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「CC-Link」がアジアで高いシェアを誇る理由

日本の製造業は高品質・高生産性のものづくりを追求していく中で、生産設備にも高度な制御を要求してきた。その高精度の制御の要求に応える形で育まれた代表的な規格が、オープンフィールドネットワークの「CC-Link」ファミリだ。日本発の規格であるCC-Linkは、広帯域性や安全性、高信頼性などが評価され、特にアジアでは高いシェアを獲得している。CC-Linkの普及を推進するCC-Link協会の大谷氏が、CC-Linkファミリがものづくりの現場で広く採用されている理由を説明した。

大谷治之氏
CC-Link協会
テクニカル部会部会長

CC-Linkファミリは三菱電機などが規格化した産業機器の制御ネットワークで、2000年に最初の「CC-Link」が登場。2007年にはEthernetの技術を取り込んだ「CC-Link IE」が登場し、生産現場の機器や設備の動作制御やエネルギー監視、安全性確保などに大きな効果を発揮している。

CC-Linkは、アジアを中心にグローバル展開が進んでいるところに大きな特徴がある。CC-Linkを使ったソリューションを提供するベンダなどで構成するCC-Link協会の加盟企業2261社のうち、約半数は中国・韓国・台湾などアジアの企業。欧米なども含めると約7割は日本以外の企業だ。グローバル化をさらに推し進めるために、CC-Link協会は日本を含む9カ国/地域に拠点を設けており、2015年中にタイにも拠点を設ける計画を立てている。

ユーザのシェアも特にアジアで高く、第三者機関がアジア地域を対象にまとめたデータによると、各種産業用ネットワークのうち最大のシェアを占めるのはCC-Linkファミリであり、2012年時点で22%にのぼるという。2016年の予測でも23%で首位をキープすると見られている。大手の日系自動車メーカ、中国・台湾・韓国の大手FPDメーカが採用している。

1Gbpsで上位から下位までシームレスにつなぐ

大谷氏はCC-Link、特にCC-Link IEが高いシェアを誇る理由の一つとして、「広帯域性」を挙げた。EthernetベースのCC-Link IEは1Gbpsという広帯域のため、「大規模な生産ラインでも性能が落ちず、ラインから発せられる大量のデータを確実に収集し、品質管理に生かすことができる」(大谷氏)という。さらに、上位の情報システムから下位の生産現場のシステムまで、シームレスにつなぐためのプロトコルである「SLMP」(Seamless Message Protocol)に、CC-Link IE を対応させることで、ネットワークの違いを意識することなく、容易に情報のやり取りを実現できるようにしているという。

故障などの発生時でも通信を維持する「冗長性」も、CC-Link IEが評価されている理由と大谷氏は指摘する。CC-Link IEのうち、コントローラ間をつなぐ「CC-Link IE Control」はリング型のトポロジにより、一つの局がダウンしても通信を折り返すことで動作を維持し、生産活動を継続できる。

現場の機器をつなぐ「CC-Link IE Field」はリング型だけでなく、多方向に分岐するスター型や数珠つなぎのライン型の接続が可能なため、現場に合わせた使い分けが可能だ。接続に使用する機器も「わざわざインテリジェントなハブなどを用意する必要はなく、ネットワークのコスト低減もはかることができる」(大谷氏)。またネットワークの分析ツールなどトラブルシューティングに必要なツールも数多く用意しており、ユーザの設備のダウンタイム削減を支援している。

危険時にすべてのラインを瞬時に止める

生産現場で不可欠な「安全性」確保のための仕掛けも、CC-Link IEには盛り込まれている。安全にまつわるデータを優先的に処理するレイヤの「CC-Link IE Safety」がそれだ。コントローラ間で安全性に必要なデータをやり取りする機能で、「例えばあるラインで立入禁止のエリアに誤って人が入ったりして危険な事象を検知すると、そのラインだけでなく、別のコントローラ配下にあるラインも、安全性確保のために瞬時に止めることが可能になる」(大谷氏)。

こうした安全に関連したデータは、通常の制御情報の影響を受けて遅延が発生するようなことは許されない。しかしそのために別の専用ネットワークを導入することなく、既存のCC-Link IEの上で安全性の高いネットワークを実現できるのが、CC-Link IE Safetyの特徴としている。

一方、初期から存在するRS-485ベースのCC-Linkにも、根強いニーズがある。通信速度は10MbpsでCC-Link IEよりは劣るものの、コスト優先の現場を中心に受け入れられており、CC-Link IE Safety同様に既存のネットワークを使った安全性確保の機能も備えている。

互換性テスト拠点もグローバル化

ネットワーク自体の機能に加えて対応製品の幅広さも、CC-Linkファミリを各社が積極的に採用する理由の一つと大谷氏は言う。2015年2月時点でCC-Link対応製品は1420製品にものぼり、ユーザに幅広い選択肢を提供している。

選択肢の広さに加えて、CC-Link協会が重視しているのが互換性だ。CC-Link協会では互換性を検証するためのコンフォーマンステストを行っており、そのテストに合格した製品だけがCC-Link対応として認められる。単に機能の有無をチェックするだけでなく「通信の品質にまでこだわった厳しいテストを行う」(大谷氏)ことで、ユーザが安心してCC-Link対応製品を選べる環境を作り出しているのだ。

CC-Link協会ではそのコンフォーマンステストを行う拠点を、日本国内だけでなく中国や韓国、欧米にも置いている。ユーザに近いところで製品を開発しているベンダでも、互換性検証のために日本まで開発中の製品や担当スタッフを送り込むことなく、現地に近いところでテストを受けられるのである。販売だけでなく開発を支援する機能まで含めてグローバル化している点が、CC-Linkファミリがグローバルレベルで採用される理由の一つのようだ。

2007年に登場したCC-Link IEは、生産現場の機器や設備や設備の動作制御やエネルギー監視、 安全確保などに大きな効果を発揮している
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