日経テクノロジーonline SPECIAL

日本テキサス・インスツルメンツ

高性能アナログ半導体や組み込みプロセッサーで知られるテキサス・インスツルメンツ(TI)は、約10万品種に上る圧倒的な規模の製品ポートフォリオを強みとし、半導体製品単体に加え、ソリューションの提供をさらに充実させている。オンライン設計支援や開発ツールの充実で、顧客の製品開発期間の短縮をサポート。安定供給が可能な製造能力とともに半導体メーカーとして最大の価値を提供することが基本戦略だ。同社日本法人の代表取締役社長を務める田口倫彰氏に聞いた。

――2014年を振り返ってください。

田口 ワールドワイドのビジネスで見ると、2014年第3四半期(2014年7月から9月)の売上高はおよそ35億米ドルに達し、おかげさまで前年同期に比べて8%の伸びとなりました。重点事業に絞って見ると、電源ICを中心とするアナログ事業は11%、組み込みプロセッシング事業は6%の成長を果たしています。

 日本でもアナログと組み込みプロセッシングに注力する一方で、分野としてはここ数年にわたって自動車と産業機器に力を入れてきました。この2分野を合わせた売上高が、TI全体のほぼ32%を占めています。日本は自動車も産業機器もお客様の国際競争力が高いこともあり、さらに高い構成比となっています。

ソリューション提供を強化

――ビジネスの強化に向けた取り組みを教えてください。

田口 TIでは会社全体を次のレベルに高める施策を進めています。そのひとつが製品単体での提供からソリューションでの提供への転換です(図)。

図 幅広い製品ポートフォリオやソリューション提供を強みとして推進
[画像のクリックで拡大表示]

 お客様の製品開発に関わる時間とコストをできるだけ抑えることと、10万品種以上の膨大な製品ポートフォリオを活用していただくことが狙いです。

 その取り組みのひとつがリファレンスデザイン・ライブラリー「TI Designs」の拡充です。当社の半導体デバイスの活用に欠かせない設計情報を包括的に提供する仕組みで、参考回路図、アプリケーション情報、シミュレーション情報などが含まれ、現在1600件を超える「TI Designs」を提供しています。

 また、電源回路の特性シミュレーションや部品選定に有用な無料の「WEBENCH®オンライン設計支援ツール」を長年にわたって提供してきました。新たにその対応範囲を、センサーやフィルター、クロックやアンプなどにも広げました。お客様からは大変好評をいただいています。

――顧客がソリューションでの提供を求めているということでしょうか。

田口 そうだと考えています。お客様が世界の市場で勝ち抜くためにはどうしたらよいのか、さまざまなお客様と対話しながら検討しています。時代の流れがとても速い現在は、お客様のコストと時間をいかに削減できるかがとても重要になります。TIはもちろん半導体メーカーではありますが、同時にソリューションプロバイダーでありたいとも願っています。「TI Desi gns」や「WEBENCH®オンライン設計支援ツール」のような取り組みは、お客様からもとても好意的に受け止められています。

車載マイコンやセンサーを強化

――特徴的な製品があれば紹介してください。

田口 自動車関連では、インフォテインメント向けに開発した「Jacinto(ジャシント)」プロセッサーファミリーが大変好評です。ボディー系ではヘッドライトやテールランプに適したLEDマトリックスマネージャICを発表しました。ハンドル操作に連動して曲がる先を照らすヘッドライトや、流れるように光るウィンカーランプなどもコンパクトに実現できます。

 自動運転に向けた専用プロセッサーの開発も積極的に進めており、「TDA3シリーズ」を発表しました。緊急自動ブレーキ、前方後方衝突警報、車線逸脱防止など、さまざまなADAS(先進運転支援システム)機能をフレキシブルに実装することができます。

 半導体技術を駆使すればこんなこともできる、ということを実際にお見せしながら、自動車業界のお客様と一緒に次世代の自動車開発に取り組んでいきます。

――産業機器関連はいかがでしょうか。

田口 スマートメーターや機器のサブマイコンとしての採用が広がる超低消費電力の「MSP430™」マイコンが好調で、FRAM内蔵品や温度拡張品など品種の拡充を進めています。

 センサーにも力を入れています。誘導型近接センサーや、対象物の動きや距離を画像認識なしで検知できるTOF(Time of Flight)センサーなどを新たに提供しています。また、液体や気体の流量をパイプの外側から測定する超音波式の画期的なフローセンサーや、農業の効率化を図るガスセンサーなども好調です。最近ではお客様がすぐにお使いいただけるようチップレベルでWi-Fi認証を取得した「CC3100/3200」といった製品もリリースしました。IoT(Internet of Things)に代表されるセンシングアプリケーションに適したソリューションを一括提供できることが当社の強みです。

半導体の無限の可能性を訴求

――2015年の抱負や今後の展望をお聞かせください。

田口 半導体は無限の可能性を持っています。例えば、今や照明は光源がLEDになりネットワーク機能まで搭載されるようになりました。これまで誰も考えなかったようなことがテクノロジーによって実現されています。常識にとらわれないことで、ビジネスチャンスや成長のチャンスは無限に広がっていくのではないでしょうか。

 2014年は、「TI Designs」やオンライン・サービスの整備など、製品からソリューションへの転換を推し進めてきた「要」の1年でした。2015年は基本戦略をさらに強化し、お客様の開発期間の短縮と開発コストの削減に努めていきます。

 日本のお客様と一緒に発信した技術が世界でも認められ、デファクトスタンダードになる。そんなことが実現できれば嬉しく思います。

お問い合わせ
  • 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社


    〒160-8366 東京都新宿区西新宿6-24-1 西新宿三井ビル
    TEL:03-4331-2000
    URL:http://www.tij.co.jp/
    営業時間 9:00 - 18:00(土日祭日を除く)