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日本アルテラ

多種多様な電子回路を自在に作り出すことができるプログラマブルなデバイスFPGA。そのFPGAを利用して革新的な機器を生み出す動きが加速してきた。名だたる自動車メーカー、ITサービスのプロバイダーが、競うようにFPGAを応用したシステムを開発し始めている。2014年11月に米国半導体工業会(SIA)最高の栄誉Robert N. Noyce Awardを受賞した、アルテラ 会長 社長兼CEOのジョン・デイナ氏に、FPGAが起こしつつあるイノベーションについて聞いた。

――Noyce賞の受賞、おめでとうございます。

デイナ ありがとうございます。Noyce賞は、半導体業界の経営者が業界全体に貢献した一個人を選ぶ賞です。教育活動など、これまでの私の活動が評価され、大変光栄に思っています。

――教育への貢献とはどのようなものだったのでしょうか。

デイナ 現在、米国では理数系学生が減っています。SIAやアルテラは、さまざまなプログラムを用意し、理数系の魅力を啓蒙しています。例えば、アルテラは、優れたFPGAの講座を開講しているトロント大学と共同で、低コストの開発ボードと教材を開発し、各大学への普及に努めています。

――今、アルテラのCEOがNoyce賞を受賞した背景には、電子業界でのFPGAの存在感が増していることがあるように思えます。

デイナ 確かにFPGAの役割は年々拡大しています。最先端の半導体チップの開発コストは8000万米ドルに達し、4億米ドルの売り上げが見込めないと開発に踏み切れない状態です。一方FPGAには、さまざまな製品に応用できる高い柔軟性があります。大量生産が可能であり、最先端の製造技術を使っても、それに要するコストを賄うことができます。この点が、用途を限定するASSPやASICに対する長所です。

――市場がグローバル化し、仕向け地に合わせた製品開発が求められています。

デイナ その通りです。例えば自動車メーカーは一車種をかなり大量に生産しますが、実際にはグレードごと、出荷地域ごとに機能が異なります。FPGAならば、ハードウエアを共通化しながら、ソフトウエアを書き分けて機能に差を付けられます。

新市場でのFPGA活用が急拡大

――FPGAの柔軟性は、時代の要請に合致していますね。アルテラの売り上げの市場別内訳をお聞かせください。

デイナ 現在の売り上げの中心は、通信関係です。ワイヤレスが約25%、テレコムとネットワークが20~25%、合わせて約半分を占めています(図)。通信関係は、LTE導入の拡大や個人宅へのブロードバンド固定回線引き込みの活発化にけん引されて、半導体業界の平均成長率の2倍のペースで伸びています。ただし、それ以上に新市場の成長が目覚ましく、将来が楽しみになりました。自動車分野とクラウド・コンピューティングの分野が急成長しています。

図 FPGA採用分野の一例
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――自動車分野では、どのような部分にFPGAが使われているのでしょうか。

デイナ 現在は、先進運転支援システム(ADAS)に向けたレーダー・システムやインフォテインメント関連機器の表示処理が中心です。2014年、自動車業界は自動運転の実現に向けて大きく動き始めました。そこでは認識技術が多く使われ、数学的アルゴリズムを高速処理できるFPGAの特長が生きます。

IT業界の巨人たちが競うように採用

――クラウドの分野は、いかがですか。

デイナ アルテラのFPGAが、初めてデータセンターのサーバーにデザイン・インされました。Intel社のマイクロプロセッサーのコ・プロセッサーとして使われます。検索処理などで性能と消費電力をベンチマークした結果、マイクロプロセッサーやGPUと比較して、桁違いの好結果を得ています。また、お客様は、プログラムの書き換えで、機能を切り替えて使える点にも注目しています。

 既に、Microsoft社は「Bing」にFPGAを使っていると公表しました。Intel社も「インテル Xeon プロセッサー」にFPGAを組み合わせたデータセンター向け製品を発表しています。これらは、サーバーにFPGAを利用することの筋の良さを証明するものです。

――処理機能をプログラムに書き込む作業は誰がしているのですか。

デイナ サーバーのユーザー企業のソフト開発者です。従来、FPGAを使ったハード開発には、ハードウエア記述言語(HDL)を使う必要がありました。私たちは、マルチプロセッシングの業界標準言語であるOpenCLを使ってFPGA向けプログラムを開発する環境を用意しました。アルテラだけが提供できるOpenCL対応コンパイラによって、C言語に慣れたエンジニアが使いこなせるようになりました。

日本は技術革新が起き続けるまれな市場

――現在の日本の電子産業は、かつての輝きがなくなったように思えます。

デイナ 日本は、今までも、今も、そしてこれからも魅力的な市場です。

 近年、海外に製造拠点を移す日本企業が増えました。こうした企業にデバイスを出荷すると、日本ではなく、工場のある国や地域で消費したことになってしまいます。

 その国の活力を測るには、製品設計されているか否かを知る必要があります。イノベーションが生まれるところで、製品設計されるからです。日本は、ワイヤレス、通信・ネットワーク、コンピューター、自動車、産業機器、医療、防衛など、あらゆる領域の最先端技術が集まるまれな国です。ここからは、社会に大きなインパクトを与えるイノベーションが次々と生まれます。

――数字では見えない日本の強さがあるわけですね。アルテラにとって、これからの日本に期待するものは何ですか。

デイナ 例えば、医療機器の分野では、IoTやビッグデータを活用した新たなシステムが求められています。日本には、この分野をリードしていく力を持った企業があります。こうした企業が革新的な技術や製品を生み出すとき、FPGAはこれまでのデバイスにはなかった価値を提供できると確信しています。これは、FPGAが貢献できる数ある分野の一例にすぎません。日本国内でFPGAのシェア・トップのアルテラがお客様を強力に支援します。常にイノベーションに寄り添う会社でありたいアルテラにとって、日本市場はとても重要なのです。

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