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1Uサーバから食品加工現場まであらゆる用途に最適な高性能の冷却ファン

高性能化や高密度化が進む情報通信機器や産業機器をはじめとするさまざまな機器や設備の冷却に使われている山洋電気のクーリングファン「San Ace」シリーズ。高い信頼性をもち、柔軟なカスタマイズを得意としている。高度化する冷却ニーズに応える豊富なラインアップの冷却ファンを取り揃えており、業界の支持も厚い。幅広いラインアップの中から、高静圧ファン、遠心ファン、ACファン、防油ファンを紹介する。

坂本 次郎 氏
山洋電気株式会社
営業本部 副本部長
クーリングシステムビジネス担当
小河原 俊樹 氏
山洋電気株式会社
クーリングシステム事業部
設計部 部長

冷却ファンとして業界からの評価も高い山洋電気のクーリングファン「San Ace」シリーズ。ACファンおよびDCファンの分野で50年近い実績を誇り、高性能、高信頼のファンを次々と展開してきた。

現在、DCファンの中でも機能的な特長を備えた防水ファン、防油ファン、長寿命ファン、耐温ファン、静音ファンや、高風量、高静圧に特化したブロア、遠心ファン、二重反転ファンなどの製品をラインアップしている。「当社は、幅広いラインアップを持っており、常にお客さまの装置の性能を高められるよう最適な冷却ファンをご提案しています」と、同社営業本部で副本部長を務める坂本次郎氏は説明する。

同社の優れた製品を生み出しているのが、同社の強みのひとつでもある高い技術力だ。風量や静圧を高めながら、消費電力、騒音、振動を抑え、さらに信頼性を確保するという矛盾した技術的課題に対して、「エンジニアがチャレンジを繰り返しながら、高品質、高性能の製品づくりに日々取り組んでいます」と、同社クーリングシステム事業部で設計部部長を務める小河原俊樹氏は述べる。

そうした数々のチャレンジから生まれてきた、市場のニーズに応える特長ある4製品を紹介しよう。

高い冷却性能を求められる1Uラックマウント機器に最適な高静圧ファン

図1. 業界トップの高静圧を実現した 40mm角「San Ace 40」 9HVタイプ
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2015年3月に発売されたばかりの「San Ace 40」 9HVタイプ は、1Uサイズ(高さ1.75インチ=44.45mm)のサーバやネットワーク機器などの冷却に最適な40mm角×28mm厚の小型ファンで、最大風量は0.83m3/min、最大静圧は1,100Paと、いずれも業界トップクラスの風量-静圧特性を実現したのが特長だ(図1)。

これまでは、「San Ace 40」9GAタイプの最大風量0.81m3/min、最大静圧799Paが同社製品では最高だったから、静圧は実に1.4倍近くも高くなったことになる。

ラックマウント型サーバをはじめとする1Uサイズの機器は高性能化にともなって発熱量が増えており、プロセッサ単体だけで消費電力が100Wを超えることも珍しくないが、装置内部の部品や配線、あるいはフロントパネルやリアパネルなどが障害物となって風の流れが妨げられるため、機器の設計では冷却が常に課題になっている。

「装置内部に十分な風を流して冷却性能を確保するには、冷却ファンには高風量だけではなく十分な空気を押し込む高静圧の特性が求められ、そうしたニーズに応えて開発した製品です」と、小河原氏は開発の背景を述べる。技術的には、新たに、ファンのブレード(羽根)形状やフレーム形状を工夫することにより、高い静圧・風量特性を実現した。

「発売以来、サーバや通信機器を開発しているお客さまより数多くのご要望をいただいています」と坂本氏。

9HVタイプには、ファンの回転速度を外部から制御できるPWMコントロール機能が装備されるほか、同社製品に共通して長寿命化(期待寿命40,000h/60℃)を実現している。

高風量の冷却・送風に最適な遠心ファン

図2. 高風量での冷却や送風に最適な Φ225mmの遠心ファン 「San Ace C225」9TPタイプ
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同じく2015年1月に発売された「San Ace C225」9TPタイプ(図2)はサイズがΦ225mm×99mm厚の高風量・高静圧遠心ファンで、風量はこれまで最大サイズだったΦ175mm×69mm厚の「San Ace C175」に比べておよそ2倍に相当する最大28.1m3/minを実現しており、静圧も最大861Paと非常に高い。

