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認定事業者による強力なサポートに脚光、「Smarter Vision」の効率的な導入を支援

最先端の画像アプリケーションを合理的に実現できるザイリンクスの統合開発プラットフォームのコンセプト「 Smarter Vision 」。これに基づくソリューションを導入する機器開発者にとって見逃せないのが、ザイリンクスの認定を受けたメンバーによるデザイン サービスである。中でもザイリンクスによる厳しい審査を受けた「プレミア メンバー」は、最新の製品や技術を駆使した強力なサービスを提供する。日本企業で、その認証を受けているのが、東京エレクトロンデバイスとOKI情報システムズである。

遠山和徳氏
ザイリンクス
テクニカルセールス部
Zynq ビジネス開発マネージャー

ザイリンクスは、ソフトウエアとハードウエアの両方のプログラミングができる先進的なプログラマブル・デバイス「 Zynq® -7000 All Programmable SoC(以下、Zynq SoC )」の特性を生かしてシステムの高い性能を追求する「 Smarter Solution 」を積極的に展開している。その中核に位置づけられているソリューションが「 Smarter Vision 」である。

FPGAと ARM® Cortex-A9 プロセッサ・コアを統合した Zynq SoC 、検証済みのIP「 SmartCORE 」、高い生産性を備えた開発環境「 Vivado 」の三つを包括した画像処理システム向けソリューションだ。「『リアルタイム解析』『高速データ伝送』や『高精細の画像表示』など最先端の画像アプリケーションを合理的かつ効率よく実現できるプラットフォームを提供する Smarter Vision に対するニーズは、自動車、産業用機器、医療機器など幅広い分野で高まっています。その一方で、お客様の要望が増えているのが、このソリューションの導入を支援するサービスです」(ザイリンクス テクニカルセールス部 Zynq ビジネス開発マネージャー 遠山和徳氏)。

査錚氏
ザイリンクス
マーケティング部 プロダクトマーケティング スペシャリスト

この背景には、製品の市場競争力を高めるうえで、「 Time to Market 」がますます重要になっていることがある。これとともに Smarter Vision に基づくソリューションを迅速に導入することを望むユーザーが増えている。「こうしたユーザーの強力な味方となるのが、世界で約 600 社に上るザイリンクス アライアンス プログラムのメンバーです」。(ザイリンクス マーケティング部 プロダクトマーケティング スペシャリスト 査錚氏)。2010年から始まったザイリンクス アライアンス プログラムは、ザイリンクスが認証した企業が提供する世界規模のエコシステムである。「このプログラムでは、メンバーに三つのレベルを設けています。その中で、最も強力なメンバーと位置づけられているのが、最高レベルの『プレミア メンバー』です」(査氏)。

認証のために厳しい審査を実施

プレミア メンバーの認証を受けるには、ザイリンクスが実施する厳しい審査を通らなければならない。「技術力はもちろん経営、品質管理など様々な観点から審査します。このために320項目にも上るオンサイト監査を受けなければなりません」(査氏)。この審査では、ザイリンクスが実施する試験に合格し、ザイリンクス社内のエキスパートと同等の技術やノウハウを持ったことが認定された技術者を一定以上の人数配置することを義務づけるなど、厳しい条件が数多く設定されている。

こうしたプロセスを経て認定されたプレミア メンバーに対してザイリンクスは、最新製品や技術に関する、情報やサポート、トレーニングを早いタイミングで提供する。技術ロードマップを共有しながらマーケティングにも共同で取り組む。つまり、特別な支援を受けながらザイリンクスと密接に連携するプレミア メンバーは、Smarter Vision を利用して製品の競争力強化を図ろうとするユーザーにとって多くの利点を提供できる。「 Zynq SoC をはじめ、SmartCORE や Vivado といった Smarter Vision の要素技術は、着々と進化しています。これをいち早く機器開発者の皆さんに提供できるのがプレミア メンバーです」(査氏)。

