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NXPセミコンダクターズ

前年比2桁成長が確実なオランダNXP Semiconductors社。日本法人も2年で売り上げ倍増と驚きの伸びだ。スマートフォン、自動車、IDカード、産業機器など、あらゆるモノがネットでつながり、個人情報やシステム制御情報が行き交う時代が到来する。同社は、世界トップシェアのID認証技術をベースにした高セキュリティーのコネクション技術を活かし、新市場を開拓する。NXPセミコンダクターズジャパン 代表取締役社長の原島弘明氏に次の成長に向けた戦略を聞いた。

――2014年は、どのような年でしたか。

原島 2012年、日本法人の売り上げを3年で2倍にするという目標を掲げました。おかげさまで、その目標を2年でクリアし、2014年は予想を大幅に上回る結果となりそうです。

 ワールドワイドに目を転じると、総売り上げは昨年の48億米ドルから大きく伸び、2014年は55億米ドルを突破する見込みです。最大の要因は、中国市場でのLTEの立ち上がりです。NXPは、基地局と端末に向けた製品で、特需にも似た増産が続きました。

自動車と産業が好業績をけん引

――日本市場では、どのような分野が好調だったのですか。

原島 NXPでは、「スタンダード製品」と「ハイパフォーマンス・ミックスドシグナル(HPMS)製品」という2つの製品区分で事業を展開しています。そのうち、「ハイパフォーマンス・ミックスドシグナル製品」は、「オートモーティブ」「ID認証」「インフラ/インダストリアル」「ポータブル/コンピューティング」の4つの製品分野で構成されています。日本市場では、このうち国内総売り上げの6割強を占めるオートモーティブが業績をけん引しました。この分野には、世界シェア・トップの強力な製品があります。日本市場でも高シェアを誇るカーラジオ向けICを筆頭に、CAN、LIN、FlexRayといった車載ネットワークのトランシーバー、パッシブ・キーレス・エントリー用のイモビライザーなど、安心安全・確実に情報をやり取りするための製品群です。

――急成長によって、世界市場の中での日本の重要性が高まりそうですね。

原島 日本市場におけるNXPのポジションを高めるとともに、日本法人の位置付けを、ワールドワイドのNXPの中でさらに上げることが私のミッションです。NXPの総売り上げに占める日本市場の割合は、2012年時点でわずか5%でした。これを2015~17年に10%まで高めたいと考えています。今年は8~9%と、あと一歩のところまで迫りました。売り上げベースでは、2017年までに2012年比3.5倍に成長させる、かなり野心的な目標を設定しています。

スタンダードでの認知度を向上

――次の成長に向けた戦略は。

原島 NXPの2つの製品種別、「スタンダード製品」と「ハイパフォーマンス・ミックスドシグナル製品」では、ビジネススタイルが大きく異なります。それぞれ個別の成長戦略を考えています。

 まずトランジスタ、ダイオードといったコモディティー製品や汎用ロジックで構成されるスタンダード製品は、総売り上げに占める割合が25%と大きい、NXPにとって重要な事業です。この事業では、幅広い製品群をそろえ、安定供給することがとても重要になります。米調査会社IHS iSuppliは、2014年の報告で、NXPのスタンダード製品をシェア1位に位置付けています。

 ただし、日本市場については事情が異なります。日本市場の総売り上げに占めるスタンダード製品の割合は、2012年当時2%にすぎませんでした。ただし、見方を変えれば、売り上げの規模を1桁上げる可能性があるということです。ここ2年、代理店と協力して、お客様に向けて積極的な認知活動を展開してきました。その結果、NXPのスタンダード製品が日本市場でも広く認知されるようになりました。

ID認証の強みを生かし新市場開拓

――HPMSに関してはいかがですか。

原島 NXPは、2013年10月に「Secure Connections for a Smarter World(よりスマートな世界を実現するセキュアー・コネクション)」というスローガンを打ち出し、先進的ソリューションの開拓に取り組んでいます。

 多様なシステム間において、安心安全かつ確実に情報をやりとりできる技術を求めるニーズが高まっています。例えば、スマートフォンに近距離無線通信技術「NFC(Near Field Communication)」が搭載され、機器間の情報転送や決済などの応用が広がる素地ができました。既に、プリンターなど相手側の機器にもNFCが入り始めました。今後は、米Apple社が提案する決済サービス「Apple Pay」の普及に伴う、リーダー/ライターの設置が期待できます。

 こうした応用を拓くためには、転送する情報をハッキングなどから守る高度なセキュリティー技術が欠かせません。いずれも当社が得意な技術であり、それらの相乗効果が生かせる市場を開拓していきます。

――ID認証での圧倒的な強みを生かして新市場を開拓する戦略ですね。

原島 その通りです。NXP のセキュリティーチップのシェアは、パスポートに組み込む認証チップ向けで85%、クレジットカード向けでも約50%を占め、それぞれ1位です。こうした高レベルのセキュリティーが求められる分野での高いシェアは、他の応用分野のお客様に揺るぎない信頼感を与えます。

 スマートフォンを基点とした応用例は、ほんの一例にすぎません。NXPは、車載機器間から車々間、そして路車間へとコネクションの範囲を広げた「コネクテッド・カー」、常時身に着けることが前提で開発される「携帯/ウエアラブル機器」、ID認証や決済用途などの「セキュリティー」、あらゆるモノをインターネットにつなぐ「IoT」の4つ領域での応用開拓に注力します(図)。

図 NXPが注力する4つのマーケット
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ソリューションを提案

――新市場開拓に向けて、どのような製品を提供していくのでしょうか。

原島 これからは、半導体単品のビジネスでは通用しなくなるでしょう。必要な部品を集めて機能をモジュール化し、新しい価値を持ったソリューションを提案する必要があります。ソリューションの競争力を高めるための技術を持つパートナー探しも必要になるでしょう。

 2014年、NXPはウエアラブル関連企業の米Quintic社を買収することで合意しました。この会社は、低消費電力のBluetooth技術を持っており、NFCと並ぶ近距離無線通信技術の新たな選択肢を得ました。

 また、新年度においては、Secure Connections for a Smarter Worldのスローガンを実現する活動を、より具体的に始める計画です。

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