日経テクノロジーonline SPECIAL

スタンドアロンのモジュール式データ集録装置、タブレット端末を使った遠隔モニタ/制御が可能に

スタンドアロンのモジュール式データ集録装置、タブレット端末を使った遠隔モニタ/制御が可能に

ナショナルインスツルメンツが2012年8月に発表したスタンドアロン型のモジュール式データ集録装置「NI CompactDAQスタンドアロンシステム」に対する技術者の関心が一段と高まっている。ハイエンドのスペックを備えた小型システムを自由にカスタマイズできるうえに、同社が新たに開発したタブレット端末用アプリケーション「Data Dashboard for LabVIEW」を利用することで遠隔モニタ/制御が可能になったからだ。

Casey Soileau(ケーシー・スワロー)氏
日本ナショナルインスツルメンツ
プロダクト事業部 プロダクトマーケティングエンジニア

ナショナルインスツルメンツの「NI CompactDAQスタンドアロンシステム」は、外部にパソコンを接続せずにスタンドアロンで動作させることができるモジュール式のデータ集録システムである(図1)。「スペックで見るとハイエンドの領域にある製品です。ただし、この製品のように自由に機能をカスタマイズでき、拡張性も高いデータ集録システムは、ほかにはないということができると思います。この特長を生かして目的に最適なデータ集録システムを実現すれば、試験や評価にかかる作業を効率化できるなど多くの利点を開発の現場にもたらすはずです」(日本ナショナルインスツルメンツ プロダクト事業部 プロダクトマーケティングエンジニア ケーシー・スワロー氏)。

図1 NI CompactDAQスタンドアロンシステム
[画像のクリックで拡大表示]

NI CompactDAQスタンドアロンシステムは、コンピュータシステムを搭載したシャーシと、それに装着する複数のI/O(入出力)モジュール「Cシリーズ」で構成されている。「Cシリーズ」には、アナログの入力および出力、デジタル入出力、CAN(Controller Area Network)インタフェースなどに分類される合計50種類以上ものモジュールが用意されており、この中から用途に適したモジュールを選択して、最大8基までシャーシに装着できる(図2)。「最適化によって機能に無駄がないコンパクトなデータ集録システムを実現できます。装置を搭載するスペースが限られている車載計測に最適です」(図3)。

アプリケーションの開発も可能

図2 50種類以上もの「Cシリーズモジュール」を用意
[画像のクリックで拡大表示]
図3 自動車の荷物室に設置された
「NI CompactDAQスタンドアロンシステム」
[画像のクリックで拡大表示]

シャーシは、デユアルコアの「Intel® Core™ i7」(動作周波数1.33 GHz)を搭載した「NI cDAQ-9139」と、デユアルコアの「Intel® Celeron™」(動作周波数1.06 GHz)を搭載した「NI cDAQ-9138」の2種類がある。いずれも、容量が32 GバイトのSSD(Solid State Disk)と容量2 GバイトのRAMを内蔵。USB、Ethernet、シリアルポート、VGA対応のディスプレイ出力などのインタフェースを備える。「集録データを格納する記憶媒体の容量が足りない場合は、これらのインタフェースを利用して増設することも可能です」(同氏)。

このシステムにはWindows Embedded Standard 7またはリアルタイムOSのいずれかと、同社の計測ソフトウェア『NI-DAQmx』がアプリケーションプログラムとしてあらかじめ組み込まれており、標準的なデータ集録システムとしてならば購入後そのまま使えるようになっている。

本体にディスプレイを接続すれば、別にパソコンを用意しなくても、そのままアプリケーションプログラムを開発するためのプラットフォームとしても利用できる。つまり、Windows Embedded Standard 7を搭載したシステムならば、同社のシステム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」をシャーシ上で稼働させて、既存のアプリケーションをカスタマイズしたり、独自のアプリケーションを新たに構築したりすることが可能だ。リアルタイムOSを搭載したシステムの場合は、「NI LabVIEW Real-Timeモジュール」とNI LabVIEWをインストールした別のパソコンで開発したアプリケーションを、シャーシに実装することができるようになっている。