グローバルな規模で展開しているザイリンクス アライアンス プログラムにおいて、最高レベルのプレミア メンバーの認定を受けた企業は、まだ少ない。2013年12月現在で世界で12社である。その中に含まれているのが、東京エレクトロンデバイスとOKI情報システムズである。

評価ボードを独自に開発

西脇章彦氏
東京エレクトロンデバイス
ECプロダクト統括本部
PLD事業部
PLDソリューション部
部長

1994 年から販売代理店としてザイリンクスとのかかわりが始まった東京エレクトロンデバイスは、ザイリンクス アライアンス プログラムが立ち上がった 2010 年に、いち早くプレミア メンバーの認定を受けている。同社は、2000 年から FPGA を軸とした設計開発事業に進出しており、2004年以降は長年培った技術やノウハウの強みをアピールするために、『 inrevium (インレビアム)』というブランドを掲げて開発受託サービスや独自開発の製品を展開している。「こうした一連の取り組みの中で、FPGAをベースにした製品やサービスは大きな柱の一つになっています。これを、さらに発展させるためにプレミア メンバーの認定取得は欠かせないと思い、いち早く認定を受けました」(東京エレクトロンデバイス ECプロダクト統括本部 PLD 事業部 PLD ソリューション部 部長 西脇章彦氏)。

同社が展開する主な inrevium 製品の一つが、FPGA 用評価ボードである。ザイリンクスの「 Virtex®-7 」「 Kintex®-7 」「 Spartan®-6 」「 Virtex-6 」に向けた自社開発のボードをそろえている。2012 年11 月には、いち早く Zynq SoC を搭載したシステム・レベルの評価ボード「エクステンション・マイクロ・コントローラカード TB-7Z-020-EMC 」を発表した。このほか Windows Embedded Compact 7 対応の BSP( Board Support Packages )や産業用オープン・ネットワークに対応した組み込み用モジュールなども Zynq SoC を基に開発している。

同時に画像処理とモーター制御

瀧澤雅晴氏
東京エレクトロンデバイス
ECプロダクト統括本部
PLD事業部
PLD技術部
グループリーダー

こうした同社が Smarter Vision ソリューションとして展示会などで積極的に披露しているシステムの一つが、エクステンション・マイクロ・コントローラカード TB-7Z-020-EMC を使ったサーボモーター制御システムである(写真1)。モーターで動く可動式アームに取り付けたカメラが、動く被写体を自動追尾しながら映像を撮影するシステムである。TB-7Z-020-EMC が、USB インタフェースで接続されたカメラの映像を処理して、モーターを制御するための情報を生成。可動式アームに組み込まれたモーターを制御する PWM( Pulse Width Modulation )信号を出力する。「負荷が大きい画像処理は、Zynq SoC のプログラマブル・ロジック回路で構成した専用ハードウエアで処理。モーターの PWM 制御は内蔵 CPU が処理しています」(東京エレクトロンデバイス EC プロダクト統括本部 PLD 事業部 PLD 技術部 グループリーダー 瀧澤雅晴氏)。

写真1 Zynq-7000 All Programmable SoC 搭載のinrevium エクステンション・マイクロ・コントローラカード「TB-7Z-020-EMC」を使ったサーボモーター制御システム(開発は東京エレクトロンデバイス)
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このほかに、TB-7Z-020-EMC を使って実現したパソコンの遠隔制御システムも開発している。HDMI インタフェースで TB-7Z-020-EMC に接続されたパソコンを、同じく TB-7Z-020-EMC に USB インタフェースで接続された別のパソコンで操作できる。ボード上の Zynq SoC に Windows Embedded Compact 上で動作するアプリケーションが実装されている。「単なる遠隔操作ではなく、操作できるパソコンを制限できる仕組みが組み込まれています。製造ラインに並んだ製造装置の制御コンピュータを遠隔操作するシステムなどへの展開を想定したものです」(瀧澤氏)。