使用可能電圧範囲は幅広い直流給電に対応できるように36VDCから72VDCに設定されていて(9TP48Pシリーズ)、たとえば通信系装置の供給電源で直接駆動も可能になっている。

「遠心ファンは日本国内ではそれほどなじみはありませんが、欧州やアジアでは通信装置の最上部に取り付けて一気に排熱するような使われ方が多くあり、より高風量を求められるお客さまの声に応えてΦ225mmを新たにラインアップしました」(坂本氏)。

通信装置、パワーコンディショナ、サーバラックなどの冷却(排熱または送風)のほか、クリーンルームなどのフィルターユニット、-20℃までの冷蔵冷凍設備、エアーカーテンなど、風量を必要とする用途に最適だ。

消費電力を72%削減した次世代ACファン

図3.消費電力を72%も削減した 次世代ACファン 「San Ace 120AD」9ADタイプ
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120mm角×38mm厚の「San Ace 120AD」9ADタイプ(図3)は、低消費電力でありながら長寿命を実現した次世代のACファンだ。「新たに開発した小型AC/DCコンバータ回路をモータ内部に組み込んで、エネルギー効率の低いAC誘導モータではなくエネルギー効率の高いDCブラシレスモータを駆動するようにして、従来のACファンに比べて消費電力を72%もカットしました」(小河原氏)。

また、内部をDC駆動としているため、商用電源の電圧(100V系/200V系)や周波数(50Hz/60Hz)によらず回転数が変わらないことも特長だ。装置の仕向け地ごとに異なるACファンを組み込まずに済むため、部品の一本化が図れる。

「食品の加工現場や工場の制御盤などでは冷却ファンを回すためだけにDC電源を用意できない場合もあり、そうした用途において従来のACファンより優れた性能である次世代ACファンとしてご提案できる製品と考えています」(坂本氏)。

AC/DCコンバータの内蔵化は同社として初めてであり、今後はこの方式を他のサイズのACファンも展開していく計画だという。

オイルミスト環境に強い防油ファン

図4. 機械加工現場や食品加工現場に最適な防油ファン「San Ace」9WFタイプ
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最後に紹介する「San Ace」9WFタイプ(図4)は、ロボットの制御盤、マシニングセンタなどの工作機械、食品加工機械、厨房設備など、オイルミストや油滴が発生するような環境に適する防油性を備えたファンだ。

耐油性に優れた樹脂素材を採用するとともに、油カスによる固着が生じないように羽根とフレームの形状の工夫が施されている。また、モータ駆動用の内部基板やモータの巻線はオイルミストの影響を受けないように密封されている。

サイズは40mm角から120mm角まで7製品がラインアップされ、いずれも期待寿命は40,000時間(60℃)と長い。

坂本氏によると「FA業界や食品業界では注目されている製品で、すでに数多く採用いただいております」という。

機器や設備の高性能化や高密度化を支える

山洋電気は、2015年5月20日(水)から22日(金)に幕張メッセで開催される「TECHNO-FRONTIER 2015」と、2015年6月9日(火)から12日(金)に東京ビッグサイトで開催される「2015国際食品工業展」(FOOMA JAPAN 2015)に出展を予定しており、ここで紹介した4シリーズのほか、IP68等級を実現した高風量 長寿命 防水ファン「9WLタイプ」、-40℃から+85℃に対応した耐温ファン「9GTタイプ」、18万時間もの期待寿命を実現した長寿命ファン「9LGタイプ」など、幅広いラインアップを展示する予定だ。

同社は、ケーブル長、コネクタ形状、信号極性、回転数、センサの有無、フィンガーガードの装着有無など、顧客の要望に対して最適なカスタマイズを提案していることでも知られている。「お客さまの機器や設備に適するファンを探していらっしゃるのであれば、ぜひこうした展示会に足を運んでいただいた際に、さまざまなご提案をさせていただきたいと思っています」と、坂本氏は多くの来場を心待ちにしている。

高性能化や高密度化が進む機器や設備の設計では、内部の電子部品などの信頼性を確保する意味でも、適切な冷却が不可欠だ。さまざまな環境条件に応える山洋電気の「San Ace」シリーズが、高度化する熱対策のニーズを解決してくれるだろう。

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