タブレット端末用アプリを正式発表

こうしたNI CompactDAQスタンドアロンシステムのユニークな特長を一段と際立たせるのが、2012年10月に正式版のリリースが始まったタブレット端末用アプリケーションData Dashboard for LabVIEW(以下、Data Dashboard)である(図4)。この無料アプリケーションをインストールしたタブレット端末を使えば、NI LabVIEWで作成したアプリケーションを実装した計測システムで測定したデータを、無線LANを利用して遠隔モニタできるようになる。設定の変更など計測システムの簡単な制御も可能だ。

図4 タブレット端末に計測データを表示させる「Data Dashboard for LabVIEW」
[画像のクリックで拡大表示]

NI CompactDAQスタンドアロンシステムに、このData Dashboardを利用したモニタリング機能を組み合わせれば、データ集録システムの利便性だけでなく、作業効率も格段に向上する。「測定状況を随時監視しながらデータ集録ができるので、計測中の問題をいち早く発見することができます。人が近づきにくい場所での計測の際にも遠隔モニタ/制御は便利です。データを分かりやすい形で表示することは、複数のメンバーで情報を共有したり、外部の人に計測データを見せたりするのにも役立つでしょう」(同氏)。同社は、2012年夏ころからData Dashboardのパイロット版の提供を始めていた。これをいち早く利用したユーザの反応が良かったことから、機能を強化したうえで2012年10月から正式版のリリースを開始した。現在、Apple社が運営するApp StoreからiOS対応版、Google社が運営するGoogle PlayからAndroidプラットフォーム対応版が、それぞれ無料でダウンロードできる。

簡単な作業で遠隔モニタ/制御が可能に

図5 「Data Dashboard for LabVIEW」で作成した表示画面の例
[画像のクリックで拡大表示]

NI CompactDAQスタンドアロンシステムで測定したデータを、Data Dashboardを搭載したタブレット端末に表示させる仕組みは簡単だ。NI CompactDAQスタンドアロンシステムのシャーシが備えているインタフェースに無線LANルータを接続。続いてData Dashboardの画面で、無線LANルータのIPアドレスを選択すれば、NI CompactDAQスタンドアロンシステムとタブレット端末間の通信が始まる。

NI CompactDAQスタンドアロンシステムからタブレット端末に計測データを送るためには、NI LabVIEWに用意されている「シェア変数」と呼ばれている仕組みを利用する。シェア変数は、ネットワーク上に接続されている複数のコンピュータ間でデータを共有する機能を提供する。NI LabVIEWで作成したアプリケーションプログラムの中で、タブレット端末に表示させたいデータをシェア変数として定義するだけで、自動的に計測データがネットワーク(無線LAN)を介してタブレット端末に送信される。

タブレット端末側では、Data Dashboardが提供するプログラミング機能を利用して、受け取ったデータの表示画面を自由にデザインできるようになっている(図5)。例えば、棒グラフやメータなどデータ表示につかうグラフィックを、あらかじめ用意されたテンプレートのメニューから選べる。選んだグラフィックを画面上に配置する位置や大きさは自由に設定できる。データ表示するグラフィックの背景もユーザが自由に作成することが可能だ。表示画面上に文字でキャプションを入れることもできる。このとき、文字の配置や大きさなども変更できるようになっている。

カスタマイズに加えて遠隔モニタ/制御ができる仕組みも用意されているNI CompactDAQスタンドアロンシステム。これまでのデータ集録システムには、なかったユニークな特長を数多く備えるこの装置は、自動車をはじめ様々な製品開発の現場に多くの利点をもたらすに違いない。

お問い合わせ
  • 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
    日本ナショナルインスツルメンツ株式会社


    東京都港区芝大門1-9-9 野村不動産芝大門ビル8・9F
    TEL 0120-108492
    FAX 03-5472-2977
    URL ni.com/jp