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【プロトラブズ】3Dデータを徹底活用するフロントローディングの新提案

3Dデータを利用したバーチャルテストは頻繁に行われている。だが一方で、実物での試作、試験も欠かせない。試作段階では3Dプリンターの活用が盛んだが、切削加工や射出成形といった手段であっても、3Dデータを活用でき、さらなるフロントローディングが可能で、納期が長いといったデメリットを克服するサービスも存在する。

トーマス・パン氏
プロトラブズ 社長

「2000年代はバーチャルテスト、すなわちデジタルモックアップやCAEが実際の試作、試験を置き換えるとも言われた。だがそのためには多くの知識が必要だ。前提が間違っていれば出てきたCAEデータも使用できないなど、実際にものを作って確認することが非常に重要だと分かってきている」とパン氏は言う。試作に使用する3Dプリンターの一般的なメリットは、とにかく速い、複雑な形状も加工できるといったことだ。また試作を内製化することも可能である。一方、材料が限定される、量産できない形状も作れてしまうといったデメリットもある。やはり機能試験や量産試験を行うためには、最終材料や量産での加工方法を用いることが必要だ。そのため切削加工や射出成形も選択肢に加える必要がある。

プロトラブズでは切削加工の「Firstcut」と射出成形の「Protomold」の2つのサービスを提供する。切削加工は樹脂・金属、射出成形では顧客支給も含め550種以上の樹脂材料の実績があるという。切削加工や射出成形を試作に用いる場合に問題になるのが納期の長さだろう。通常、切削加工では1~3週間、射出成形では4~12週間ほどかかるという。また通常は二次元の図面ベースなので、3Dデータをそのまま利用することは難しい。対面での打ち合わせが多く、加工に関する知識も必要になる。プロトラブズのサービスはこれらの欠点をカバーするために作られた。

プロトラブズの利用手順は、まず3Dデータをウェブ上にアップロードする。すると自動で解析、見積もりが行われる。切削加工では約2時間、射出成形は約3時間で見積もり結果のリンクが送られてくる。その画面上で、材質や個数を変更した場合の比較検討もすることができる。射出成形であれば色や表面仕上げなどの選択も可能だ。これを基に、プロトラブズのエンジニアと打ち合わせを行い、納得したら発注する。切削加工は基本的に3営業日、射出成形は10営業日での納品となる。「ネット経由だからといって不安な部分を残したまま発注することは全くない」(パン氏)。今後は新材料が追加される他、米国本社でスタートした3Dプリンティングも開始する計画だという。

図 樹脂パーツの試作・製造プロセス納期の比較

従来の課題を自動化で解決

従来の切削加工や射出成形の課題を克服した同社の技術が、自動化を極めたシステムと、クラスタコンピュータだ。同社では80名のエンジニアが自社用ソフトの開発を行っているという。「この独自開発のソフトと高速演算能力を駆使することによって、短納期製造に必要な自動化や省力化、無人化を可能にしている」(パン氏)。これによって、見積もりシステムやそのための3D形状解析、流動解析、また仕様の変更に伴う製造のシミュレーションや価格などがすぐに算出されるシステムが可能になるというわけだ。

同社のサービスを利用することで、切削加工や射出成形もラピッドプロトタイピングの選択肢に加えることが可能になる。これにより早期の段階で機能検証にも取り組めるようになる。「このさらなるフロントローディングによって、競合他社より早く商品を世の中に送り出せるのではないか」とパン氏は述べた。

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