プレミア メンバーとして Zynq SoC を積極的に展開する同社は、ザイリンクスと共同でセミナーなどのイベントも企画している。「 2013 年 10 月に Zynq SoC をテーマにしたセミナーを開催しました。2014 年 1 月 24 日にも、セミナーと展示会を合わせたイベント『 TED プログラマブルソリューション 2014 』を開催します。Zynq SoC や FPGA の導入を検討しておられる皆さんは、ぜひ参加してください」(西脇氏)。

差異化が可能な開発基盤にシフト

もう1社のプレミア メンバーであるOKI情報システムズは、OKIの開発部門の一部を分離するかたちで生まれたファブレスの受託開発設計会社である。システム提案やコンサルティングから、開発・設計、試作・検証、量産製造まで一貫したサービスを提供している。

山本康雄氏
OKI情報システムズ
メディアソリューション事業統括部
IPプラットフォーム ビジネスユニット ビジネスユニット長

同社がプレミア メンバーの認証を受けたのは、2013 年 1 月のことだ。その目的は受託開発事業の強化を図ることだった。「従来のマイクロプロセッサとソフトウエアを組み合わせたシステムだけを手掛けていたのでは、もはやサービスの特長は打ち出せません。Zynq SoC ならば、ソフトウエアに加えてハードウエアの工夫で差異化が図れます」(OKI情報システムズ メディアソリューション事業統括部 IP プラットフォーム ビジネスユニット ビジネスユニット長 山本康雄氏)。例えば、マイクロプロセッサとソフトウエアで実現したシステムでは、マイクロプロセッサによってパフォーマンスの上限が、どうしても決まってしまう。これに対して Zynq SoC ならばプログラマブル・ロジックに実装する回路の工夫次第で、マイクロプロセッサを上回るパフォーマンスを引き出せる。「こうしたデバイスを利用することで、自社のサービスの優位性を高めることができると考えました」(山本氏)。Zynq SoC を中心にした事業を加速する方針を決めた同社は、自社の技術力をアピールしながら、有利に市場を開拓するために、プレミア メンバーの認定を受けることにした。

合理的なシステムで高性能を追求

同社は、市場の要求に応じて高品質のシステムを効率よく開発して提供できるように、共通デザイン・プラットフォームを用意している。「これをベースに、あらかじめ用意した IP を選んで組み込むことで、短期間で高品質のシステムを開発できます」(山本氏)。現在、画像データなどの大容量データをリアルタイムで高速に転送するプラットフォームを中心にそろえ、主に FA システム、産業用装置、医療機器に向けて展開している。

その中の一つで同社の Smarter Vision ソリューションと言えるのが、Zynq SoC を中心に構築した「 JPEG 映像伝送プラットフォーム」である(写真2)。カメラ入力から受けた映像信号を、JPEG 準拠のアルゴリズムで符号化。5GHz 帯または 2.4GHz 帯の無線 LAN( IEEE802.11ac/n/a/b/g )を使って様々な端末に映像を配信するシステムだ。複数ストリームの同時配信、無線通信と有線通信の両方を使った配信、メモリー・カードなどの記憶媒体に格納したデータの配信など、様々な展開ができるように設計されている。このプラットフォームでは、Zynq SoC に内蔵したプロセッサで無線 LAN の通信機能を実現。JPEG のコーデックは、内蔵プログラマブル・ロジックを使ってハードウエアで処理している。「負荷が大きい映像の符号化や画像処理はハードウエア、負荷の変動が少ない通信関連の処理をソフトウエアとマイクロプロセッサで処理するようにしました」(山本氏)。同社は、H.264 準拠の符号化に対応した同様のプラットフォームも別に用意している。

写真2 Zynq-7000 All Programmable SoC を利用したJPEG映像伝送プラットフォーム(開発はOKI情報システムズ)
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独自の技術を生かして先進的な Smarter Vision をいち早く提供すると同時に、ザイリンクスと連携を図りながら強力なサポートを提供するザイリンクス アライアンス プログラムのプレミア メンバー。製品の付加価値向上や、市場における競争力強化に取り組む企業にとって、強力な味方と言えよう。

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