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【Case Study RT.ワークス】ロボット+IoTで製品の付加価値を創出、市場創造に挑むベンチャーの戦略を追う

 マーケティングや設備保守、社会・公共インフラなど、社会の幅広い領域で活用が進むIoT。こうした新たなビジネスの芽は、日々のくらしを取り巻く身近な分野にも存在している。そのことを実証したのが、生活支援ロボットの開発・販売を手がけるRT.ワークスだ。同社では、ロボット/センサー技術とIoTを融合させた歩行アシストカート「ロボットアシストウォーカー RT.1」(以下、RT.1)を開発。その狙いと、そこから見えてくるIoT活用の可能性とは。

高齢者の「歩き」を支援するアシストカートにIoTを活用

河野 誠氏
RT.ワークス株式会社 代表取締役

「当社は設立2年目、社員数約20名のまだまだ若い企業です。それにも関わらず、RT.1の開発にあたっては産官学さまざまな方面の支援や協力を頂けました。これも、ロボット・介護・IoTというキーワードのおかげかもしれません」と話すのは、RT.ワークスの代表取締役を務める河野 誠氏だ。

大阪市に本社を置く同社は、大手電機メーカーである船井電機の開発エンジニアを中心に設立された企業である。「船井電機時代には、ウェアラブル端末やスマートTVなど、高齢化社会を見据えた人に優しい電機製品の開発を手がけていました。RT.1のような生活支援ロボットもそのテーマの一つであり、経済産業省の補助認定なども受けながら開発を進めてきました」と河野氏は説明する。

開発を進める中で、高齢者向けの福祉・介護製品は、市場的にも生産規模的にも小回りの良さを求められることから、河野氏を中心とする開発メンバーが立ち上げたのがRT.ワークスだ。船井電機とのパートナーシップも維持しつつ、独立して事業を営む道を選んだのである。

そうして開発されたRT.1には、これまでの福祉・介護製品にはない多彩な機能が盛り込まれている。外観は通常の高齢者向け歩行カートと同じようなスタイルを踏襲しているが、その内部には電動モーターと6軸モーションセンサーをはじめとする10種類のセンサーを装備。軽く手を添えて歩くだけで、路面の状況や傾き、人の動きなどを検知して最適なアシスト制御を行うようになっている。坂道であろうが、重い荷物を積んでいようが、安全・快適に歩行することができるのだ。

本体に内蔵されたセンサーの情報に基づき、最適な量のアシストを提供する「ロボットアシストウォーカー RT.1」。IoTを利用したサービス機能も搭載している。
※RT.1製品写真&河野氏写真

「当社では『アンコールスマート』というコンセプトを掲げており、高齢者の方々の健康寿命をもっと延ばしていきたいと考えています。そうすれば、介護サービスを必要とされる方の数も減っていくでしょう。そのベースとなるのが、行動半径の広さです。100メートル四方の家を1キロメートル四方の家にするように、自分の足で安心して歩ける範囲を広げることだと考えたのです」と河野氏は開発の狙いを語る。

さらにRT.1のもう一つの大きな特長となっているのが、IoTを利用した画期的なサービスだ。実はこのサービスこそが、RT.1を従来の機器と差異化する決定的な要因ともなっている。果たしてその実態とは――。