日経テクノロジーonline SPECIAL

モータ制御系設計の効率化にNI LabVIEWが貢献、最適化と実機試験が一つの基盤で実施可能に

モータ制御系設計の効率化にNI LabVIEWが貢献、最適化と実機試験が一つの基盤で実施可能に

製品開発プロセス全体を網羅する効率的な開発基盤を実現できるナショナルインスツルメンツのシステム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」。同ソフトウェアの特長を効果的に利用できるアプリケーションの一つが、モータ制御系の開発における「最適化」である。目標とする応答特性を実現する制御パラメータを効率よく特定するためのシミュレーションと、さらに厳密にパラメータをチューニングするための実機試験の両方を一貫してサポートできる先進的な開発環境を提供。モータ制御系開発の期間短縮に貢献する。

LabVIEWで作成した最適化システムのフロントパネル

ナショナルインスツルメンツのNI LabVIEWは、直感的に操作できる分かりやすいグラフィカルインタフェースを使って、様々なシステムやアプリケーションを技術者が自由に開発できるソフトウェアである。同社などが用意している各種ハードウェアと組み合わせることで、設計、試作、実装といった製品化の一連のプロセスを網羅する先進的な開発プラットフォームを実現できる。開発期間の短縮や設計品質の向上など多くの利点をもたらす、このプラットフォームは、あらゆる分野の製品開発に様々なかたちで適用できる。その中の一例が、モータ制御系の最適化である。

モータ制御系は、いま開発の動きが活発な分野の一つだ。この背景には、EV(Electric Vehicle)やHEV(Hybrid Electric Vehicle)など動力源にモータを搭載した自動車の普及が始まったことなどがある。洗濯機やエアコンなどの家電、産業用機器などモータ駆動システムを搭載する製品の開発現場で、省エネなどのために一段と高度な課題に挑む機運が高まっていることも、この分野の開発を活発化させる要因となっている。

モータ制御系の開発における最適化とは、設計者が狙ったとおりに駆動対象が動作するように制御系の特性を調整(チューニング)する作業を指す。電気系や機構系といった複数のシステムから成るモータ駆動システムの場合、制御特性を左右するパラメータが多い。しかも、制御系の特性は駆動対象の動きだけでなく、制御対象となる機構系やモータから発生する振動や騒音、制御回路から発生する電気的な不要な雑音などにも影響を与える。これら多くの条件に配慮しながら制御系を最適化する作業は簡単ではない。技術者に経験やノウハウが求められるプロセスの一つである。

最適化アルゴリズムを効率よく実現

NI LabVIEWが提供するグラフィカルな開発環境を利用すれば、こうしたモータ制御系設計のプロセスを合理化し、開発期間を短縮できる可能性がある。具体的には、シミュレーションによる最適な制御パラメータの割り出しと、実機試験によるパラメータのチューニングを一つの開発プラットフォーム(開発基盤)上でシームレスに実施できる環境をLabVIEWを使って実現できる。

「PID制御」を採用したモータ駆動システムを例に、これをさらに具体的に説明する。PID制御は、市場にあるモータ搭載機器の多くに採用されている代表的なフィードバック制御の技術である。比例制御(Proportional Control)、積分制御(Integral Control)、微分制御(Derivative Control)の三つを組み合わせて所望の特性を備えた制御系を実現する。つまり、出力値と目標値との偏差、偏差の積分値、偏差の微分値の三つの要素で制御する。PID制御系の特性を決めるのが、三つの要素による制御のバランスを決定する三つのパラメータ(PIDパラメータ)である。制御系を設計する際には、これらのパラメータの値をどのように設定するかが重要な課題となる。適切なパラメータを求める最適化のアルゴリズムは、いくつか開発されている。ところが、実際の設計の現場では、過去に設計した事例や設計者の経験を基にいきなり決めてしまうケースが多いのが現状だ。そこから、シミュレーションや実機試験を繰り返しながらパラメータの値が本当に最適になるように追い込む、といった手順で行っている。

最適化アプリケーションを素早く実現

こうした作業の合理化に役立つのがNI LabVIEWを使って作成した最適化ツールであり(図1)、経験のある熟練エンジニアが手動でチューニングを行っていたところを、LabVIEWの最適化アルゴリズムで代用することにより、大幅な作業高速化が実現するのだ(図2)。システム開発ソフトウェアLabVIEWは、「VI」と呼ばれる特定の機能を提供するアイコンを画面上に並べてブロック線図を描くことで様々なアルゴリズムを自由にプログラミングできるのが特長だ(図3)。LabVIEWには、用途に合わせた様々なVIのライブラリが用意されており、この中には最適化アルゴリズムに適したVIのライブラリも用意されている(図4)。このVIを利用して自動最適化アルゴリズムを作成し、制御ソフトウェアに組み込めば、最適化の作業を自動化できる。これによってコストをかけずにパラメータチューニングに要する時間を大幅に短縮することが可能だ。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
図1

図2の例では、制御対象のデータをあらかじめ入力すると、ツールが自動的に最適なPIDパラメータを算出。計算したPIDパラメータを設定したときの制御系のステップ応答特性をグラフで表示する。PIDパラメータは画面上のスライドボリュームで変えられるようになっており、PIDパラメータを変化させると、それに応じてステップ応答特性のグラフも変化する。

図2 LabVIEWで作成した最適化システムのフロントパネル
図3 ブロックダイアグラムの例
図4 最適化に役立つVIのライブラリを提供

ただし、こうしたツールを開発するには最適化アルゴリズムに関する知識やノウハウが不可欠だ。このため最適化ツールを自ら開発することに二の足を踏む設計者もいるはずだ。こうした設計者は、制御系設計の経験が豊富なナショナルインスツルメンツのアライアンスパートナーの力を借りて最適ツールを構築することもできる。アライアンスパートナーの認定を受けた企業は、特定の領域に関する高度な技術やノウハウを抱え、NI LabVIEWを使ったプログラミングについて優れた技術を持っている。

統一プラットフォームで実機試験も

実はPID制御システムの最適化を支援するツールは、ほかにも市場にいくつか出ている。ただし。NI LabVIEWを使って開発した最適化ツールは、こうした既存のツールではなかなか提供できない大きな利点を備える。それは、シミュレーションによる最適化と、実機試験によるチューニングの両方を実施できる共通プラットフォームを実現できる点だ(図5)。これによってシミュレーションの結果を、素早く実機で検証でき、さらに実機で検証した結果を、即時にシミュレーションに反映して、制御系の特性を効率よく高めるといったことが可能になる。これによって、制御系の開発期間を大きく短縮できる見込みがある(図6)。

図5
[画像のクリックで拡大表示]
図6 LabVIEW環境を使用した場合の効率の違い
[画像のクリックで拡大表示]

ユーザのニーズに合わせて様々なアプリケーションやシステムを実現できるLabVIEWは、製品開発の現場に様々な革新をもたらす。新たな「壁」に挑み続ける技術者にとって強力な味方といえよう。

お問い合わせ
  • 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
    日本ナショナルインスツルメンツ株式会社


    東京都港区芝大門1-9-9 野村不動産芝大門ビル8・9F
    TEL 0120-108492
    FAX 03-5472-2977
    URL ni.com/jp