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東芝三菱電機産業システム

太陽光発電用パワーコンディショナーや産業プラント向けインバーター、大型モーターで盤石の強さを誇る東芝三菱電機産業システム(TMEIC:ティーマイク)が、本格的なグローバル化に向けて動き始めた。中国に続き、インドと北米にも生産拠点を作り、さらなる成長の礎を築いた。今後、海外事業を輸出型から現地化型へ、ビジネスモデルを応札型から提案型へと移行していく。同社 取締役社長の町田精孝氏に、現地生産拠点の整備の狙いと次の一手を聞いた。

――今年の総括をお聞かせください。

町田 2014年は、「真のグローバル化」に向けた足掛かりを得て、将来の成長に道を拓いた「起点」の年となりました。具体的には、潜在的な成長余地が高く、世界で最も価格競争の厳しい市場であるインドと、中国と並ぶ主力市場で、スピード感が要求される北米に生産拠点を確保し、日本で作った製品を輸出するのではなく、現地のニーズや事業環境に即した製品やサービスを、現地で開発、生産、保守できる「現地企業」となる第一歩を踏み出しました。

 2014年度の業績は、太陽光発電用パワーコンディショナーが好調だったため、売上高は昨年度を少し上回る見込みで、利益も昨年度と同様の高水準を維持できそうです。一方、太陽光発電以外の分野では、リーマンショック以降の伸び悩みを改めて認識し、輸出を前提とした従来事業の枠組みの限界を感じました。現在、当社の連結売上高は2000億円規模で、海外比率は日本からの輸出主体で40%程度です。これを数年後には連結売上高で3000億円、海外比率半分、さらには海外法人の売上高総計を、現状の300億円規模から1000億円とするモデルに切り替えることを決意しました。

グローバル企業に向けて現地化を加速

――インドではどのような事業体制を作ろうとしているのですか。

町田 まず、欧州の老舗重電メーカーであるAEG社のインド子会社を買収し、バンガロールの工場を取得。太陽光発電用パワーコンディショナー対応の人材と工場を入手して現地での事業展開を一気に加速させました。買収後に高圧インバーターの現地生産にも着手しており、既に同じバンガロールで工場建設を進めているモーターと合わせて事業展開しています。モーター工場に関しては、工場用地取得に苦戦しましたが、今年の夏にようやく完了し、本格的な建設が始まっています。2016年度には製品出荷を開始する予定です。

 インドは価格競争が世界で最も厳しい国であり、ここで事業が成立する技術と体制を培うことで、日本の工場の競争力も高まります。インド市場進出は、世界中どこでも戦える強靱(きょうじん)さを備えたTMEICの未来を描くうえで戦略的な意味があります。

――北米ではどのような事業体制を作るのでしょうか。

町田 北米では、ヒューストンで生産拠点の立ち上げを開始しました。ここでは、まず太陽光発電用パワーコンデイショナーを生産します。今年、米国の利用環境に適した大容量機種が、世界的に権威のあるIntersolar AWARD 2014の部門最優秀賞をアジア企業として初めて受賞し、引き合いが増えています(図)。また、これまでは日本から輸送するハンデを抱えていましたが、現地工場が出来上がれば、逆に短納期が強みになります。

図 太陽光発電用パワーコンディショナーがIntersolar AWARD 2014を受賞
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 2015年春には、同じ工場で米国規格に合った高圧インバーターの生産も開始します。米国は今、シェールガス・プラントの建設ラッシュの中にあり、インバーターや大型モーターで絶好の商機が生まれています。当社の製品は、高い品質には定評がありますが、実績が足りない面がありました。商機を逃さず、次につながる実績を作ります。

お客様に利益をもたらす提案型ビジネス

――次の一手をお聞かせください。

町田 日本とは違う現地の市場を感じ、理解し、対応できる組織の整備と社員の意識の醸成を進めます。

 当社には、既に日本以外にも、北米、中国、インドなどに多数のエンジニアがいます。これらの人材を有機的に活用し、グローバルなビジネスを展開します。今年北米で受注した大型案件では、お客様との擦り合わせをする北米チーム、製品を作る日本チーム、納入先である中国チームがひとつになって、案件を進めることができました。また、製品の開発拠点を日本に置く必然性も再考していきたいと思います。生産量から見れば、海外の方が多数派になる可能性がある中で、海外で生産・販売する製品を日本だけで開発する状態は合理的とはいえないかもしれません。

――営業の方法も大きく変わるのでは。

町田 営業の方法だけではなく、ビジネスモデル自体を再検討します。これまでは、お客様の設備投資計画に基づく引き合いに応じて、入札して受注するイベント型ビジネスが当社の仕事のやり方でした。これからは、私たちの技術・製品をベースに当社がソリューションを提案し、お客様に予算を付けていただく地域・顧客密着型への転換を進めていきます。その際、キーワードとなるのは「環境」と「省エネルギー」です。

 例えば、当社の重要なお客様である中国の鉄鋼会社は、生産設備が過剰になり、増産投資の案件がなくなりました。ただし、イベント型でのピンチは、提案型でのチャンスになります。排ガス、排煙、エネルギー消費といった、中国が抱える環境問題の主因のひとつは鉄鋼業にもあります。対策に必要な技術は、既に日本市場で培ってきました。お客様からもメリットが感じられる提案ができれば、設備の改善・更新に踏み切ってくれるはずです。

「環境」と「エネルギー」に注力

――提案型ビジネスの実践に向けて必要なものは何ですか。

町田 技術の引き出しと意識転換です。

 当社には、提案のベースとなるお客様の利益を改善する技術が多数あります。例えば、太陽光発電用パワーコンディショナーでは、競合他社よりも効率が約1%高く、ユーザーから見れば売電収入で長期的に大変な投資回収メリットがあります。また2015年4月からモーターの高効率化を求めるトップランナー方式が始まりますが、私たちの高効率モーターは既設のものと寸法が同じで、最小限の投資で入れ替え可能です。

 また、提案型ビジネスでは、お客様が声を上げる前に課題を察するお客様の目線に合った洞察力が必要です。TMEIC側から動き出す意識を持てるよう、社員の意識を変えていきます。

 私たちは、環境とエネルギーで、お客様の利益に貢献できる会社になりたいと考えています。

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  • 東芝三菱電機産業システム株式会社


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