることも少なくない。

たとえばデザイン部門は意匠設計(たとえばパラメトリックなサーフェスモデリング機能)を得意とするCADを使っている一方で、設計部門はCAEツールとの連携性に優れたCADを使っている、といったことが考えられる。あるいは事業所や部署ごとの文化の積み上げの中で、それぞれが異なるCADを使い続けている場合もあるだろう。また、設計の受託業務などでは、さまざまな取引先に対応するために、複数のCADを導入せざるを得ない場合もある。

企業内を単一のCAD環境で統一したほうが運用効率は上がるが、さまざまな事情を背景に、複数のCADを導入し利用しているのが実態ではないだろうか。ちなみにPTCが2013年に行ったワールドワイドでの調査によると、ひとつの企業あたり平均で2.7種類のCADが導入されているそうだ。ツール間でのCADデータの受け渡しや更新の管理などが現場の負担になっていることは容易に想像される。

こうしたマルチCAD環境で課題になるCADデータの受け渡しおよびCADデータの管理に対して、「PTC Creo 3.0」が提供するのが、マルチCAD環境をサポートする「Unite Technology」機能である。

多数のCADツールに対応した一般的な「インポート」のほかに、主要なCADツールのデータをそのまま開く「オープン」、CADツール側でデータを変更したときに「PTC Creo 3.0」側のデータを更新する「自動更新」、および「PTC Creo 3.0」のデータを主要なCADツールのデータ形式で保存できる「名前を付けて保存」といった諸機能で構成される。

「PTC Creo 3.0」で作成した部品やモジュールに、他のCADツールで設計した部品やモジュールを直接組み込むことができるなど、データ量を最小限に抑えながらコンカレントな設計フローを実現できるのが特徴で、データを二重に管理する必要もなくなる。

すなわち、マルチCAD環境において、設計フローの効率化やコスト削減につなげられるのが「Unite Technology」といえるだろう。

CADにセンシングを組み合わせて新しい価値を追求

次に、PTCが独自に展開するIoTソリューションを紹介しよう。

まず、「PTC Creo 3.0」の内部状態をモニタリングする「パフォーマンス アドバイザ」機能である。一般的なセンサーネットワークでは、モノや環境の状態をセンシングするために各所にセンサーを設置するが、この「パフォーマンス・アドバイザ」は、「PTC Creo 3.0」というソフトウェアの内部にさまざまなセンサーを組み込んだイメージだ。

モニタリングした性能、ユーザー数、ピークユーザー数、不具合履歴などの情報は、ブラウザのコックピット画面からグラフィカルに閲覧できる。将来は各機能の使用頻度などを細かくモニターして、ユーザーに活用方法などをアドバイスするような付加機能につなげていきたい考えだ。

もうひとつの取り組みが、試作品や製品にセンサーを付加し、センシングした変位や加速度の大きさを「PTC Creo 3.0」に与えて、現実のモノと同じ挙動をリアルタイムに再現する「デジタル ツイン(双子)」である(図3)。リアルワールドとバーチャルワールドとを結ぶコンセプトともいえるだろう。試作段階での評価だけではなく、出荷された製品の利用状況の把握にも使える。

図3.マウンテンバイクの実車に加速度センサーなどを取り付けて、挙動を「PTC Creo 3.0」上でリアルタイムに再現した「デジタル ツイン」の適用例
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以上の「Unite Technology」とPTCが提案する「IoT」機能は、続くページで詳しく説明する。