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TDK

TDKは、2015年12月に創立80周年を迎える。重点分野として、ICT、自動車、産業機器・エネルギーの3分野にホーム&ヘルスケアを加え、重点事業のインダクティブデバイス、高周波部品、圧電材料部品、HDD用磁気ヘッド、バッテリー(2次電池)でさらなる収益拡大を目指す。磁性をコアに、一貫したものづくり体制の強化と世界約30カ国でのグローバルな事業展開を通して、スピーディーに製品を提供する。同社代表取締役社長の上釜健宏氏に、2015年の展望を聞いた。

――2014年の業績はいかがでしたか。

上釜 世界経済は企業業況および雇用の改善、堅調な個人消費による回復が続いています。その中で、エレクトロニクス市場では、スマートフォンの中国市場での需要拡大や大手メーカーの新型端末の発売により、前年水準を大幅に上回りました。タブレット端末の生産も前年の水準を上回っています。一方、自動車の生産は、米国での堅調な販売に支えられて増加し、パソコンの生産も買い替え需要の継続で、前年と同水準を維持しました。またHDDの生産は、パソコンやゲーム機の需要増に伴い、前年より若干増加しています。このような市場環境のなか、当社の受動部品の需要が、自動車向け、産業機器向け、ICT向けで、増加しました。

――2015年はどのような形で事業を進めていくのでしょうか。

上釜 ICT、自動車、産業機器・エネルギーの3分野に加えて、ホーム&ヘルスケアを重点分野とし、インダクティブデバイス、高周波部品、圧電材料部品、HDD用磁気ヘッド、バッテリーの重点5事業を中心に、収益拡大に取り組んでいきます(図)。ICTの分野で見ると、今年はスマートウオッチなどのウエアラブル端末が大きな注目を集めました。多数の電子部品をコンパクトにまとめるモジュール技術は、ウエアラブル端末に求められるキーテクノロジーのひとつです。当社のIC内蔵基板「SESUB(セサブ)」は、薄く加工したICを基板の中に埋め込み、モジュールを薄く、小さくできます。この技術によって開発した当社のBluetoothモジュールは、スマートフォンやBluetooth対応機器との無線接続を可能にする超小型の通信モジュールであり、ウエアラブル端末向けに最適です。

図 注力分野と5つの重点事業
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――注力する地域と、そこでの戦略は。

上釜 ICT分野では、中国市場がスマートフォンを軸に大きく伸びています。今までは大手スマホメーカーが中心でしたが、最近では新興のローカルメーカーが参入してきています。そのスマートフォンも欧米のメーカーと技術的に遜色のない高い技術力を備えるようになってきています。当社は、ローカルメーカーに対してもICメーカーへのリファレンス活動も含めて早くからアプローチしています。こうした拡販に取り組むことによって、シェア拡大を図っています。

自動車向けにEMCソリューション

――クラウドコンピューティングの利用も広がりました。

上釜 クラウドの普及で、人とモノがネットワークでつながり、収集したビッグデータの分析で、新たなサービスやビジネスが生み出されています。世界のデータ量は今後、爆発的に増加し、データを管理するデータセンターの需要は飛躍的に高まると見込まれます。その中で、ICT関連機器の電力消費量が急増、クラウドの基盤となるデータセンターも省電力化が求められます。

 データセンター向けHDDは、今後も需要拡大が見込まれます。大容量HDDがビッグデータ時代を変えるといっても過言ではありません。この市場には、当社のHDD用ヘッドが多く利用されています。さらに、高記録密度用ヘッドとして開発中のレーザー搭載型熱アシスト磁気記録ヘッドの実装に向けた取り組みも進めています。その他、現在、ヘッド駆動用モーター(VCM)用マグネットで、高価なレアアースの添加物を削減もしくは完全に使わない製品を一部量産中です。

――自動車分野はどうでしょうか。

上釜 電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)のパワートレイン系部品を強化します。またHDDヘッド技術を応用した新型の車載向けセンサーを市場に投入します。それらによって、自動車分野の売上を、全体の30%まで引き上げていきます。

 また部品だけでなく、ノイズの測定から対策に至るトータルなEMC(電磁両立性)ソリューションも提供しています。最近の自動車はさまざまな電子部品を使って、複雑に制御されています。電磁的な干渉やノイズの測定と耐性が、高い安全性が要求される自動車では欠かせなくなりました。当社はそのためのトータルソリューションを提供し、完成車メーカーや自動車部品メーカーを支援します。

一貫したものづくり体制を強化

――他の分野はどうでしょうか。

上釜 産業機器・エネルギー分野では、当社のコア技術である磁性技術を活用したパワーマネジメント関連部品を伸ばしていきます。グリーンエネルギーでは、風力発電機用の強力なネオジムマグネットや、発電した電力の交流直流変換のためのパワーコンディショナー用電子部品などを提供しています。パワーコンディショナーはエネルギーシステムの構築に必要不可欠な装置として需要が急拡大しています。

 当社はアルミ電解コンデンサーをはじめ、パワーコンディショナー向けの受動部品を幅広くラインアップしており、電力変換効率のさらなる向上を目指していきます。

――2015年に向けた抱負をお聞かせください。

上釜 当社は2015年12月に創業80周年を迎えます。よりスピーディーな経営と、より高い競争力を持ったグローバル体制へのシフトを推し進めることによって、事業拡大と収益向上を実施し、持続的に成長できる体制の実現を目指します。

 スピーディーな経営を達成するためには、ものづくり基盤の再強化が必要であり、一貫したものづくりが何よりも大事になります。そこで、調達から製造、品質管理までの流れを一貫して改善していきます。

 当社は、現在まで磁性技術をコアにグローバル市場で成長し、海外生産比率と海外売上高比率はともに80%を超えています。今後も、世界に広がる人材、技術、生産のネットワークをフルに活用して、独創的で競争力のある製品をお客様に迅速に提供していきます。

お問い合わせ
  • TDK株式会社


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