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総論 Infineon+IR=A Powerful Combination

2015年は新生インフィニオンの最初の年となる。「Infineon+IR=A Powerful Combination」というキャッチフレーズが端的に示すように、パワー半導体の分野において、規模だけではなく、カバーする応用範囲、製品のラインアップ、そして技術の先進性のいずれにおいても、圧倒的な立場に立った(図1)。事業統合によって得た力を活かし、お客様による価値あるシステムの創造をこれまで以上に支えていく。

図1●システム提案力を強化した“新生インフィニオン”の総合力

製品ポートフォリオが一気に拡大

インフィニオンとIRが合併した効果は、大きく4つある。

入山鋭士氏
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン パワーマネジメント&マルチマーケット事業本部 事業本部長

1番目の効果は、製品ポートフォリオが拡大したことだ。インフィニオンとIRは、同じパワー半導体の分野でビジネスをしていたが、技術面での強みと得意な応用分野が異なっていた。インフィニオンは600V 以上の産業や車載のシステムに向けた技術と製品に強みがあった。これに対しIRは、450V以下のサーバーのPoL(Point of Load)やデータ通信機器、およびゲーム機や白物家電といった民生機器用に向けた技術と製品に強かった。

2番目の効果は、スケールメリットが得られたことだ。先進的な素子構造や化合物半導体といった新材料を導入して先進的な製品を供給するためには、自社工場の保有が大きな強みとなる。生産規模が拡大することによって、工場を安定的に維持し、かつ継続的に進化させていく素地が出来上がった。

他の追随を許さない化合物半導体技術

3番目の効果は、お客様の課題解決に向けた技術の選択肢が劇的に増えたことだ。特に、化合物半導体の技術が多彩になった。IRは、D級オーディオのアンプで、ノーマリーオン型GaN FETをいち早く実用化し実績を積んでいる。一方で、インフィニオンも回路構成を単純化できるノーマリーオフ型GaN FETの技術開発を進めてきた。これにより、GaNと言えばインフィニオンと言われるポジションを担う。

さらにインフィニオンには、既に第5 世代に突入したSiCデバイスでの実績もある。SiCショットキーダイオード「thinQ!™」と信頼性の高いジャンクションFET「CoolSiC™」は、ソーラーインバーター、無停電電源(UPS)、3 相スイッチモード電源(SMPS)、モーター駆動装置の電力効率を大幅に向上することに貢献している。GaNは優れた周波数特性を利用した高速スイッチングが生かせる用途に向けていく。そして、SiCは1000V以上といったかなり高い電圧の領域で利用していく。もちろん、Siデバイスの構造や製造プロセス・パッケージの技術力も確実に底上げされる。

4 番目の効果は、世界各地でのプレゼンスが強化されたことである。インフィニオン側から見れば、米国および日本を含むアジア太平洋地域でのプレゼンスが高まる。

P2Sで進める新しい価値づくり

新生インフィニオンは、システム提案力が大幅に強化された。例えばIRが強みを持っていた電動工具の市場で、インフィニオンが保有するARMコア搭載コントローラー「XMC™」や正規バッテリー認証用にセキュリティIC「ORIGA™」を提案できるようになった。さらにIoT(Internet of Things)を支えるセキュリティ技術やセンサーデバイスの提供も可能である。これまでにも、インフィニオンは「Product to Systems(P2S)」というコンセプトの下、システムに組み込んだ時に真価を発揮できる半導体の技術と製品の開発に取り組んできた。インフィニオンとIRの統合によって、P2Sのインパクトは、これまで以上に大きくなり、適用分野も広がる。

P2Sによってもたらされる効果は、お客様が開発するシステムの機能や性能の向上、BOMコストの低減だけにとどまらない。お客様がシステムを開発・製造・テスト・保守をしていくバリューチェーンの中で、また部品の調達・在庫・製造の委託といったサプライチェーンの中で、新しい価値を提供していく。

例えば、AC/DCコンバーターを作るためのフレキシブルなプラットフォーム技術として「.dp(ドットディーピー)」と呼ぶ技術がある。システムの電源をスムーズに開発・製造することは、思いの外難しい。しかも、高い効率で動作するAC/DCコンバーターを構成するためには、開発するシステムごとの要件に合った特性のデバイスをあつらえて用意する必要があった。.dpは、ソフトウェアを変更するだけで、多種多様なシステムに適合したAC/DCコンバーターを1種類のチップで作ることができる。このため、多くのシステムの生産に、最小限の部品在庫で対応できる。さらに、システム中で何らかの不具合を抱えた場合でも、部品を取り替えることなく、迅速に対応できる。

新生インフィニオンは、パワー半導体の技術を先導し、市場を創造していく責任を担う立場になった。これまでのインフィニオンは、お客様のシステム設計が具体化し、電源などのサブシステムの仕様が決まった後から参画してきた。これからは、お客様と設計初期から同じテーブルに着き、同じ目線、同じ言葉で協力し、共に価値あるシステムを作っていきたい。

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