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日本IDT

従来のメモリー製品に加え、タイミング製品、パワーマネジメント製品、シリアルスイッチング製品などを展開する米Integrated Device Technology(IDT)。2014年に刷新した経営チームの下、コミュニケーション・インフラ、ハイパフォーマンス・コンピューティング、およびパワーマネジメントの3分野を中心に新たな成長戦略を実行中だ。また、日本では独自にダイレクトセールスも強化する。日本法人で社長を務める迫間幸介氏に聞いた。

――2014年はどのような1年になりましたか。

迫間 シリコンバレーでは老舗企業の1社といえる当社ですが、創業から34年目にあたる2014年は、2月に米国本社の社長兼CEO(最高経営責任者)にGregory Watersが新たに就任するとともに、CTO(最高技術責任者)や一部の事業部門長が替わりました。私自身も8月に日本法人の社長に就任したばかりです。その意味では新たな経営戦略のもとで事業の強化を進めた1年だったといえます。

 業績は各四半期ともに前年同期を上回っており、直近の第3四半期の売上高は前年に比べて15%近い伸びを示しました。営業利益率は継続的に25%近くを維持しています。業績は総じて右肩上がりを示しているといえます。

――重点的に取り組んでいる分野を教えてください。

迫間 新たな事業戦略のもと、「コミュニケーション・インフラ」「ハイパフォーマンス・コンピューティング」、および「パワーマネジメント」の3分野を成長分野と定めて、取り組みを強化しています(図)。

図 IDTが重点的に取り組む3分野
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 最初の「コミュニケーション・インフラ」については、増強が進む通信設備向けに将来は1レーン当たり10Gbps、さらに25Gbpsを実現できる高速インターコネクト「Serial RapidIO」のスイッチングICのほか、中国の4G市場で50%以上のシェアを誇るRF IC、通信機器向けのクロックタイミングICなどを展開しています。

 次の「ハイパフォーマンス・コンピューティング」では、DDR4などの高速なメモリーモジュールに必要なメモリーインターフェース製品、クロックのRMS位相ジッタを700fs(フェムト秒)にまで抑えたプログラマブルクロック「VersaClock」シリーズやRMSジッタが86fsの高性能シンセサイザーなどタイミング製品、および「Serial RapidIO」関連製品を手掛けています。

 最後の「パワーマネジメント」分野は、後発がゆえにユニークなことをやろうということで、親のパワーマネジメントICに子のパワーユニットICをつないでいくだけで、電源容量を5A単位で増設できるシステム・パワーソリューションを開発しました。また、デジタル機器で普及しつつあるワイヤレス給電用のトランスミッターICおよびレシーバーICも提供中です。海外ではカフェのテーブルやホテルの客室への組み込みも始まっています。

IPを組み合わせた専用品も提供

――IDTの強みや顧客価値はどのようなところにあるとお考えですか。

迫間 製品のカテゴリーから見ると、クロックドライバーなどのタイミング製品、メモリーインターフェース製品、および「Serial RapidIO」などのシリアルスイッチング製品はいずれもトップレベルのシェアを誇っています。ワイヤレス給電用製品、4GなどRF製品、タイミング製品なども大きく成長しています。

 これらの伸びを支えているのが、4G/LTE、クラウドコンピューティング、モバイル機器、ワイヤレス給電などの普及です。今後もさらなる複雑化や高度化が進んでいくことは確実です。当社製品の業界内でのプレゼンスはこれからさらに高まっていくでしょう。

 お客様視点では、さまざまな機能をIPとして保有していることが価値のひとつとして挙げられます。

 例えば、クロックを作るIP、電源の投入順を制御するIP、USBハブのIP、さらにはスイッチング電源のIPなどを組み合わせるとワンチップに全てを統合できてしまいます。お客様に説明すると、とてもご興味を持ってくださいます。お客様のニーズに合わせて、そういったアイデアを具現化できたら面白いと思っています。

――日本市場での取り組みを聞かせてください。

迫間 クロック周りを中心としたタイミング製品をはじめ、シリアルスイッチング製品やパワーソリューションなど、特徴ある製品を広めていきます。

 また、先ほど述べたように、お客様のニーズに合わせたIPのインテグレーションもぜひ紹介していきたいソリューションのひとつです。

 そうした施策を推進していくには、お客様とのパートナーシップがとても重要です。代理店との関係強化はもちろん、お客様に直接お会いするダイレクトセールスも始めています。お客様のニーズを伺うとともに、当社のソリューションや特徴を直接お伝えしていこうという取り組みです。

技術の進歩に高度な技術で応える

――2015年の展望をお願いします。

迫間 IDTは新たなマネジメントチームによって変革の途上にあります。冒頭で述べた重点分野に取り組むことはもちろん、お客様とのダイレクトな関係を強化しながら、保有している製品やIP資産が実現する最適なソリューションを提案していきたいと考えています。

 当社はもともとSRAMやデュアルポートメモリーなどで発展してきた経緯があり、これらの製品は今も堅調な引き合いを頂戴しています。しかし、どうしても「IDTはメモリーの会社だよね」というイメージが残っているようです。「タイミングやシリアルスイッチならIDTだよね」といったポジションの醸成にも努めていきます。

 さて、半導体デバイスは、微細化を背景に、低電圧化、ローパワー化、高速化が進んでいます。電源電圧が1Vを切る時代もすぐそこに来ていますし、クロック周波数もGHzオーダーに突入しようとしています。

 技術的な制約がどんどん厳しくなっていく中で、タイミングやパワーなどの分野で答えを持っているのがIDTなのです。実際、2014年8月に日本法人の社長に就任して以来、面白くて、しかも優れた技術を持った会社だなと日々感じています。新しいIDTをぜひ知っていただければと願っています。

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