日経テクノロジーonline SPECIAL

【株式会社レクサー・リサーチ】シミュレーションが変革 生産戦略のグランドデザイン

レクサー・リサーチ
代表取締役
中村 昌弘氏

日本の高品質のものづくりを支えてきた要素の一つとして、よく言われるのは現場による継続的な“カイゼン”活動だ。しかし、レクサー・リサーチの中村氏は「改善は基本的に手戻り作業。グローバル競争の中ではむしろボトルネックになりうる」と警告し、生産システムの設計段階から、明確な意図を共有する仕組みが必要と強調した。

改善活動が日本のものづくりのレベルを高めてきたことは事実だが、「理想は改善の必要がどこにもないこと」(中村氏)である。改善の繰り返しは、現場の試行錯誤が続いていることを意味する。「現場力に頼り切ることだけではグローバルレベルでのスピードについていけません」(中村氏)。

現場の試行錯誤は、「上流部門と製造現場が真につながっていない証拠」と中村氏。真につなげるには、まず上流部門が合理的な方針と現場で起こるであろう問題の先読みを基に生産システムのグランドデザインを定義し、それを製造現場に展開。製造現場は生産システムの運営や改善活動から得られた知見を上流部門に戻し、次の生産システムのデザインに生かす。こうした「現場のナレッジを生かした上流部門からの強力なフィードフォワード」(中村氏)によって、手戻りの少ない最適な生産システムを設計できるのだという。

ここで、上流部門主導の生産システム設計は暫定的なものになりがちである。上流での問題解決が不十分なままだと、結局は製造現場の改善活動に頼ることになる。改善後の効果が表れるまで、量産の実質的な立ち上がりが遅くなってしまう。それを防ぐには「上流部門がシミュレーションを駆使して、設計時点で十分計画を熟成させておく必要があります」と中村氏は言う。

図1●設計時点でシミュレーションを駆使することで、後の製造段階の改善に依存した生産システム作りの体制を改められる
[画像のクリックで拡大表示]

クラウドを介して海外拠点にも応用

そのシミュレーションのシステムとして中村氏は、同社の「GD.findi」を提案する。専門家が複雑なプログラムを作りながら工程設計を行うのではなく、マウス操作で工程をステーションに割り当てることでシミュレーションできるのが特徴だ。プロセスを図式化したプロセスBOMとフロアプランのプレースBOM、作業員割り当てのアクションBOMをワンモデル化し、それぞれを組み合わせながら、業務担当者でも最適な工程を検討できる。

特にグローバル展開を図る製造業にとっての大きな利点は、クラウド環境対応だ。プロジェクト管理、生産コストのモデリングなどのシミュレーション機能がクラウド環境にある。「日本の本社と海外現地法人をつないで、現地の生産準備と量産立ち上げを見える化することも可能」(中村氏)という。

同社はGD.findiの機能強化も継続中である。具体的には、工程をモジュール化して再利用可能にする機能や、物流のようにグローバルレベルから工場内レベルにまで分かれる作業を階層化する機能、計画と実績を統合管理する機能。これらを今後付加していく方針だという。

お問い合わせ