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実践フェーズに入った3Dエクスペリエンス「経験経済」を牽引する強力なプラットフォームに

「顧客企業が生み出す革新的な技術が、自然環境や人々の生活との調和を保てることを事前検証するためのプラットフォーム『3Dエクスペリエンス』を提供する企業になる」。1年前、こうした野心的な宣言を発信したダッソー・システムズが、2013年6月4日、5日、東京で「3DEXPERIENCE Customer FORUM」を開催した。

この1年間、同社は3Dエクスペリエンスの適用実績を着実に積み上げ、対応ソリューションの応用範囲は広がり、数も増やしてきた。もはや3Dエクスペリエンスは、その意義を啓蒙するフェーズから、先進的な企業での活用が進む実践フェーズへと移ったと言える。

今、世界経済は、ビジネスの価値を提供する製品やサービスの機能や品質で計る時代から、顧客が製品やサービスの利用を通じて得る「経験」の質で計る時代へと移行しつつある。製品設計の効率化にとどまらず、開発から製造・販売・メンテナンスに至るまでのビジネス・プロセス全体を作り込み、その効果を検証できる3Dエクスペリエンスは、到来した「経験経済」に対応したビジネスを展開するために、欠かせないプラットフォームになる。

特別講演 「Staging 3DEXPERIENCE」

現在のビジネスでは、製品やサービスの優劣ではなく、企業が顧客に提供する「経験」の質が、成否を決めるようになった。「経験経済」の時代の到来だ。

優れた製品やサービスもコモディティ化が避けられない

たとえば、コーヒーに関わるビジネスが、どのように進化してきたのかを見てみよう。最初は、コーヒー豆そのものを、豆の品質や価格を尺度にして取引するコモディティ経済だった。これが、豆を加工し、嗜好にあった味を作り出したり、飲みやすくした優れた製品を作り出す、工業経済へと進化した。そして20世紀になって、キオスクやコンビニなど、飲みたいときに飲みたい場所でコーヒーを提供できるようなサービスの内容を競う、サービス経済の時代に入った。

こうしてコーヒーのビジネスの形態は徐々に進化してきた。しかし一方で、時間が経過するにつれて、製品やサービスのコモディティ化が進み、価格の安さだけがビジネスの価値を計る基準になってしまうことが避けられなかった。コーヒー・ビジネスに限らず、現在は、まさに過去に価値を生んでいたサービスが、着実にコモディティ化しつつある過程にあると言える。長距離電話サービス、ファーストフードなど、価格で勝負が決まるようになってしまったサービスの例は数多く挙がる。

「経験経済」の時代が到来

産業界は、製品やサービスに代わる、ビジネスの価値を生み出すための新しい機軸を探してきた。そして今、成功している企業が提供しているビジネスの価値を詳細に分析すると、顧客に提供する「経験」の質がとても重要になっていることがわかる。顧客が製品やサービスの購入過程や利用過程で得る「経験」を、企業の的確な演出によって、より質の高いものにすることで、顧客が多くの対価を支払うようになったのだ。価値の高いビジネスを展開するためには、いかにして顧客の「経験」をデザインすべきかが重要になっている。

先のコーヒーの例では、顧客の好みに合わせたコーヒーを提供し、飲む場所の雰囲気を演出して成功した米Starbucks Corpが、「経験」の提供に長けた企業として挙がる。他にも、他社では得られない「経験」を顧客に提供することで成功している企業が、数多く登場している。たとえば、米Apple Inc.。同社は、メーカーでありながらApple Storeという販売店を作り、10年前に小売に参入した。同社は、Apple製品を通じて新しい暮らしや利用シーンを体験し、実感できる場となるように、Apple Storeを作った。当初は、小売への同社の参入を疑問視する声も大きかった。しかし、今では1平方フィート当たり6000米ドルと、小売店としてはケタ違いの高収益を挙げている。

消費者を顧客とするB2Cのビジネスだけではない。産業機器、建機、医療機器、コンサルティングなどB2Bビジネスでも、顧客の「経験」をデザインすることで成功している企業は枚挙に暇がない。

デジタル技術は新しい経験を育むゆりかご

顧客の「経験」をデザインするということは、個々の顧客の価値観やニーズに合わせて、「経験」をカスタマイズするということだ。ただし、闇雲にカスタマイズに走ったのでは、コストがかさむだけで、収益を上げられないビジネスになってしまう。低コストで効率的に「経験」をカスタマイズすることこそが、「経験経済」に対応するためのカギだ。

そのためには、「経験」を演出する要素を分解し、これをニーズに合わせて組み合わせることでカスタマイズを可能にする、演出要素のモジュール化が重要になる。加えて、多様なユーザーのニーズとモジュール化した演出要素を的確に結びつけて、「経験」をデザインするためのツールも欠かせない。

革新的な「経験」を作り出すための仕組みとして、デジタル技術を駆使したツールの活用が有効だ。現実の中では、いつ(時間)、どこで(空間)、どのようなものを通じて(物質)、といった軸で得られた「経験」の質が定義できる。ところが、企業が「経験」をデザインする時点では、顧客に提供する新しい「経験」を自由自在に作りだすことは困難だ。デジタル技術の進歩によって、実際には存在しない場所や行けない場所を作り出すバーチャルな空間、実際には存在しないデジタル的なモノ、過去や未来の出来事や珍しい現象を好きなタイミングで起こす自己タイミングでの事象を、作り出すことができるようになった。マルチバースと呼ぶ、こうした多元的な領域では、デザイナのイマジネーションが許す限り、新たな「経験」を生み出し、質を高めることができる。

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