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【SAPジャパン株式会社】IoT時代の製造業、「予測力」で競争力を強化

SAPジャパン
リアルタイムプラットフォーム部 部長
大本 修嗣氏

IoTやM2Mによって、業務データが爆発的に増加する製造業では、データをどのように活用するかが企業競争力の鍵を握ることになる。SAPジャパンの大本氏は、データ活用方法をこれまでの「Sence & Respond」から「Predict & Act」に拡張することが重要だと指摘し、必要なシステムと組織体制の姿を説いた。

「爆発的に増えてくるデータをビジネスに生かす際に重要なことは、過去のデータを見て行動を決める“Sence & Respond”という方法にとどまらず、将来を予測してそれに対応した行動を事前に立案する“Predict & Act”にまで拡張することです」。SAPジャパンの大本修嗣リアルタイムプラットフォーム部部長は、製造業にとって新たなデータ活用方法が競争力の源泉になってくると指摘する。

図1●過去のデータを見て対処するよりも情報から将来を読む
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ただし、実現するにはリアルタイムに近いスピードで、細かい粒度のデータを高度に分析する必要がある。リレーショナル・データベースやOLAP(オンライン分析処理)など従来のICTシステムのアーキテクチャでは、このような分析処理は困難だった。

F1レースで大量データを超高速分析

こうした問題へのソリューションとして、SAPでは「SAP HANA」を提供する。インメモリに最適化された列型データベースで、大量データを超高速・並列に処理するのが大きな特徴だ。

実際、SAP HANAを活用して新たなデータ活用方法を創出し、成功を収めている企業がある。例えば、自動車メーカーの独Mercedes AMG社はSAP HANAの予測分析処理によって製品テスト工程を革新。エンジンやテストベンチなどに取り付けた約300のセンサーから毎秒3000~3万のデータを収集し、リアルタイムに分析処理を行う。テストに不合格となるパターンをモデリングしており、テスト開始後2分で結果を予測。不合格パターンに合致すればテストを中断する。こうして、従来50分だったテスト時間を2分に短縮した。

自動車レース最高峰、F1の強豪チームである英McLaren Groupも、SAP HANAで勝利をつかみとっている。車体に取り付けられた150のセンサーがデータを収集し、リアルタイムに予測分析処理を実行。レース中にシミュレーションを繰り返し、ピットインのタイミングをはじめドライバとエンジニアがどう行動すれば勝利に近づけるのかを瞬時に判断している。将来は、1~2周目で90%を超える精度でレース結果を予測できるようになるという。

ただし、新しいICTシステムだけで大きな成果が手に入るわけではない。大本氏は、ビッグデータの有効活用には様々な分野の知識や知恵が必要であり、多様な分野での協業が不可欠だと強調する。実際のビジネスの中で培った業務知見、複雑に絡み合った事象の中から問題を発見する課題解決手法、データ分析に欠かせない統計解析の知識、新しいテクノロジを使いこなすICT知見─。これらが結集して初めて、新たな価値を創出する革新性が生み出されると、大本氏は締めくくった。

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