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第1回:パワー半導体で「省エネ」をリード、技術と経験で「高効率化」を強力支援

サンケン電気は、「Expansion(事業領域の拡大) 」「 Evolution(事業構造の革新) 」「 Eco-Solutions(エコ・省エネ技術の追求)」といった三つの意味を持つ“E”を盛り込んだ「Power Electronics for Next "E" Stage.」をスローガンに掲げ、電源とモーション・コントロールの分野を中心にビジネスを展開している(図1)。

図1 「Power Electronics for Next "E" Stage」のスローガン
星野雅夫氏
サンケン電気
取締役 常務執行役員
技術本部 本部長

同社を支える事業の柱は大きく三つある。(1)半導体製品、(2)複数の電子部品を組み合わせたパワー・モジュール(PM:Power Module)、(3)電源関連の装置を中心としたパワー・システム(PS:Power System)である。

中でも半導体製品は、売上の75%以上を占める同社の基幹事業だ。特に同社が得意としているのは、「パワー半導体」である。「当社では車載半導体をはじめ多くの製品を、お客様の要求に応じた仕様にしっかり合わせこんで設計しています。これによって、お客様が開発する製品全体のパフォーマンスを最大限に引き出すことができるからです」(星野氏)。

多彩なパワー・デバイスを展開

同社は数多くの種類のパワー半導体を提供している。具体的には、MOSFET、IGBT、バイポーラ・トランジスタ、ショットキ・バリア・ダイオード(SBD)、ファスト・リカバリ・ダイオード(FRD)といったディスクリート製品(個別素子)や、複数の半導体素子や制御用ICチップを一つのパッケージに統合した各種パワーICである(図2)。

図2 パワーICの例
写真は、3相ブラシレスDCモーター駆動用IC「SX68000MHシリーズ」の外観とそこに内蔵されている複数の半導体チップ
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同社は、これらの製品を大きく三つの市場に向けて展開している。一つは「車載」。自動車の「走る」「曲がる」「止まる」の基本性能を支えるシステム、エンジン回りやトランス・ミッション、パワー・ステアリング、ABS(Antilock Brake System)など随所で同社の製品が使われている。二つ目は、「モーション・コントロール」。モーターの回転を無駄なく制御する回路に使うパワー半導体である。プリンターなどのOA機器、産業用装置に加え、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの白物家電製品が主な用途だ。三つ目は、「パワー・コンバージョン」。あらゆる電気/電子機器の要となる電源回路の中核を担うデバイスである。

幅広い技術と豊富なノウハウが強み

同社のパワー半導体事業は注目すべき点が多い。例えば、同社はパワー半導体の要素技術を1社で網羅している数少ないメーカーの一つだ。パワー半導体の機能や性能を追求するためには、パワー半導体素子だけでなく、制御回路やパッケージングの技術も最適化する必要がある。同社は、いずれも開発から製造まで自社で手掛けているので、高度なレベルでこれら三つの要素技術の擦り合わせができる。パワー半導体の分野では、これらの要素技術を摺り合わせるノウハウこそが競争力の源泉となっている。しかも、パワー半導体全体の技術を網羅していることは、品質を高めるうえでも有利だ。

もう一つは、車載や産業機器、家電製品など様々なアプリケーションに合わせてパワー半導体の機能や性能を最適化するノウハウを持っていることだ。こうしたノウハウを活かして幅広い分野のユーザーを強力に支援することができる。「様々な分野のお客様の要望に応じたソリューションを、これまでに数多く提供してきました。この知見を活用して、単に個々の半導体製品を提供するだけでなく、ともにシステムを構築する構えでお客様をサポートしています」(星野氏)。

こうした同社の強みが生んだ最大の成果が、「不良ゼロ」や、極寒から酷暑まであらゆる環境で正常に動作する信頼性など、極めて厳しい要求に応えながら50年間にわたって築いてきた車載分野での多くの採用実績だ。現在、同社のパワー半導体の売上の半分ほどを車載用が占める。

幅広い技術と豊富なノウハウが強み

パワー半導体の事業において同社が、いま力を入れているのが、「省エネ」「省電力」に貢献する製品やソリューションの展開である。狙いは、「モーション・コントロール」と「エネルギー」の分野で新市場を開拓することだ。

モーション・コントロールの分野では、モーター駆動の高効率化を後押しするためのデバイスや回路ソリューションを提供する。「世界中で消費する電力の約40%、国内の全消費電力の約50%は、様々な用途で使われる大小のモーターが消費していると言われています。つまり、モーター消費電力を削減することで、大幅な省エネを実現できるはずです。このため今後、モーター駆動の高効率化に取り組む動きは、様々な分野に広がるとみています」(星野氏)。

エネルギーの分野では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用した発電システム、発電した電力を用途に応じて変換するシステム、電力の供給と需要を平準化する蓄電などにかかわるシステムを主なターゲットにしている。「新エネルギー・システムでは、高効率の電源システムが必要になります。こうした用途に向けたパワー半導体を積極的に展開する考えです」(星野氏)。実はサンケン電気自身も、半導体製品と並ぶ大きな事業の柱の一つであるパワー・システム事業において、今後普及が期待されているHEMS(Home Energy Management System)やESS(Energy Storage System)など新エネルギー・システムを手掛けている。「エネルギーの分野では、建築や交通など他の業界とのコラボレーションを図りながら市場開拓を進めます」(星野氏)。つまり、エネルギーの分野では、システムに関するノウハウも活かしながら半導体事業を展開することができるわけだ。

効率的な開発体制を構築
木村研吾氏
サンケン電気
技術本部
GMK戦略統括部
GMKグループリーダー

半導体製品を展開する分野が広がるにつれて製品開発の機会が一段と増える。そこで同社は、いち早く開発体制を強化した(図3)。市場ニーズに応じた製品を迅速に開発するために、「車載」「モーション・コントロール」「パワー・コンバージョン」の三つの市場セグメントごとに事業部を設け、その中に企画部門と開発部門を置いた。「開発工程の上流が、市場の変化に素早く対応できる体制になっています」(同社技術本部 GMK戦略統括部 GMKグループリーダー木村研吾氏)。

この一方で、半導体プロセス、パッケージ、アセンブリといった基盤技術は、三つの事業部を横串にした共通部門で扱う形にした。「新しい技術を素早く横展開するうえで有利です」(木村氏)。多品種のパワー半導体を効率良く生産するとともに、製品ラインアップ全体で高い品質を維持できるように、生産、購買・資材、品質も共通部門で一元管理する体制を設けている。

図3 半導体デバイス事業を支える組織の概念図
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エネルギー効率の改善に取り組む動きは様々な分野に広がっている。これとともに、高効率化に貢献する技術に対する産業界および消費者のニーズはますます高まる。パワー半導体に関する高度な技術とノウハウをベースに、高効率化に向けた多彩なソリューションを展開するサンケン電気の活躍の場は、今後ますます広がるに違いない。

お問い合わせ
  • サンケン電気株式会社


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